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優しい灯  作者: 豆大豆
1章
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ペンケースのかたち

ふたりで本屋に行ってから数日が経っていた。


窓の外は、夕暮れ前の灰色に染まりかけていた。

冬の風が遠くの木々を揺らし、図書室の中には、静かなあたたかさが満ちていた。


いつもの窓際の席。

ふたりはそれぞれ宿題に向かい合っていた。


ふと、悠の視線が、咲の前で止まった。


見慣れていたはずのペンケースが、変わっていることに気付いた。


淡いグレーの布地。

前と似ているようで、形は少し大きくなっている。

猫の顔の刺繍はなく、その代わり、

端に、ちいさな猫の肉球の刺繍がひとつ浮かんでいた。


「ペンケース、変えたんだ」


自然に漏れた悠の言葉に、咲は手を止め、軽く顔を上げた。


「うん。前のと似てるやつにしちゃった」


そう言って、咲はそのペンケースにそっと指を添えた。

新しいはずなのに、まるで昔から使っていたような、やわらかい手つきだった。


「やっぱり猫繋がりなんだ。前使ってたやつも可愛かったけど、それも良いね」

咲は、少しだけ照れたように笑った。

悠はそれ以上、何も言わず、ふたたび宿題へと視線を戻した。


そのわずかな会話のあと、

机の上に流れる空気は少しだけ、あたたかくなっていた。

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