言葉の風景4
校舎にある小さな中庭。
見上げると、囲まれた中庭の空は、四角く切り取られたみたいだった。
隅に置かれた丸いベンチは、午後の陽をちょうど半分だけ受けていた。
咲と悠はそこまで歩き、同じタイミングで腰を下ろした。
近くの植え込みでは、風が通るたびに葉がさぁっと音を立てる。
足元には、散った桜の花びらがいくつか溜まっていた。
咲は提出用紙をノートに重ねて膝の上に置き、
ペンを指でつまんでいた。
隣を見ると、悠は、囲まれた空を見上げていた。
そして、ぽつりとつぶやいた。
「……この空気、わかんないけど。なんか……いいな」
咲はふっと息をつき、同じくらいの小さな声で応える。
「うん。私も。なんか……うーん、なんて言えばいいんだろう」
また、ふたりの間に沈黙が流れた。
居心地は悪く無かった。
「俺、書いてみよっと」
悠は取り出した提出用紙に向き直った。
ペンを片手に少しだけ考えるような様子で、それからサラサラと提出用紙に文字を書き連ねた。
「……よし。どう?」
悠は書き終えた紙を、ちらりと咲に向けた。
今の情景が、彼らしい言葉で紡がれていた。
「うん…日向くんらしくて、すごくいいね」
そういうと、悠は照れた顔で笑った。
咲も書いた。
飾らず、でも思ったことを、率直に。
「どう、かな……」
書き終えた紙を悠に向けると
「……なんか、大人っぽい。あの詩集みたい」
「うん。……正直、影響受けたかも」
そう言って、ふたりは小さく笑った。




