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如月兄とリアルセクシーコマ〇ドー



「ええ、良助! はぁぁぁぁっっ!! テクノォォッ! ブレェェイク!!!」



 屋上に響き渡るその声に、俺達は思わず凍り付く。



(テクノ……、ブレイク……?)



 なんだ? もしかして、何かの技名なのか……?

 いや、違う……。俺はこの名前をどこかで……………………!?


 思い……、出した……!

 そうだ、テクノブレイクといえばいわゆるアレだ。


 俺達若者の多くが経験する、非生産的行為。

 そう、確かアレにまつわる逸話だった筈だ……

 

 アレは色々と持て余し気味な若者が、自分の欲望を鎮める為に行われる儀式である。

 いや、若者だけに限った話ではないな……

 この苛酷なストレス社会により、多くの人々は抑圧され、逃げ場を求めているのだ。

 そんな者達にとってソレ(・・)は、手軽に行える息抜き(・・・)であり、ストレス発散行為でもある。

 故にソレ(・・)は、定期的に行われるべき行為だと言っても過言では無いだろう。


 しかし、ナニをアレするにしても、物事には必ず限度というものがある。

 その悲劇は、ある一人の戦士が限界を超える行為に及んだ際、起こったとされる。


 所説によると、その戦士はかの儀式を1日35回、一週間欠かす事なく行ったという。

 その数字は間違いなく異常であり、志を同じくする戦士たちも、その凄まじい性神力を持つ戦士に敬意を払ったそうだ。

 しかし同時に、彼らはこうも思ったそうだ。

 なんと愚かな……、と。


 結果として、かの戦士は自らに課した苛酷なスケジュールでソレ(・・)を行い、名誉(?)の死を遂げた。

 その悲報は、全世界に存在する多くの戦士達に、酷い動揺を与えたという。

 ある者は戦死の(ほまれ)だと称え、またある者は引き際を弁えぬ愚か者と謗る(そしる)

 こうして、彼の死に対する見解は、戦士達の間で長く討論されたという。

 その際、この死因に対する呼び名として定着した名前こそが、『テクノブレイク』なのだ……






 まあ、ぶっちゃけ、造語なのだが、実際にテクノブレイクは起こり得る悲劇ではある。

 そりゃ、そんな回数興奮状態になってたら、ヤバイ血管くらい切れてもおかしくないだろう。


 で、問題はその『テクノブレイク』と叫んだこのアホ女についてだ。

 何を血迷ってそんなことを叫んだのか知らないが、叫んだからには何か理由があるのだろう。

 一緒にいた男が、使え! とか叫んでいたので、もしかして何かの技なのか……?

 技だとしたら、一体何をする気だ……?


 …………え? まさか、もしかして、ひょっとするとエッチな技だったりするのだろうか!?

 よく見るとこの女、凄まじくスタイルがいい。まさか……、まさか……!

 もし『テクノブレイク』という名に意味があるとするならば、それは全然あり得る話である。

 俺は今、リアルセク〇ーコマンドー使いと対峙しているのかもしれない!?


 静まり返った空気の中、俺はこの状況にどう対峙すべきかと、頭を高速回転させる。

 それを知ってか知らずが、アホ女がゆっくりと歩きだした。



(来るか!? ……………………っ!?)



 異変に気付く。

 先程、俺が『テクノブレイク』の正体について考察する際、目に焼き付けたモノ。

 それは、このアホ女のおっぱいだ。それはいい。実にいいものだ。

 しかし……



(目が、離せない!?)



「……愚かね。貴方達はチェスや将棋でいう『詰み(チェック・メイト)』にはまったのよッ!」



 なん……、だと……?



 そう思った瞬間、首に凄まじい衝撃が走り、俺の意識は途絶えた。





 ◇





「……おい、こりゃ一体どういうこった?」



「ふむ、どうやら尾田君にはかからなかったようだね。おめでとう。君は第一関門を突破した」



 ぱちぱち拍手する。いやぁ、結構嬉しい誤算だ。

 なんだか尾田君とは、この先長くやっていけそうだな~。



「第一関門ってなんだよ!」



「ま、いいじゃないか。とりあえずこの場は片付いたワケだしさ。まあ放置していくのもアレなので、尾田君もてつだ……」



「ていっ!!」



「んなっ!?」



 変な声を上げて沈む尾田君。

 ……しまった。一重(ひとえ)を制御するの忘れてた。



「ひーちゃん、駄目だよ蹴っちゃ……」



 ああ、つい昔の癖でひーちゃんとか言っちゃったぜ。



「えっ? だって両成敗って……?」



「テクノブレイクが効果無かった時は様子見って言っただろ? 視点誘導効いてないんだから……」



「あ……、そうだった……。ごめんなさい、りょー君……」



「いや、俺も注意するの遅れたし、ひーちゃんが無事ならいいんだ」



 俺のが移ったのか、一重まで昔の呼び方に戻ってる……

 まあ、何事も無かったわけだしいいけど、尾田君には悪いことしたな……



 『テクノブレイク』は、彼女を外敵から守る為に俺が伝授した視線固定魔術だ。

 この魔術の効果は、彼女の体をイヤらしい目で見た者の視線を、見た箇所で固定するというものだ。


 この世界には魔力を持った人間はほとんどいない。

 俺自身もカスのような魔力しか持っていない為、前世のような魔術は残念ながら扱うことが出来ない。

 しかし、この雨宮一重(あまみやひとえ)は違った。

 彼女は、この世界では異例と言えるほどの魔力を持っていたのである。

 大魔術を扱えるほどでは無いが、軽く見積もっても俺の10倍近い才能があると言っていいだろう。



「ひとまず、尾田君を保健室に運ぼうか。流石にこのままにしておくのは忍びないし」



 本当は尾田君と手分けして、如月兄達も運ぶ予定だったんだけどな……

 まあ別に大した怪我はしてないし、壁際に寝かせておけばその内気づいて帰るだろう……





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― 新着の感想 ―
[良い点] 展開が面白いですね。強い人間が転生したのに 恩恵がないとか、やり取りが阿保っぽい所とか 良いですね。 [一言] ここまで一気読みしました。これからも 時間があれば読み進めたいと思います。 …
2020/03/06 06:34 退会済み
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