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魔王の入ったアイテムボックス  作者: ぴよぴよまおう
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むかーしむかし


むかしむかし、このせかいにはとってもわるい『まおう』がいました。


わるいことをして、ひとびとをくるしめる『まおう』は、いろいろなまものをしはいしています。

そして、ときどきまものたちといっしょにひとのすんでいるばしょにやってきては、わるいことをたくさんしていました。


ひとびとは、『まおう』にたちむかいましたが、『まおう』はとてもつよかったので、なかなかたおせませんでした。


それをみていたかみさまは、とってもかなしみました。


どうにか『まおう』をたおせないだろうか?


そこでかみさまは、『ゆうしゃ』さまをこのせかいによびました。

『ゆうしゃ』さまは、ふしぎなちからをいくつももっているすごいひとです。

『ゆうしゃ』さまなら、きっと『まおう』をたおすことができるはずです。


そしてながいたたかいのすえ、『まおう』は『ゆうしゃ』さまにたおされました。


『ゆうしゃ』さまは、せかいじゅうのひとびとからかんしゃされて、おひめさまとけっこんしました。

そして、『ゆうしゃ』さまとおひめさまは、すえながくしあわせにくらしましたとさ。


めでたしめでたし。




:::::::::::::::::::::::



……これが、この世界で子供達が聞かされる最もポピュラーな寝物語である。少し脚色や修正はされているが、これは創作でも何でもなく、色んな国の歴史書に残る、れっきとした史実であり、事実だ。

子供達は幼い頃からこの『ゆうしゃ』に憧れ育っていく。世界中に逸話が残る人物であり、どこの国でもそれは変わらない。

本来なら、ただそれだけ。ただの『昔に居たすごい人』ってだけだ。


ただし。



この『ゆうしゃ』様が、大変な好色家(・・・)でなければ。



この偉人、困った事に様々な女の人に手を出しまくった。

人種、年齢に関わらず。更には地位や伝統、少しばかり性別(・・)すらも無視して、ありとあらゆる場所で手を出しまくった。

ある時は村娘。

ある時は町娘。

ある時は兵士。

ある時は傭兵。

ある時は未亡人。

ある時は権力者。

ある時は王女。

ある時は女王。

ある時は王妃。

ある時は長命種。

ある時は人外種。

ある時は亜人種。

ある時は魔物。

ある時は女神。


そりゃあもう調べれば調べるだけわんさと記録が出て来る出て来る。

『ゆうしゃ』の史実はどれをどっても爛れた人間関係が含まれない事が無いと断言出来る程に、好色家という要素が切っても切り離せないのだ。『ゆうしゃ』は世界中に色んな文化や技術を遺し、思想や倫理観を啓蒙し、世界の文化レベルを数百年分はすっ飛ばして進化させたとも云われるが、その最たるものは性癖の多様性だとも云われている真正の変態。それはもう、文字通り伝説的なHENTAIなのだ。


そりゃ勿論、子供達の寝物語に聞かせる分にはかなり色々省いて簡略化した物を話しているが、それもある程度成長すると、人間関係や性活に関しても聞き及ぶ事になる。主な伝説から、住んでいる地域に伝わる細かい伝説まで。八割は猥談じみた話になってしまう事だけが問題だ。

とはいえメリットもある。____ていうかメリットが無ければこんな事を子供達に話したりなんてしない。___それらは所謂『性教育』の一環として伝授される事が多く、各地に残る、その各地の『ゆうしゃ』の性事情が口伝で相伝されていく。この話を聞いて初めて、子供達は『大人』になるのだ。


こうして『ゆうしゃ』の性活は、純朴だったこの世界の人々に様々な性癖を啓蒙・開花させ、避妊や妊活、果ては衛生観念や医療に関しても大きく発展させていて、『まおう』討伐の威光と併せてありとあらゆる人々に伝えられている。

まぁ確かにそれは大事だし、偉大な人物である事に間違いはないのだろうけど……。


なんかもうちょっとどうにかならなかったもんかね。




まぁなんだ。

この『ゆうしゃ』が大層すごい精力と体力の持ち主で、ありとあらゆる相手を受け入れる幅広いストライクゾーン、もとい懐を持っていた色んな意味でものすごい人物であった結果どうなったか、と言うとだ。




この世界では、『ゆうしゃ』の血筋が溢れている。

そりゃもう、とんでもなく、そこら中に。

私を含め、一般的な人口の95%以上が『ゆうしゃ』の子孫だと研究結果が出ている程にね。




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