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優しい灯  作者: 豆大豆
1章
21/145

テストの後で

中間テストが終わった日の午後の図書室。

ふたりはテストの前と同じ席に座っていた。


今日ふたりが手にしているのは文庫本だった。

教科書と参考書は、カバンの中で静かに眠っていた。


ふと、悠が本から顔を上げて咲に話しかけた。


「藤音さん。テスト、どうだった?」


咲も本から目を離し、少しだけ考えてから答えた。


「うん。まあまあ、かな。手ごたえは悪くなかったかも……日向くんは?」


「そっか。俺も、たぶん、なんとか」


ふたりは顔を見合わせて、わずかに笑った。


「……なんか、今回は、いつもより勉強がやりやすかったかも」


咲は机の夕陽と影の境目を見ながら、ぽつりと言った。


「……うん、俺も」


それ以上の会話はなかった。

ふたりとも、また読書の時間に戻っていった。


外の光は、いつのまにか傾きはじめていた。

木々の影が図書室の床に静かに揺れていた。


下校のチャイムが鳴るよりも前に、悠は荷物をまとめていた。


「じゃあ、俺は今日は先に帰るね。ちょっと寄りたいところがあって」


立ち上がった悠は咲に声をかけながら、小さく手を振った。


「うん。また明日ね」


咲は小さく手を振り返した。

いそいそと図書室から出て行く悠の背中を、咲は見送った。

空いた斜め向かいの席が、少しだけ物足りなく感じた。

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