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転生した女マフィアは異世界で平凡に暮らしたい ~暗殺者一家の伯爵令嬢ですが、天使と悪魔な団長がつきまとってきます~  作者: 甘寧
星詠み

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126話 エピローグ

ここはガルド王国。

鉱山のあるこの国は資源が豊富ゆえ、他国からの襲撃も日常茶飯事。


そんな国を影で護っているのが……


「お嬢様!!いけません!!そんなに動き回っては!!」

「これぐらい大丈夫よ!!早くしないと見失うわよ!!」


逃げる刺客を逃がすまいと、追いかける私の後ろをエルスが引き止めるように追いかけてくる。


「あ~ぁ、またあいつに怒られるで?」

「大丈夫よ。あの人、私には甘いから」


全力で追いかける私の肩にルドが飛び乗り、苦言を呈するが気にせず逃げ続ける敵を追う。


が、それもそこまで。


「……まったく……どうすればお前は大人しくなるんだ?」


そんな声と共に、大きな腕に捕まった。

見上げると、木の上から腕を伸ばしているアルフレードがいた。


「邪魔しないでよ。あれは私の獲物よ」

「獲物を追いかける所は、本当に猫のようだな」


呆れた様な表情を浮かべているが、本当は心配している事も知っている。


「あの程度の奴は放っておけと言っているだろう?」


指さす先を見れば、エミールが敵の腕を曲げてはいけない方向に曲げながら取り押さえている姿があった。その横の茂みからはクラウスも男を捕まえて出てきた。


「ほらみろ。我々に任せておけばいいと何度も言っているだろう?頼むからお前は自分の身体を大事にしてくれ。お前だけの命ではないんだぞ?」


愛おしそうに私の腹を撫でてくる。


そう、何を隠そう今私は絶賛妊娠中。


この妊娠が分かってからと言うもの、今まで以上に過保護が酷くなり、なんなら軟禁状態に近い状態で屋敷に閉じ込められていた。


度々屋敷を抜け出していたから自業自得だとルドに言われた。それでも、動かないと体が訛ってしまう。


「先生には少し身体を動かした方がいいって言われたもの」

「限度があるだろ。散歩程度なら私だって何も言わんが、どの世界に敵を全力で追いかける妊婦がいる」

「ここにいるわよ?」

「はぁぁぁぁぁぁ………」


崩れるように頭を抱えたアルフレードの元にクラウスがやって来た。


「まあまあ、ローゼル嬢が大人しくなったらそれこそ一大事ですよ」

「それは褒めてんの?貶してるようにしか聞こえないけど?」

「おや、当然褒めているんですよ」


相変わらず嘘くさい事をサラッと言ってくれる。


「姉さぁぁぁぁぁぁん!!」

「イナン!?」


飛び掛かってくるイナン。慌てて飛び退けようとしたが、それよりも先にアルフレードが首根っこを掴み止めてくれた。


「何すんだよ!!」

「お前こそ、ローゼルは妊娠中だと言っただろ。飛び掛かるとはどういう了見だ」

「少しぐらい大丈夫だろ」


この二人は顔を合わせる度に言い合いをしているが、なんだかんだ仲良くやっている。………気がする。


「とりあえず戻るぞ」


アルフレードは当然の如く私を抱き上げると、素早く歩き始めた。「ちょっと!!歩けるわよ!!」と反論するが「黙ってろ」とヒュッと息を飲むほど鋭い目を向けられ、言葉を飲み込むしかなかった。


「戻ったらまだ言いたいことが山ほどあるからな。覚悟しておけよ」

「…………はい」


アルフレードの腕に抱かれながら思うのは、この結末。


私の思い描いていた未来とは随分と違うものになってしまったが、優しい両親がいて隣には愛する人がいる。沢山の仲間に囲まれて過ごすのも悪くない。そう思えるようになったのは、色んな経験があっての事だと思う。


(本当、色んな事があったわ)


クスクスと笑っていると、怪訝な顔をしたアルフレードと目が合った。


「どうした?」

「ん?いや、幸せだなと思って」


そう言うと「私もだ」と額を合わせながらお互いに微笑み合った………



ここまでお付き合い有難うございました。これにて本編は完結です。


子供が生まれた後を番外として一話か二話あげれたらいいなと思ってます。


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― 新着の感想 ―
泣いた(´༎ຶོρ༎ຶོ`) 主人公が幸せで何よりだけど、義弟が好きな私はもどかしくてしょうがありませんでした! とてもキュンキュンするお話をありがとうございました!
完結、おめでとうございます! 最初から読み直しました。面白かったです。アル〜とくっつくとは! クラウスたちは悔しがったんでしょうね、、、。 番外編も少しあるとか。楽しみにしています。
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