十日目
地球から738億光年離れた惑星オートゥエンティーでは、仕事なんて見つからない。そんな日向陽介にナポリが一つの提案をした。
十日目
次の日の就職活動も空振りで終わった。
小遣いで買った果実を頬張りながら居候している部屋へ帰ると、ナポリが起きていた。
「ただいま」
「おかえり」
ナポリが返事をしてくれたのは意外であった。
目はもう鋭い。何か後ろめたいことでもしたかと考えてしまう。
「アッパ、仕事が見つからないのだろ」
「……ああ」
ナポリは俺のことをアッパと呼ぶことにも慣れてきたようだ。息を大きく吐きながらソファーに座った。
「別に仕事を見つける必要などないじゃないか。食費も殆どかからないのだから」
「そうはいかない。俺だっていずれは一千万円貯めて地球に帰らなくてはならない。いつまでもここでこうしている訳にはいかないんだ、なんせ……」
地球には妻子がいるとは口にしなかった……。
「じゃあ私の仕事を手伝うか?」
――?
ナポリの目は普段と変わらない。冗談ではないのだろう。
「俺なんかが役にたてるのかい?」
「今は無理だ。だが、あの単射を操縦できれば、少しは役に立つだろう」
「単射? あの二人乗りのマシンのことか」
「そうだ。単独移動用噴射機搭載の略で単射と呼ばれている」
名前はともかく、一度乗っただけでその性能は十分わかっていた。
「あんな高速で飛ぶものを……俺なんかが操縦出来るだろうか」
「出来なければそれまでだ。明日、一日あれを貸してやる。乗りこなせれば私の手伝いをしろ」
ナポリはそう言うと風呂場へと消えた。ウエットスーツに着替えるのだろう。
いつの間にか手に汗をかいていた。あんなマシンに乗って、何をさせられるのだろう。ただの足がわりなんて簡単な仕事でないことくらい……想像がつく。
ただ――、
乗らなければ何も始まらない。