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第三章 crystal 参

「まァ、そう固くなるな」


彼女はにっこりと微笑みかけた。薫と話していた時とはまるで違う態度だった。


(そんな笑顔反則だろ…)


奏は頬が紅潮し、俯いてしまった。不思議そうに香蓮は奏を見ていたが、奏は一向にリラックスする気配が無かった。


「とりあえず…目的地へ向かうぞ」


香蓮はそう一言呟くと、前へと歩いて行った。奏の手を掴んだまま。


(なんで進めるんだ…?)


ふと、奏は疑問を抱いた。


「それはお前の力を私が預かっているからだよ」


「えっ!?」


(俺、何も言ってないよな…)


「お前の力のほんの一部だよ。触れ合っていると心も伝わるらしい。力が戻ればこの能力もお前に戻る」


不思議な会話だった。傍から見ると、ただの香蓮の独り言である。


「もうすぐ目的地だ。前を見よ、あそこに鎖で巻かれた水晶球があるだろう?あれがお前自ら封印した、お前の力だ」


そう言われて奏は前方を見た。大きさでいうと、数十メートルはあろうかという巨大な水晶球がいつの間にか現れていた。


そしてその傍には、桃色の記憶の水晶があった。水晶球に負けず劣らず大きい。


「これをどうすれば…?」


鎖でぐるぐる巻きになっている水晶球を見上げ、奏は尋ねた。


「なァに、何てことはない。触れるだけでよいのだ」


にこり、と香蓮は微笑んだ。


(女神だ…)


奏は素直にそう思った。


すると、香蓮はかぁっと頬を赤らめた。奏は思ったことが伝わるということを忘れていた。


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