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青年Aの場合

作者:

僕は小説が好きだ。自分にはない人の人生が見える。ありえないことが起こる。ありうることが起こる。存在しないはずの人の人生に共感や同情、感動を覚え、そしていつの間にか自分はその小説の中の一登場人物として存在しているかのような実感を覚える。


本を閉じた時、現実が見える。自分はやっぱりまだ生きているし、学校はあるし、仕事もある。行くべき場所に行ってもこれと言って変わったことは起きず、どこからか頭に語りかけてくる声なども聞こえない。


現実はつまらない。非常に。そして、自分の存在意義も分からない。



この誰でも代替が可能な世の中で、自分が存在する意義はあるのか。



勉強して、就活などをして、会社に入り、仕事をこなし、お金をもらい、そして退職し、老後を過ごす。


「たった一度の自分だけの人生だ。やりたいことを精一杯やりなさい。」なんて言ってくれていた先生も、いつの間にか進学実績を残すのに精一杯。「頑張ったね。すごいね。」とよく褒めてくれた親も、今は「大人になるんだから我慢は必要。」。


この世の中、結局僕が僕であり、ここに存在し、仕事をし、人と話す理由など全くないのだ。僕がいなくても、そこに立つことの出来る人は山ほどいる。誰も困らない。僕も困らない。


暗いやつだと、病んでいると思われてもいい。若気の至りで書いていると思われてもいい。ただ僕は誰かに必要とされたいだけなのだ。書くことで、自分を見つめ、自分で自分を必要としたいのだ。



この代替可能な世界で、僕が僕である理由を見つけたい。


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