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ダンジョンクリエイター  作者: ダルマ
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第四話 サンドリー商会

さて、と前置きしたDは辺りを見渡し現在の状況の整理をしたいとメイラに質問をいくつかした。


その中で一番大事になったのが、


「ダンジョンってどうやって作ればいい?」


「……は?」

「え?」


お互い顔を見合わせ見つめ合う。


「Dはダンジョンに詳しいのだろう?」


「まぁ、人並み以上には? でも、作ったことはないから、基礎が解からないから教えてほしいんだけど」


メイラの表情がどんどん青ざめていく。


元々の情報は人族の中でもダンジョンに詳しい者がいるという事だった。

確かに、ダンジョンを知っている事と作る事を知っているのでは意味が違う。


今更そのことに気が付いたメイラは絶望の色を隠せない。


しかし、こうなっては引き下がるのは違う。

何より、一緒に頑張ろうと言ってくれたDと共にダンジョンクリエイトをすると決意したばかりだ。


弱音は吐かず、どんなに呆れられても仕方がない覚悟をもって素直に答えた。


「それが解かったら、こうはなっていない」


情けないがそれが事実だ。


荒れ果てたダンジョンもどきは、罠の一つもない、ただの洞窟。そして、こうなったのは、メイラ自身にある。


「そっか、じゃあ現段階でここに詳しい人っている?」


ところが、Dは呆れるどころか、淡々と現状を把握していく。


「先ほども言ったが、私の身の周りにいた部下たちは、私を見限っていなくなった。把握している者はすでに――」


「そっか……、クリエイトする上での基礎知っている人がいたら助かったんだけど」


何から手を付けるべきか考えるDに、何か手立てはないか考えていたメイラは一人の人物が思い浮かんだ。


「いや、まて、把握とまではいかなくとも、ここの状況をある程度理解している者ならいる。なにより、ダンジョンクリエイトには彼らの手助けがないとできん」


どういうことかDは尋ねた。


「説明するよりも直接聞いて貰ったほうが早いが……」


と、左右に歩き始めて何やら葛藤を始める。


「人族を合わせるわけには……」


ぶつぶつと呟き始めた。


「しかし、背に腹は代えられんし」


それをただじっと眺めその時をDは待っている。


「あやつなら口は堅いはず」


長くなりそうだなと、Dはテキトーに辺りを歩き始めた。


基本的にドラゴン族が他の種族と仲良く暮らすなんてことはない。

もちろんドラゴン族の配下やその下に付く種族もいるのだが、その中でも人族は底辺とされている。

ドラゴン族の中で人族と関りを持つことは恥、それがドラゴン族の中での常識だった。


ドラゴン族に限らず、人族は弱者と認識されている種族。

例外を除いては数が多いだけの見下される種族でもあった。


だからこそ、メイラは迷っている。


そして、そのことを人族であるDは理解している。

理解している上で全くと言っていいほど興味がなかった。


だから、どう結論出すかも任せて流れに任せた。


できれば、ダンジョンクリエイトをしてみたいという願望だけがDがここにいる理由。

たったそれだけだった。


「よしっ、D決めたぞ」


「うん」


「お前に紹介する」


「誰を?」


「サンドリー商会だ」


――サンドリー商会。


ダンジョンクリエイトに限らず、ある種族間で物品の売買を行う組織。

取り扱っている商品は物だけに限らず、魔物などの生物から、土地に至るまで多岐にわたる。


信用をモットーに迅速かつ、丁寧な対応で定評があり、そしてダンジョンクリエイトをする上で絶対に欠かせないものの一つでもあった。


メイラは亜空間からガラス製のベルを呼び出し、ちりんちりんと鳴らした。


何もない洞窟に澄んだ綺麗な音が鳴り響いた。


何もない玉座と呼んでいた最奥の隅の方に突然、扉が出現した。


突然現れた扉に幾何学模様が複雑に描かれる。


魔力が通うと現れるもので、それによってサンドリー商会と繋がるとメイラから説明がされた。


扉が開き、耳が少し長く尖がっていて小柄な少女が一人現れた。


赤と白の基調とした皺ひとつないスーツ姿を着用し、清潔感を醸し出している。

一目見だけで好印象を持てた。


耳が少し長く尖がっている小柄な少女は、扉を静かに閉めると頭を下げる。


「お呼びでしょうか、メイラザール様。サンドリー商会、クルリが担当させていただきます」


挨拶代わりのお決まりのセリフなのだろう。


丁寧な口調からは見た目の幼げな雰囲気はなく、しっかりとした印象をDは受けた。


「うむ。実はな今回、お前に紹介したい者がおる」


頭を上げ、


「紹介ですか? どなたを……」


そこで、ようやくDと目が合った。


「…………え?」


さっきまでの厳かな雰囲気が、


「人族……?」


混乱を彼女に与えていた。


「初めましてDです」


今後、自己紹介が増えそうだなと思いながらDは、にっこりと印象よく微笑んだのだった。



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