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優しい灯  作者: 豆大豆
1章
36/145

冬の光1

夕方、16時半を少し過ぎたころ。

空はすでに淡い群青色に染まりはじめていた。


咲と悠は終業式後の時間を図書室でゆったりと過ごしたあと、

校門を出て並んで歩いていた。


鞄の端がときどき触れるくらいの距離。

それはもう、誰も気に留めないほど自然になっていた。


風が吹いて、咲のマフラーが少しだけなびく。

冬の冷たい空気に、頬がほんのり赤くなっていた。


「ねえ、日向くん。進学希望調査、もう出した?」


咲がふと思い出したように言うと、悠は頷いた。


「一応、進学で出したけど…正直、まだよくわからないかも」


「うん、わかる。私も、とりあえず文学系かなって思って書いたけど」


「藤音さんぽいね」


悠が静かに言うと、咲は軽く笑った。


「それ、褒めてる?」


「もちろん。ちなみに俺は法学部って書いた」


「日向くんぽいね」


「それ、褒めてないっしょ?」


からかうような咲の言葉に悠は思わず笑ってしまった。


穏やかな会話と、ふたりの足音が帰り道に響いていた。


赤信号の前で、ふたりは立ち止まった。

目の前を帰路に向かう車がゆっくりと通り過ぎていく。


ふいに、咲が尋ねてきた。


「そういえば、駅前のイルミネーション、もう見た?」


「いや、今年は見てないや。毎年やってるやつだよね」


「うん。今年は新しいイルミネーションも増えたみたいで、結構綺麗らしいよ。……SNSとかでも、写真あげてる人が多くて」


「へぇ、そうなんだ」


それを聞いた悠は、咲の声の奥にある小さな期待(……思い込みかもしれないけど)を感じた。

少し黙ったあと、何気なく言った。


「……見にいってみる?」


それを聞いた咲はパッと明るい顔をして、

そのあと、少し照れたように笑った。


「うん」


信号機が青の光を灯した。

そしてふたりは、駅前へと続く道を、静かに歩き出した。

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