表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リアルゲーム  作者: 心望
7/17

7

私は大人しくいじめを受けていた。

……いや、いじめなんかじゃない。だって自分で“自分がいじめられてる”なんて言うなんてそんなの嫌だ。私はそんなに弱くない。いじめられてるなんて悲劇のヒロインが言うことだ。私は悲劇のヒロインなんかじゃない。そんなに弱い人間じゃない。

私は……ちょっとだけゲームの悪役を演じてるだけだ。

私は悪い人間。スーパーマリオで例えるとクッパ大王みたいな?

それでみんながマリオ。この世の平和を守るために悪役を倒しているの。みんながヒーローなの。

あれ?でもおかしい……普通ヒーローは一人じゃないのか?なのにこのクラスには一人の敵に対してマリオが34人もいる……変だ。

でも、まあいっか……


でも……これも変。これでも私は勝手に悲劇のヒロインになってる。ていうより、“被害妄想”だ。「私は敵になってる」なんて、ただの被害妄想。

私は被害妄想するような弱い人間じゃない。私はとりあえず弱い人間にはなりたくなかった。

でも、今私は全部をネガティブに考えてしまっていて……だから弱い人間でしかない。

ポジティブに物事を考えることができない。


もうわけがわからないよ……

強くありたい。ポジティブに生きたい。なのにポジティブに物事を考えられない。

辛い。なんで強くなりたいのに強くなれないの?

強くなりたい。なのに……

私の心はずーっと同じことしか思えない。同じ思いだけが私の胸を壊そうとする。

なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?

なんで強く生きれないんだよ!

なんで私強くなれないんだよ!

なんでこんなに弱いんだよ!

なんでなんだよ!!!

私……なんでこんなに弱いの?

誰か私を救って。

私の心を強くして。

誰でもいいから!

強く生きさせて。

強くならせて。


ビュー……

風が吹く。

足元がふらっとなった。涙が零れる。一粒だけ。

あとはもう泣かない。一粒の涙しか零さない。強くなるために、そう決めた。

学校の屋上。今日は学校が休み。部活をやってる人も誰もいない。

二粒目の涙が零れそうなった。

だから私は心を決めた。

涙が零れぬうちに……

飛び降りた。



―――ピーポーピーポーピーポー

薄れ行く意識の中で救急車の音だけが聞こえていた。

やっと死ぬんだ。

強くなったんだ。

私の度胸を認めてほしいな、誰かに。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ