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第1話:運命の日

アステリア大陸にある唯一の王国、フォースティア。


大きい町の中心にある、王が住む城があった。

数百年前に立てられたものである。

普段であれば、まるで誰もそこに住んでいないかのように静かな雰囲気を放つ、ちょっと寂しげな建物である。


しかし、今日と言う日はいつもと違って、走り回る従者がいっぱいで、騒がしい雰囲気を遠くからでも感じ取れる。


玉座の間には駆け付けた兵士がいて、王に報告をしていた。


王はその部下の報告を受けて、頭を抱えて嘆き始めた。


「ああ、なんということだ。やはり、大陸を隅々まで調べても、青龍の巫女はいまだ見つからん……」


王のその姿を見て、隣に立っていた首相が声をかけた。


「どうか気を落とさないでください、王よ。幸いなことに、朱雀、白虎と玄武の巫女を見つけることができました。彼女達の体には守護獣ガーディアンの印まで確認することができましたから……」


その慰めの言葉を受けた王はため息をついた。


「不幸中の幸いだと言いたいのか、ヨハンくん。確かに、巫女を3人見つけたことは喜ばしいが、3人だけで果たして、エトランジェの召喚儀式を滞りなく行うことができるのだろうか?」


ヨハンと呼ばれた男は顎に手を当てて、少し間を置いてから答えた。


「確かに、本来4人で行うべきです。3人だけでは、未完成の召喚式になって、失敗する可能性も十分にあるかもしれません。しかし王よ、もう時間がありません。数日前からメモリアルアビスに怪しい動きが発見されましたし、今すぐエトランジェを召喚しなければ、手遅れになるかもしれません」


王はそれを聞いて、再び両手で頭を抱えた。


数分悩んだ末、目の前に跪いていた部下に声をかけた。


「やむを得ん。巫女達3人を大神殿に招集せよ。零時にてエトランジェの召喚儀式を行う!」


「はっ!直ちに!」


兵士はその命を受け、玉座の間から飛び出た。


「うまく行くといいがな……ヨハン、召喚の際お前も立ち会え。エトランジェへの事情説明を頼む」


ヨハンは胸に手を当て、ぺこりと頭をさげる。


「はい、承りました」


エトランジェの召喚儀式。その日は建国されて以来、一番大切な日ともいえよう。


世界そのものの運命が左右される日……そして、新たな伝説が始まる日でもある。


守護獣ガーディアンよ、どうか、この召喚儀式を見守ってくだされ」


王は手を組み、守護獣にささやかな祈りをささげた。


......


「はぁ……今日も疲れるわ」


今日の残業からようやく解放され、ようやく外の空気を味わう事ができる。


それも仕方がないことだ。


この俺、神薙悠斗かんなぎ はるとのような平凡なサラリーマンなら、誰でも通る道だろう。


まあ、それでも、一つだけ普通の人より恵まれていることがあると言ったら……


会社の入り口に、一人の女の子が立っていた。会社から出ると、彼女は俺のことに気づいて手を振った。


そう、こうやって俺を待っていてくれる、ねぎらってくれる幼馴染がいる。


彼女の名は桜井さくらい 美春みはる。ずっと昔からの仲だ。


話すと長くなるけど、いろいろあって、今は近しい仲になった。

家族のいない俺にとって、彼女は妹のような存在さ。


「毎日俺を迎えに来てくれるなんて、とんだ暇人だな、美春は」


その言葉を聞いて、彼女がわざとらしいため息をついた。


「そんな事言っちゃって、本当は喜んでいるくせに」


からかっているかのように答えてくれた。


まあ、確かに、嬉しくはあるけどさ。


「そうだな、嬉しいよ。いつも迎えに来てくれてありがとう」


意外な返答だったのか、彼女はちょっとむっとした顔を見せた。


「もう、そんな素直な返答は卑怯だよ」


拗ねているように見えるけど、顔が微かにほころぶ。


「そうか?本当に思っていることを口にしただけだが」


その言葉を残して、歩き始めた。


美春はついてくる様に隣を歩く。


彼女は学校についていろいろ話してくれた。ほぼ毎日、彼女の愚痴に付き合わされるわけだけど、俺は別に気にしてはいない。


「それでさ、進路希望的な紙が渡されて、どう答えればいいのか悩んでいるんだけど」


進路希望か。確かに、人生の中では結構大事な決め事である。


「進路の希望か……美春はどうしたいんだ?」


美春は大きなため息をついた。


「それがね、親に相談しようと思ってるんだけど、その前に悠斗の意見が聞きたくて……」


彼女の視線が俺に向けられているのを感じた。


「進路、ね。俺には与えられていなかった選択だけど、この俺の意見でよければ……」


そう、俺は孤児院で育てられたせいで、大学に進学することがかなわず、高校を卒業してから就職した。


そのせいで、いろんな苦労を強いられて、ようやく安定した仕事と給料を得ることができた。大学に進学することさえできたら、ここまで苦労することはなかっただろうか……


「まっ、俺の経験からすれば、高卒だけで就職先が限られているからな。美春は俺と違って、大学に進学する選択肢を選べるんだ。だから、進学した方がいいと、俺は思う」


真剣な回答が予想外だったのか、俺の返事を聞いた彼女が少し黙り込んだ。


でも俺は、それでいいと思う。このような決断は結局、友達の俺ではなく、親と相談して決めるべきだと思うけど、その前に一人でじっくり考えて、納得がいく決断をするべきだ。


「もし悠斗は進学できたら……」


彼女が言わんとすることを理解できたから、その続きを聞かないで返事を述べた。


「したと思うよ。もし俺のバイト代で何とかなっていたら、進学したと思う。でもね、結局、それがかなわなかっただけだ」


彼女が申し訳なさそうに俯いた。


「ああ、気落ちしないでほしい。俺は気にしてないから」


彼女が表をあげ、俺の言葉に耳を傾けた。


「俺はな、特別に不幸ってわけではないさ。この世には、俺と同じ立場にいる人、あるいは俺より不幸な人もいるわけだ。俺が頑張って掴み取った、安定した今の人生を誇りに思ってる」


「君は俺にとって大事な人だからな、俺が味わった苦労、できれば君には味わってほしくないんだ」


彼女は俺の言葉を聞いて、顔を微かに赤くした。


「そ、そう?えへへ、大事な人か……」


なんでそこを重視するんだ?俺が伝えたかったことはそこではないんだけど……


肩をすくめながら、彼女に進言した。


「俺の意見が参考になったならいいけどな。後は親と話して、納得がいく決断をするんだぞ」


彼女はなぜか俺の言葉を聞いて、ピクッとした。


「ど、どうしたんだ、美春?」


「そうだった、忘れるところだったよ!悠斗、今晩、空いてる?」


「別に予定はないのだけど……」


よほどうれしかったのか、彼女が俺の手を掴んだ。


「本当?!実は、今夜、家でお鍋をするのだけど、悠斗を誘ってもいいって親が言ってたんだ!」


鍋物か……この寒い冬がもうじき終わるし、ちょうど食べたい気分だった。


「鍋か……いいね。じゃあ、家で着替えてから、美春んちに向かうね」


「悠斗のアパート、家に近いんだから、食べた後でもいいのに……」


拗ねているような感じでそう言った美春であったが……。


「いや、汗だくだし、流石にシャワーを浴びてから行くよ」


納得してくれたのか、彼女がようやく俺の手を放した。


「約束だからね?待ってるから」


「はいはい」


彼女と交差点で別れ、アパートに向かって歩きはじめた。


......


「ん~、相変わらず料理がうまいですね、雪恵さん!」


「あら、悠斗ちゃん、私を褒めたって何もでないわよ?」


美春の母親が恥ずかしそうに手を頬に当てた。


「お代わりを貰ってもいいですか?」


「あはは、流石は若いもんですな。雪恵、俺にもお代わりを頼む」


雪恵さんは俺と幸雄さん(美春の父親)の丼を受け取り、ごはんをよそった


「そういえば、悠斗ちゃんはまだ彼女とかできていないの?」

「んんぐっ……!」


食べ物が喉に詰まってしまったのか、美春が急にせきをし始めた。


「ったく、もうちょっと気を付けろよ?ゆっくり食べるんだぞ」


彼女の背中を叩きながら、そう告げた。


「あら、美春ちゃん、どうしたの?」


「あはは、どうやら、娘も貴方の回答に興味があるようだな、悠斗くん?」


幸雄さんが快く笑って、俺に答えを迫る。


「はあ……彼女、ですか。友達自体が少ないですし、仕事も最近忙しくなって機会も気力もないです。生きるだけ精一杯って感じですかね」


美春はなぜか、俺の答えを聞いて、安心したかのように胸に手を当て、息をつく。


「そうか、そうか……確かに、一人暮らしで働く大人だと、難しいかもな。いつでも遊びに来て構わんぞ、悠斗くん」


「あはは、ありがたい申し出です、幸雄さん」


彼の心遣いにとても感謝している。俺のような奴を息子かのように歓迎してくれるのは、家族を持たない自分にとって、とても嬉しく思う。


「なるほど、悠斗ちゃんはまだ彼女を見つけていないけど、作る予定はないわけでもないのね」


雪恵さんはなんでそんなに俺の人間関係に興味があるのだろうか……


「しかし、俺なんかより、自分たちの娘にまだ彼氏ができていないことを心配してないのか?」


「なっ……?!」


美春は驚きのあまりに、声を出してしまった。


俺の質問に対して、雪恵さんと幸雄さんはお互いに目を合わせ、同時に俺の方へ目線を向けた。


「だからこそ悠斗ちゃんに先に聞いたじゃない」


「そうそう、仮に彼氏が見つからなくても、お前が嫁に貰ってくれるだろ?」


笑いながら、娘を自分に託してくれる様な言い方をした美春の両親。


それってつまり、彼女がいい男を見つけるまでよろしく、的な意味か?そこまで俺を信頼してくれるのはありがたい。


「も、もう!パパ、ママ、バカな話はそこまでにして!」


恥ずかしがっているのか、美春は笑っている親の話を制止した。

俺は肩をすくめて、彼女の両親を安心させるように答えた。


「構いませんよ。彼女がいい男を見つけるまで、見守ります。仮に貰い手がなかったら、責任を取りますよ。しかし、彼女は可愛いから、彼氏なんて探せば山ほど候補がいるでしょう」


そう言いながら、コップに手を付けてお茶を飲む。


そのせいで、美春の両親が呆れた様にため息をこぼす姿を見逃した。


「ごちそうさまでした!誘ってくれてありがとう、雪恵さん、幸雄さん」


「おそまつさまでした」


「ああ、いつでも歓迎するよ、悠斗君」


その後、世間話で盛り上がって、時間があっという間に過ぎてしまった。


気づけば、そろそろ夜の11時ごろだ。


家に帰った方がいいだろう、これ以上お邪魔しちゃ悪いし。


「今夜は本当にありがとうございました。自分はそろそろ家に帰ります」


席を外し、荷物を取りに行こうとしたら、雪恵さんが俺に声をかけた。


「そうそう、せっかくですから、悠斗ちゃん、今夜はうちに泊まってもいいのよ?」


「え?しかし、そこまでお世話になるわけには……」


幸雄さんは俺の肩に手を置いた。


「水臭いじゃないか、悠斗君。キミも家族のようなものだ、今晩は泊まっていけ」


「ええと、その、わかりました。お邪魔させていただきます」


なんか、ちょっと強引な誘いだな……。


「それじゃあ、家から着替え等を持ってくる」


「あ、じゃあ、私も付いて行くよ」


美春はなぜか俺に付いて行こうとする。


もしかしたら、俺に何か二人だけで相談したいことでも?


「構わないぞ。それじゃあ、行ってきますね、雪恵さん、幸雄さん」


「は~い、いってらっしゃい」


「おう、道に迷うなよ」


美春の両親に手を振りながら、ドアに手を掛けて、美春と一緒に家から出た。


......


ドアの閉じる音を聞き、雪恵はため息をついた。


「もう、あの子、昔から押しが弱いんだから」


「本当だな。でも彼女の気持ちを察してくれない悠斗くんもどうかと思うな」


雪恵と幸雄は自分の娘と悠斗の関係について語り始めた。


雪恵は懐かしそうにあの夜の事を口にした。


「初めて男を連れ帰ったあの夜は本当に驚いたよ。娘はもう、大人になったなと思ったら、それから全然進歩がないなんて……我が娘ながら、情けない」


手を頭に当てながら、雪恵は話を続けた。


「彼と会ってから、毎日彼の事ばかり話して、それはもう、恋する乙女のようだったわ」


「ああ、初めて彼と会った時、口下手でいかにも一匹オオカミって感じだったけど、今はもうすっかり家族の一員のようだ」


幸雄は新聞を読みながら、あの夜の事を思い出す。


「手のかかる娘だこと。私たちが作った今夜のチャンス、見逃さないといいのだけど」


意図的に彼を泊まってもらったのは、娘に彼との関係を進歩させるチャンスを与えたかったからだ。


「そうだな。悠斗君なら、娘を任せられそうだから、見逃すわけにはいかんな」


幸雄は笑いながら、心の中で娘に「頑張れ」と応援した。


......


「ふ~、寒い夜だな。ジャケットの一つでも着た方がいいかな」


部屋についたら、美春はトイレを借りたいと一言を残し、でかいカバンを持ってトイレに入った。


やれやれ、晩御飯でも食べ過ぎたのかな?


着替えを済ませ、他の荷物をまとめていた途中、美春は新しい装いを纏って、トイレから出た。


「美春、お前、そのかっこ……」


「ど、どう……かな?悠斗にこの姿を見せたことがないから、ちょっと緊張しているけど……」


美春はなぜか、学校の制服を着ていた。


確かに、今まで迎えに来てくれた時は、家で着替えを済ませてからだったな。


「うん、似合うと思う。しかし、なぜ急に制服姿を?」


「べ、別に。ただ、見せたかっただけ」


そんなもんかな?女の子はそうやっていろんな洋服を見せつけたがるものかな。


彼女は俺のベッドに座って、俺に問いかけた。


「ねえ、悠斗って、今の人生に満足してる?今幸せだと、思ってる?」


二人きりで何か相談したがるとは思っていたけど、これはまた重い話題だな。


「……そうだな。俺は幸せだよ。君と君の両親は俺にとって家族同然だし、平和が一番とおもわないか?」


彼女は俺の言葉を受け入れ、ベッドに倒れこんだ。


「……そう」


何かを悩んでいるようだけど、俺の答えで安心してもらえたら、いいのだが。


彼女が急にベッドから飛び出て、俺の前に立った。


「ね、悠斗。明日、どこかに出かけよう」


まあ、これだけ元気なら、心配する必要はないな。


「構わないよ」


彼女は満足したかのように頷く。


「外はまだ寒いからジャケットを着るけど、スペアのを貸そうか?」


「平気平気、現役JKを舐めないでよね」


確かに、とんでもない天気でも、ファッションのためとかやらで素足で出かける高校生を何人か見かけたことがある。

......


アパートから出たのは、零時数分前であった。


「そういえば、明日はどこに行こうか」


「そんなの、男の方が決めるもの。ちゃんとエスコートしなさい!」


わがままなやつだな……ま、適当に決めればいっか。


「お、おう。じゃあ、考えとくよ」


いつもの交差点についたら、彼女はなぜか立ち止まった。


急にどうしたと思い、振り返って彼女を見つめる。


「ん?どうしたんだ、美春……」


「ねえ、悠斗、今夜、大切な話があるから、ちゃんと聞いてくれる?」


彼女の顔はなぜか微かに紅くなっていた。もしかしたら、寒いからか?


「もちろんさ。でもそれもお前んちについてから、ね。この寒さから避難しようぜ」


彼女は嬉しそうに頷き、俺の方へと歩き始めた。


その瞬間、地面が激しく揺らぎ始めた。


「え、なに、地震?!」


「きゃあ……!」


激しい揺れのせいで、美春が後ろに倒れた。


「美春!!大丈夫か?!」


俺は叫びながら、必死にバランスをとろうとする。


彼女を助けに行きたいけど、流石にこれ程激しく地面がゆれると、バランスを保つだけで背一杯だった。


「わ、私は大丈夫、悠斗!それより、どうする?!」


「大丈夫だ、怖がらないで!地震なんて、すぐ収まるさ。それより、車とかビルに近づくな、この道路のど真ん中の方が安全なはず」


俺は少しずつ彼女の位置に近づこうとする。


あとちょっとで手が届きそうなところで、揺れが一段と強くなり、俺はバランスを崩した。


「しまった……!」


両手で身体を支え、四つん這いの姿になってしまった。彼女もどうやら、うまく身動きが取れないようだった。


「は、悠斗!こ、怖いよ……!」


「大丈夫だ!落ち着いて、俺はここにいるんだから、安心して……!」


彼女は震えているように見えたが、俺の言葉で少し落ち着いてくれたようだ。


「よし、いい子だ。すぐに助けにいくから、ちょっと待っ……」


揺れがさらに激しくなり、地面にひびが入り始めた。


これって、相当やばいんじゃないか?


俺は慌てて周りを確認したら、俺と美春の真ん中にひびが徐々広がり始めた。


「美春!早く非難しないと、ここは……!」


俺は美春に手を伸ばし、彼女をこちら側に引っ張ろうとする。


「悠斗……!私、身動きが取れなくて……!」


「分かっているけど、頑張って、俺の手を取って!」


ひびがどんどん広がり、地面が開き始めた。


まるで、時が止まったかのように、俺の目の前に、地面から大穴が広がり始めた。


「美春……!!」


俺は必死に手を伸ばしたが、無意味だった。


「悠斗……!!」


彼女も俺に手を伸ばしてくれたが……


次の瞬間、彼女が大穴に飲み込まれた。


「あ……ああ……み、美春……」


彼女が……消えた?俺の目の前にいたのに……助けることが……できなかった?


「う、うそ……だろう?嘘だと……言ってくれよ……」


俺の……妹のような彼女が……あっという間に……地震のせいで逝ってしまった?


「あ……ああ……!!畜生……!!親に……君の両親に……どんな顔で……会いにいけばいいんだ……俺に、お前のことをよろしくって言ってくれたのに、俺は……!」


お前を……守ることができなかった……。


その瞬間、地面が再び激しく揺らぎ、大穴を上から覗き込んでいた俺のバランスを崩した。


「しまっ……!」


バランスを崩した挙句、俺も大穴に落ちてしまった。


ああ……俺も、ここまでのようだな。


でも、これでよかったかもしれない。これで、彼女の親に会わなくてすむ……自分たちの娘を死なせたことも、言う必要がなくなった。


彼女を守れなかった罪、俺の命をもって償う、か。


本当に……無意味な人生だったな。


家族すら持たない俺の死を悲しむ者はもういないでしょう。


それでも、彼女に出会えた、家族の一員として迎え入れられた事……


俺の大切な思い出は俺と共に消えるんだな。


ああ、よく考えたら、俺の人生も……満更でもなかったな。


ごめんな、雪恵さん、幸雄さん。今まで……ありがとうございました。

美春……


「すぐ……会いに行くから、な。お前を一人には……させない、よ……」


俺はゆっくりと目を閉じ、もうじきくる終焉を待つ。

もっと早く書きたかったけど、最近は忙しい上に、実際書いてみたら……人にこれを読ませていいものだろうかと、悩んでしまうな。自信がない。


まあ、でも結局、書かないで悩むより、書いて叩かれる(?)方がはるかにましだろう。有意義な評価と感想を貰えるのならそれでいいと思ってな。


第1話を読んでくれてありがとうよ。

続きはまあ、できるだけ早く書きたいものだ。だからどうか、気長にお待ちください。

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