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転生した女マフィアは異世界で平凡に暮らしたい ~暗殺者一家の伯爵令嬢ですが、天使と悪魔な団長がつきまとってきます~  作者: 甘寧
ガドル王国

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第20話

──……ブルッ


(寒っ)


ひんやりした風に吹かれ、私は目を覚ました。

馬車が崖に落ち、帰る術を失った私とエルスは森で一夜を過ごす事になった。


昼間は暑くても、夜になれば気温はぐんと下がる。

薄着で尚且つ、ドレスを破ってミニスカートにしてしまった私は激しく後悔している。


(まさか森で一夜過ごすとは思わないじゃない~)


ブルブルと膝を抱えて震えていると、パサッと肩にジャケットが羽織られた。


「これを着ていてください」


エルスの優しさが嬉しい。──……けど


「エルス……ありがとう。でも、これ……ボロボロ……」


そうなんです。馬車から飛び降りたからジャケットの役割をほとんどしていない。

エルスは本気で気づいていなかったのか、私が掲げているジャケットを見て一瞬驚いた顔をしたと思ったら瞬時に真っ赤になった。


「あははははははっ!!!エルスってたまにボケるよねぇ!!」

「~~~っ煩いですよ。着ないなら返してください」

「ダメダメ、着るから」


初めてエルスに勝った気がしてちょっと気分が良かった。

エルスは顔を伏せて不貞腐れているようだったけど。


しかし、このままでは凍死はしなくても二人とも風邪をひいてしまう。

助けが来る気配もないし、このままここに居るのも些か不毛でしかない。


「……エルス。傷を負っている貴方には酷かもしれないけど、自力で森を出るしか無さそうなんだけど」

「……奇遇ですね。私も今同じことを思っていたんです」


二人揃って溜息を吐き、ゆっくり立ち上がった。

よろめくエルスに肩を貸し、ゆっくりゆっくり森の出口に向かって歩き進めた。





◇◇◇





日が昇る頃、ようやく森の出口迄辿り着いた私とエルスだが、森を出た所で運良く木こりのおじさんに遭遇しシェリング家に連絡を入れてもらった。


「ローゼル!!!」

「お嬢様!!!エルス!!!」


連絡をしてから数分後、父様と爺やが血相を変えて休息させてもらっていた木こりのおじさんの家に飛び込んできた。


「ローゼル!!何故私の渡したナイフを持っていなかった!!」


父様が幼い頃にくれた名前入りのナイフには魔石が嵌め込まれていて、そいつが追跡機能をはたしてくれている。


「……申し訳ありません。うっかり忘れておりました」


今日に限ってそのナイフを部屋に置いてきてしまったんだ。

わざとではなく、マジでうっかりだから!!


父様は呆れたように頭を抱えていたが、二人とも無事だと言うことでそれ以上のお小言は言わないでくれた。

まあ、屋敷に戻ったら母様からのお説教が待っているから父様は()()()この程度で済ませてくれたのだと思う。


爺やはエルスに「お嬢様に危険に晒すなど以ての外!!」とあちらはあちらでお小言をもらっているようだったが、傷の具合を確認するなり的確な処置を施していた。

その顔つきは子を心配する父親そのものだった。


(口では厳しいこと言っても、やっぱり心配だよね)


そして私達を嵌めた犯人についてだが、父様と爺やがそれはそれは恐ろしいほどの行動力を見せ、あっという間に犯人を突き止め、死んだ方がマシだと思うほどの拷問を受けていた。


爺や曰く「普通に殺すには許し難い」だそうです。

まあ、ほぼ私情だよね。


こうして無事に屋敷に戻ってきたんだが、自室に入った時に思い出した。ルドの存在を……


(そういや主従関係結んだんだった)


最初からルドを呼びつければよかったんだ。

主従関係を持ったものは主の声を何処にいても聞き取れる。

しかも相手は黒魔術師。私達を呼び寄せる事など容易かったはず。


(しくった……)


ルドは私の言いつけ通り、正座をして本を読んでいたようだが途中で飽きたらしく、本に埋もれながら寝息を立てていた。


……って言うか、主の危機ぐらい察知できないの?この駄犬は?


気持ちよさげに寝ているルドの頬をつねり起こし、私に気づいたルドに対して優しく微笑み返すと分かりやすく動揺した。


「あ、あれぇ?これはお嬢、お早いお帰りやねぇ?」

「ふふっ。私があんたに課題を課したのは昨日よ?主人の命が危ないって時にあんたは気持ちよくお昼寝してたの?」

「い、いや、滅相もない……」


「あはは」と笑顔を取り繕うルドだが目が泳いでる。


その後、ルドに対して追加課題を加えたのは言うまでもない。


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