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若竹姫は台所を出ると、それから顔を洗うために、鳥の巣の庭にある小さな井戸のところまで移動をした。(小さいけど、とても立派な井戸だった。深くて、水もとても清らかで澄んでいた)
井戸のところには小さな蛙が一匹いた。(若竹姫が井戸にやってくると、蛙はどこかにいってしまった)
若竹姫は井戸から桶を使って、水を汲み上げると、そのとても冷たい水で自分の顔を丁寧に洗った。うん。とっても気持ちがいい。(冷たい井戸の水で顔を洗ったことがよかったのだろう。透明な水のはいった桶の中に映る若竹姫の顔は、いつも通りの元気な若竹姫の顏だった)
それから若竹姫は、鳥の巣の部屋に戻って、急いで着替えをする。
着替え終わった若竹姫は台所に戻ると、白藤の宮に貸してもらった白い割烹着を着て、(ぐるりと着物の袖を巻き上げてから)早速、白藤の宮のお手伝いを始めた。
「ふふ。目は覚めましたか? 若竹姫」
いつもの様子の若竹姫を見て、白藤の宮はいう。
「はい。もちろん」
と白藤の宮を見て、白い湯気の吹き出る、炊き立てのご飯をしゃもじでまぜながら、にっこりと笑って、若竹姫は言う。
それから朝ご飯の準備を二人は仲良く、手際よく、終えると、お膳に乗せたできたての朝ご飯をを昨日、晩御飯を食べた部屋まで持って移動をする。(どこか森の奥で、鳥の鳴き声が聞こえた)
それから二人は一緒に「いただきます」をして、いつもよりも、少し遅めの朝ご飯を食べ始めた。
若竹姫は笑顔で(お腹も減っていたので)朝ご飯のお膳に箸をつけようとする。
……、でも、そこで、『こほっと一回、白藤の宮は小さく咳をした』。
その小さな音を聞いて、手に持った箸をぴたっと止めて、若竹姫はその顔を白藤の宮に向ける。
さっきまで元気いっぱいだった若竹姫は、今は人が変わったように、とても不安そうな顔をしている。
その反面、(まるで若竹姫のぶんも余計に二人ぶんの笑顔で笑うようにして)白藤の宮は満面の笑みでにっこりと笑って、そんな自分を見ている若竹姫の顔をにこにことしながら、じっと見つめていた。
「私は大丈夫ですよ。こう見えてもね、結構しぶといんです」
と笑った顔のままで白藤の宮は言った。
若竹姫は無言のままだった。
それから白藤の宮は何事もなかったかのように、箸を動かして、焼きたての(鮎の)魚の切り身をとっても綺麗にとって、自分の口の中に入れた。
「美味しい」
とふふっと笑って、白藤の宮は若竹姫を見て、そう言った。




