2話 ちーっと悩む
俺の異世界へ移動は転移という形をとられる。
死んだのに転移? って思ったけど蘇生というか受肉して、そこから転移という流れになるらしい。ちょっとややこしい?。転生するには時間が押してるのもあるが、パパとママが居ないらしい。力ある子を産むには力をもった両親じゃないとダメなのだとか。いやパパは産まんか…って、処女受胎じゃなくて父から産まれるってのもレアパターンでいいかも、と思ったけどどこから出てくるのか考えたらノーセンキューでした。閑話休題。
「あなたにこちらの世界を渡ってもらうのにあたって、天恵を授けさせていただきます」
オンラインゲームのチーターは、吐き気するほど嫌いですが、チートは喉から手が出るほど欲しいね。女神様の世界には化け物とかいるらしいし、なんらかの戦う力は欲しいところだ。
「こちらの世界に存在する生物、そして石ころや水の一滴にいたるまでマナという力に満ちています。これはあなた方の世界ではとても希薄なもので…」
女神さまの説明によると、うちら地球の生物は、例外の規格外な人を除いて、殆どマナというものを持っていないそうだ。これがあちらに世界に行くとスポンジが水を吸うようにマナを取り込むらしい。健康に害はなく、逆に体のポテンシャルが跳ね上がるそうだ。とはいえ化け物と素手で殴り合って勝てるかと言われたら難しいらしい。彼らには鋭い牙や爪があるから。ってことは力自体は化け物レベルになれるってことか。ふむ。
「ですので、この目録からお望みの能力を3つ選んでください。光魔法、肉体強化などはおすすめです」
先ほど女神さまがみていたホログラムの板みたいなものが、俺の前に浮かびあがる。そこには、さまざまなスキルが表示されていた。なぞるように手を動かすとスキルがスクロールする。操作が判りやすくていいね。
火、水、風などの属性魔法。
肉体強化などのパッシブ系能力。
錬金術、鍛冶とかスキルもあるのね。
「錬金術で強力な金属を生み出して、鍛冶で神話級の武具を作り、人々に戦う力を与えていく……という方法もありますね」
女神様自身が人々に与えればいいのでは? と尋ねてみたがそれはダメらしい。神托など直接世界に影響するような力を使うと、バランスに大きく変動が起こる。その反動がどうでるのか判らないということだ。現状ではリスクが高すぎるとのこと。神の鍛冶屋か。ちょっと興味が無いでもないが、暑いのは嫌だな…。
いろいろ組み合わせを考えてみた。風魔法で超高空を飛び、そこから土魔法で大岩を作り絨毯爆撃する!!。とか言ったら女神さまに渋い顔された。安全策で良いと思うんだけどなあ。
やや暫くスキル表とにらめっこしていたが、なかなかこれだという答えは出なかった。ここでの選択が、これからの人生に多いに影響するのだからね。悩むなといわれても無理がある。
スキルの代わりにお願いを聞いてもらうのはダメですか?と聞いてみた。
「お願い……ですか? それでよろしいのなら天恵の代わりにできますけど」
俺は心の底から叫んだ。
「君の様な女神に×△ーー」最後まで言えなかったヨ……。
女神さまは、やっぱり…という表情ながら教えてくれた。
「その願いは、全神域にプロテクトがかけられています。以前、女神を連れ去られ、機能不全に陥りかけた世界がありましたので……」
漫画の世界の話かと思ったら、マジでやらかした先人が居るらしい。裏山けしからん。
出鼻をくじかれ、ちょっとふて腐れ気味にスキル表をまた調べ始める。
あれ? これまだ次ページがあるみたいだ。くいくいとスクロールさせてみると、また違ったスキル群が表示されていた。
「ああ、そちらはすこし強い天恵になります。ただそちらを選ばれると、他を選ぶ事ができません。ですのであえて紹介しなかったのですが」
なるほど、なるほど。神龍転生、異世界召喚、不老不死、タレ召喚……。確かにこの辺りはバランスブレイカーっぽいのが並んでるのね。よく判らんのもあるが。
そんな文字を指先で追い、その4文字を目にしたとき、俺は天啓を得た。
「 時 空 魔 法 」




