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優しい灯  作者: 豆大豆
2章
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優しい灯①

暗い意識の中、目覚ましの音楽が聞こえてくる。

鳴っているのは認識しているのに、意識が現実に浮かんでくるまで時間がかかった。

目の前がうっすらと明るく感じ、手探りで目覚ましを止めた。

時間は、寝ていられるギリギリ。もう、以前は起きられていた時間では起きられなかった。

起きやすいように、と好きな音楽を設定したはずなのに、朝の睡眠を邪魔する音楽として定着して、嫌いになっていた。


重たい体を引きずってベッドから出て、準備をする。

そして重たい教材入りのバッグを肩に掛けて、家を出る。

それが、ここ最近の私のいつもの流れだった。



登校中の空は鉛色で、空気はいつもよりもぬるく、なんだかまとわりつくような重さを感じた。

通り過ぎる風は耳元でビュウッと音を立てて、私の髪を乱していく。

雨が降るかな、ちゃんとした傘を持ってきた方が良かったのかな、なんて考えていたら、


「藤音さん」


後ろから聞きなれた声で呼びかけられて、振り返ると日向くんがいた。

「おはよう」と言う。


「日向くん、おはよう」


彼との会話は、なんだか久しぶりな気がした。


「……この時間に一緒になるなんて珍しいね」

「うん、最近、起きるの遅くなっちゃって」


日向くんは私に視線を向けながら、続けた。


「……疲れてるんじゃない?大丈夫?」

「うん……ちょっとね。でも、今だけだから。」


私は笑顔を添えて答える。日向くんの気遣いが嬉しくて、笑顔は自然なものだった。


「そっか」と言って、日向くんは続ける。

「カバン、重そうだね。塾のやつ?」

「うん……ほとんど自習用なんだけどね」

「……勉強、頑張ってるんだね」


たくさんの教材で膨らんだ、重たそうな私のカバンを見ながら日向くんは言う。


「……頑張らないと、合格できないから」


私はうつむきながら答えた。

あーあ、暗いなあ。こういう時、明るく振舞えたらいいのに。


「無茶しないでよ、ほんとに……」


そう口にした日向くんは、少し影のある表情をしているように見えた。

私のことを心配してくれているんだろうな、と思う。

それが嬉しいのと申し訳ないのとが同居していた。


学校に着いた私たちは、別れてそれぞれのクラスへと向かった。

2組の教室に向かう日向くんの背中を、私は少しだけ見つめていた。

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