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転生した女マフィアは異世界で平凡に暮らしたい ~暗殺者一家の伯爵令嬢ですが、天使と悪魔な団長がつきまとってきます~  作者: 甘寧
星詠み

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97話

「ローゼル嬢!!待ってください!!どこへ行くのですか!?」


転移魔法で城に着くと、すぐさま星詠みの者達が滞在している塔へと向かった。後ろからクラウスを筆頭にルドとお目付け役のエルス、護衛のエミールも付いてきている。


「こない人数いらんやろ!!」と魔法陣を発動しながらルドが文句を言っていたが、全員が無理やり入り込んでここまでやって来た。


「たのもぉぉぉぉぉ!!」

「「!!!!!????」」


塔に着くなり勢いよく扉を蹴り開けると、中にいた者らは目を白黒させて驚いている。その者らを横目に目的の人物の部屋へ急いだ。


「クラウス様!!一体これはどういうことですか!!」

「すみません!!事情は後でお話いたします!!」


クラウスは駆けつけた星詠みの代表の者に捕まって対応に追われている。丁度良いからあちらはクラウスに任せよう。


私はずんずんと階段を上り、ある部屋の前で立ち止まった。


「ここからは私だけにして」

「それはできません」


執事の鏡であるエルスが間髪入れずに反論してきた。まあ、当然と言えば当然なんだけど、他の者が一緒だと色々と都合が悪い。


「ねぇ、お願いよ……」

「そんな顔しても駄目なものは駄目です」


上目遣いで懇願してみるが、即答で打ち砕かれた。

「チッ」と軽く舌打ちすると、エルスにギロッと睨み返され、思わず視線を逸らしてしまった。


さて、困った。と思っていると、エミールがエルスをガッチリ脇を抱えてホールドしている。


「ちょっ!!何してるんです!?」


エルスは離せと言わんばかりに抵抗を見せているが、騎士であるエミールを簡単に引き離すことができずにいる。


「ここはローゼル嬢にお任せましょう」

「貴方はお嬢様の騎士でしょう!?主を護ろうとしなくてどうするんです!?」

「主を信じようとしない貴方には言われたくありません」


エミールにハッキリと言われると、エルスは悔しそうに顔を顰めながら黙ってしまった。


『エミールグッジョブ!!』と親指を立てて合図すると、『早く行け』と目配せしてきたので、ノックもなしにイナンの部屋へ飛び込んだ。


飛び込んだ先には、ゆったりと椅子に腰かけているイナンの姿があった。それはまるで、私が来ることを知っていた様……


「随分と荒れてるね?どうしたの?」


わざとらしくそんな事を言っているが、その顔はニヤついている。


「白々しいわね。私が来ること分かってたでしょ?」

「まあね」

「なら簡潔に言うわ。あの人の居場所を教えて」


バンッとテーブルに手を付きながら身を乗り出して聞くと、イナンは真剣な表情になり「それは無理だね」と答えが返ってきた。


「はぁ!?あんた、未来が視えるんでしょ!?」


あまりの言いぐさにイナンの胸倉を掴み上げて怒鳴りつけた。


「あのさあ、何勘違いしてんのか知らないけど、俺が()()()()()その人物や国の未来ってだけで、特定の場所なんて分かる訳ないでしょ?」

「え……?」

「仮に分かったとしても、教える義理はないね。俺には何のメリットがないじゃない」

「あんたね……!!」


淡々と述べるイナンに苛立ち、掴んでいた手に力が籠められる。


(もしかしてと思ったけど、期待外れだったわ……!!)


私はイナンを乱暴に投げると、踵を返し部屋を出ようとノブに手を掛けた。そこで「取り引きをしない?」と声がかけられた。


「取り引き?」


振り返りながら問いかけると、イナンは含みのある笑みを浮かべていた。この笑みを浮かべている時は、何かろくでもない事を考えている時だ。


「そう」と言いながら勢いよく手を引かれ、態勢を崩してベッドの上に倒れ込んだ。


「姉さんが俺のものになるんなら、なんとかしてあげる……その騎士の事も国の事も」


ギシッと覆いかぶさるようにイナンが乗ってきてそんなことを口走って来た。


「……あんた、いい加減にしないと本気で怒るわよ?」

「俺も本気だよ?」


キッと睨みつけるが、イナンは退くどころか手を拘束して動けないようにしてくる。その手を振りほどこうとするが、ビクともしない。


(くそッ、前世なら簡単に殴り飛ばしてやるのに!!)


今のイナンは幼くて弱い子供ではない。背も高くなって自分より体力のある男になってしまっていた。それよりも何よりも、面倒見てきた奴に組み敷かれているという事実が無性に悔しくて腹だしい。


「このまま姉さんを俺のものにすることだってできるけど……どうする?」

「できるもんならやって見なさい。やられる前に()ってやるわよ」

「まったく、姉さんの強がりは今始まった事じゃないけどさ。そんな強気な態度取られると、逆効果だってこと教えといてあげるよ」


グイッと顎を掴まれ、勢いよくイナンの唇で口を塞がれた。


その瞬間、ガリッと思いっきりイナンの唇に噛みついた。イナンはすぐに唇を離したが、口端は血が滲んでいる。だが、謝りはしない。こればっかりは自業自得だ。


「今ならまだ許してあげる。離しなさい」


幼い子を宥めるように優しく言うが、イナンの表情は憤るように顔を歪ませている。だが、その目は悲痛な色が滲んでいる。


「いつもそうだ!!姉さんはいつも俺の事なんて見てくれないじゃないか!!俺がどんな気持ちでいたか分かってる!?」


今まで溜まっていた不満をぶつける様に怒鳴りつけてくるが、私は黙って聞いている。今のイナンにはその姿すら気に障るらしく、血のにじむ唇を噛みしめながら睨みつけてくる。


完全に癇癪を起している子供だ……


呆れるように小さく溜息を吐き、イナンに声を掛けようとした所でドカンッ!!と大きな音を立ててドアが吹き飛んだ。


「ローゼル嬢、この状況についてお話があります」


そこには黒い笑みを浮かべたクラウスが佇んでいた。






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