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Color of destiny

作者: 皐月

 あなたは運命を信じますか?


 それともくだらないと笑いますか?


 私は信じています。誰が何と言おうと。

 

ーーーーーーー


 『運命の赤い糸』ってありますよねぇ。

 皆さんはそれを信じていますかぁ?


 私は信じています。だって()えるんですもの。

 不思議に思いますかぁ?可笑しいとか、狂ってるとか思いますかぁ?


 それでも私には視えるんです。

 

 知っていました?

 糸は赤色にとどまらず、黒とか、白とか、はたまた薔薇色とか、たくさんの色があるんです。

 虹色みたいにカラフルな色ではないですけど、それぞれにしっかりと意味があるんですよぉ。


 赤い糸は愛する者同士を結ぶもの。一般的な色ですねぇ。

 

 …ついでに余談ですけど恋のキューピッドってありますよねぇ。実はあの天使さんが射った矢の後ろの方、矢筈(やはず)っていうんですけど、そこのところに赤い糸がくくりつけてあるんです。それで射ち抜いた2人を強引に赤い糸で結んでくっつけているんですよぉ。

 天使とは思えない荒業ですよねぇ。


 そういう人はすぐに分かります。何もしなくても赤い糸は3本、その人と誰かが繋がっているんですけど、弓で射られた人は4本ありますから。それもとびっきり太い糸です。

 3本の内、絆が強い人が1番太いんですけど、それをかき消すかのような勢いの糸が見えます。それは、もはや糸とはいえないかもしれませんねぇ。


 さて、あなたは運命を信じますかぁ?


 例えば…そちらの2人は分かるんじゃないですかぁ?とても仲良さそうに見えますけど。

 

 …あら、そちらの彼女さんはあなたのことを慕ってくれているみたいですねぇ。彼女さんから伸びている赤い糸の中で一番太いですもの。良かったですねぇ。


 …でもあなたは違いますよねぇ。あなたの赤い糸は彼女さんに1本も向いていませんもの。一番太いのはあなたの後ろにいるそちらの女性に向いていますねぇ。先程からチラチラと見ていましたし…フフ、図星ですかぁ?

 …あなたの彼女さんと繋がっている糸は薔薇色ですねぇ。色は似ていますけど、これは遊び相手の男女に結ばれるもの。残念ですよねぇ、せっかく彼女さんはこんなに想ってくれているのに…

 …ちなみにあなたが気にしているそちらの女性は相思相愛の人がいるようですよぉ?


 …そして、そちらのあなたは付き合っていないのなら勇気を出して想いを伝えてみてはどうでしょう。

 ええ、多分まさしくあなたが想い描いたその人です。男性ではないですけどねぇ。…フフ、こちらも当たっているようですねぇ。

 周りからの反感を買うかもしれませんけど、後悔はしないですむと思いますよぉ。お互いにとても太い紫色の糸が見えますから。簡単には崩れないと思います。そこの2人のように…ねぇ。


 あらあら…フフ、そちらの彼女さんの糸の色が変わって来ていますよぉ。赤色から黒色に…


 黒い糸は嫌ったり、憎んだりしている者の間に結ばれるもの。頑張って下さいねぇ。


 …あら?…私に感情(いと)を向けたって無駄ですよぉ。全部見えてるんですから。


 …全部見えてるんですから、どの糸だって切ることができます。自業自得として、受け取って下さいねぇ。


 …では。





 プツッ



 …私をみてどうかしましたかぁ?


 …そうですよねぇ。なにもないでしょう?


 …ほら、あなたの彼女さんが怒っていますよぉ。どうにかしないといけないんじゃないですかぁ?


 …フフ、頑張って下さいねぇ。


 …あなたも素敵な人生が送れると良いですねぇ。


 …機会があったら、また会いましょうねぇ。


 …それでは皆さん、さようなら。



ーーーーーーー




 …あら?あなたの糸、彼女さんに向いていないですよぉ。悲しいですねぇ。


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