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優しい灯  作者: 豆大豆
1章
10/145

言葉の意味1

悠が本を借りて数日後。

放課後の図書室に、午後の光が斜めに差し込んでいた。

カーテンがゆるやかに揺れ、誰かのページをめくる音が小さく届いてくる。


悠は返却のためにカウンターへと向かい、秋へ本を渡した。

秋が受け取った本に静かにバーコードリーダーをかざすと、短く音が鳴る。


「日向さんも、とても綺麗に扱ってくださったのですね。ありがとうございました」


「いえ……」


悠ははにかんだように小さく会釈をして、カウンターをあとにした。


途中、おすすめコーナーの文庫本を一冊手に取り、図書室の前側にある六人掛けのテーブルの端の席に座った。


正面を見ると、ふたつテーブルを挟んだ窓際の席に咲がいて、本を読んでいた。

窓から差し込む陽をうけて、首から下の制服に斜めの陰影が出来ている。



悠も話しかけたりすることもせず、手元の本へと視線を向けた。


本を読み進めている時に、気づいた。

途中のページの端の破れが、まだ新しいテープで補修されていた。


ふと思いあたった。これは以前、咲が直したところでは?

そういえば、これぐらいの大きさの文庫本だった気がする……。

だめだ。タイトルまでは思い出せない。



以前、彼女が読んでいた本を、今また自分が手にしているかもしれない。

意識したわけではないけど、それがなんだか顔を熱くさせた。


その時、下校を促すチャイムが鳴り響いた。

開け放されたドアの先からは、廊下で反響するチャイムと、にぎやかな笑い声と足音が通り抜けていった。


悠は席を立ち、その本を持ってカウンターへと向かった。

半端に読んでも仕方がないので、一応、借りておこうと思った。


「貸し出しですね。はい、どうぞ」


すでに下校の時間を過ぎたというのに、秋は急かすことも注意することもなく、対応してくれた。


悠が小さく会釈をして振り返ると、咲も並んでいた。

その手には、文庫本を持っている。

しかも、悠が借りた本の続きの巻だった。


やっぱり、自分が借りた本は、咲が読んでいたものなのだろうか。


悠が考えていると、咲も悠が持っている本が同じシリーズということに気づいたようだった。

それを見て、咲は微笑んできた。


瞬間、悠の顔に熱が昇るのを感じたが、なんとか冷静を装って小さく頷いた。

そのまま席に置いた荷物を取りに行った。


悠が図書室を後にすると、咲もすぐ後ろに続いた。

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