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素晴らしいこの世界の片隅で。

無限大な夢のあとの、何もない世の中で

作者: ニチニチ

ねえ。

さすがにそろそろヤバイんじゃないかな。


隣のクラスのヤツ、見つかってやられたってさ。

体育のゴリラと、学年主任のあいつらがヤバイ。

 

 


 


授業中に鳴り響いた。

レトロな電子音がピロピロと。

僕は、ドキッとする。


 

図工室の近くのトイレの中で。

レトロな電子音がピロローっと。

僕は、ドキッとする。


 

 

結局、最後には見つかって没収。

常習犯は親呼び出しという地獄絵図。

 

 

 

 


 

放課後の公園で。

ワイワイガヤガヤとバトルしてた。


僕は、なかなか完全体にはならなくて弱かったけど。

弱いなりにも、愛着があった。

自分のパートナーと、その日々に愛着があったんだ。

 


 

日が暮れてくると。

明日は絶対に勝とうと、心に小さく誓いをたてる。

 

 


オレンジ色に染まった、駅の踏み切りの向こう側。

お総菜のにおいと、人でごった返しの商店街を駆け抜けていった。

 

 



大人になった今でも、変わらず大ファンだ。

ただ、アニメとかは見なくなってしまったけど。


細く消えそうな、あの頃の思い出を忘れないように。

なるべく、ゲームぐらいは買うようにしているんだ。


 

 


 


 

久しぶりに、聴いてみた。

 

 

 

 




もう、あの頃には戻ることはできない。

でも、あの頃を思い出すことはできるんだと気付いた。

 



あの頃は、毎日が無限大だった。

自分の夢は、大人になったら何となく叶うんじゃないかって。

その、根拠のない自信を、みんなで同じ青空に描いて遊んでいた。

 

 

 

 


 


無限大な夢のあとの、なにもない世の中で。

いつの間にか、僕は大人になっていた。



今でも、あの頃に未練があって、ふとしたときに胸が痛むけど。

いつか、あの頃の世代が集まることがあったなら。

そのときは、いい歳をしてあの公園に集まりたいと思うんだ。

僕は、相変わらず口べたで、何て言えばいいかわからないけど、伝えたい。

 

 

 

 




学校の先生になった人に。

政治家になった人に。

起業した人に。

会社で取締役になった人に。

ミュージシャンになった人に。

実家の仕事を継いだ人に。

クリエイターになった人に。

結婚した人に。

離婚した人に。

独身の人に。

刑務所に入ってしまった人に。

死んでしまった人に。

なにもやっていない人に。


 

 

 

 

 

 

 

 


 


みんな、おかえりって。

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