1話 極悪戦隊ワルレンジャー
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学校からの帰り道。男子高校生が2人仲良く話していた。
「今日もひまだなー」
「確かに」
どうやら、彼らは代わり映えしない毎日にうんざりしているようだった。
「コタロー、今日は用事ある?何かあそばね?」
髪の毛を茶色に染めた方が、メガネを掛けたもう1人、コタローに尋ねる。
「んー、そしたら俺の家でスマ○ラでもする?」
「それいいな!行く行く!そしたら食うもんは俺が買うよ」
「了解、そしたらコンビニ寄ってから俺んち行こうか。キョウスケ、俺は鮭トバとチーカマがいい」
どうやら茶髪の方はキョウスケというらしい。
それにしてもコジロー。お前は日本酒でも飲むのか。食べ物の趣味が完全に晩酌するオッサンのそれである。
それはともかく、彼らはコンビニへ行こうとその足を向けた。その時である。突然、誰かの高笑いが聞こえた。
「ワァッハッハッハ!」
「何だ何だ何だ!いきなり変なヤツが出てきた!」
「私は怪人ザコライム!悪の組織『ワルワルワールズ』の怪人だ!男子高校生諸君!突然だが君たちには「そこまでだ!怪人!」ブベラッ!」
怪人が口上を述べている最中に、緑色の全身タイツ男が飛び出してきて、その勢いのまま怪人を殴りつける。
「あ、何か急に出てきた怪人が何か急に出てきたヒーローに殴られた」
「ちょっと待って。いきなり過ぎて整理が付かない。ていうか悪の組織の名前ダサすぎだろ。なんだよワルワルワールズって。考えたのは小学生だろ」
「私は極悪戦隊ワルレンジャーのリーダー、ワルグリーン!この世から悪を撲滅するため、お前を倒す!」
「とりあえず色々と突っ込みたいんだけど、まず極悪戦隊ってなんだよ!あとリーダーが赤じゃなくて緑だし!1人だけだし!」
「どうやら極悪戦隊ワルレンジャーは全部で5人居るらしいよ。今はワルグリーン以外は服役中だって。殺人とか麻薬の密輸とか色々としたみたい。なんかワルレンジャーの公式サイトに載ってた」
「マジモンの極悪じゃねーかッ!しかも公式サイトに載せるなよ!」
「グハッ!」
「あ、何かワルグリーンが負けそうだよ」
キョウスケは突っ込みをやめ、コジローが指を指す方を見ると、ボロボロのヒーローとボロボロではあるが少し余裕の有りそうな怪人が立っていた。
「ハッハッハ!その程度かヒーロー!」
「クソッ!この怪人強いッ!意外とッ!」
「意外って言うな意外って。確かに名前が弱そうだけど」
「どうやら奥の手を使わなければならないようだ!」
そう言ってワルグリーンは自分の懐から白い粉を取り出した。
「奥義!おくすりドーピング!」
「名前ダサッ!そして絶対ヤバいやつ!」
そしてワルグリーンは、その明らかに非合法な粉を一気に口の中に入れる。
「これで私の身体能力はゲホッゲホッゴホッ」
「粉を一気にあおるからむせてるじゃねーか」
粉薬はこういう事があるから、筆者は粉薬が嫌いである。何か苦いし。
そうしている内に、ヒーローはむせてる状態から復活した。白い粉の影響で、ワルグリーンの全身の筋肉が膨張して、元の体より一回りほど大きく見える。ぶっちゃけキモい。
「これで私の身体能力は2.7536倍となった!ゲハハハハッ!」
「小数点以下が細けぇし、テンションがおかしくなってる!」
「ワルグリーンは自分で白い粉を作ってるらしいからね。小数点以下はしっかりと把握するタイプなんだって」
「小数点以下をしっかりと把握するタイプってなんだよ」
「ちなみにあれは小麦粉らしいよ」
「小麦粉!?」
衝撃の事実である。人は小麦粉であれだけハイテンションになれるのだろうか、いやない。
「フンッ!」
ワルグリーンは全身の筋肉を更に膨張させ、自身の身に付けている全身タイツを破りさった。それにより、彼は全裸となった
「ここで服を破く意味」
「喰らえッ!極悪パンチ!」
ドゴオォォン!
ワルグリーンは怪人の鳩尾にえぐりこむようにその拳を振るった。
「ガハァァァッ!」
怪人はダンプカーをも潰しそうなボディブローを受け、空の彼方へと飛んでいった。
そしてヒーローはお決まりのセリフを放つ。
「ゲハハハハッ!正義は必ず勝つのだッ!」
「お前が言うなっ!」
まさにその通りである。
「今の私は無敵だッ!ゲハハッ!」
「おいおい大丈夫か?」
「ゲハハハハハハハハッ!「ちょっと待った」何ッ!誰だッ!」
突然登場した1人の男がワルグリーンに歩み寄る。彼は一体誰なのか。
「君、公然猥褻で現行犯逮捕ね」
警察官である。
「なっ、えっ、ちょっと」
困惑するワルグリーンに警察官は手錠を掛け、そのまま刑務所まで連れて行った。
「普通に捕まった!」
「確かに公然猥褻だよね。道の真ん中で全裸になったし」
「それで良いのかヒーロー!」
果たしてワルグリーンは、無事に無罪を勝ち取れるのか、運命の瞬間が訪れる!
次回、「ワルグリーンに余罪発見!違法薬物所持で再逮捕!」