初デート?はCDショップ?!
「莉央、付き合って欲しいんだけど…」
…?!
これは、夢だろうか…憧れの藤枝君がアタシに付き合ってくれだなんて!?
はぁ〜夢なら、覚めないで欲しい!!
「…なぁ、莉央聞いてる?放課後暇なら付き合って欲しい所あんだけど…」
「えっ!?あぁ、付き合って欲しい…場所があるのね…うん、全然暇だし、大丈夫だよ…」
…まぁ、わかってたよ、こんなオチだろうとはさ。そもそも今のアタシは男の子だったよ…BLになっちゃうよ…まぁ、でも、それはそれで悪くな…。
莉央はまたもやひとりニヤけ出していた。
「よかったー!ササは今日、バイトだって言うからさ!莉央が行ってくれてマジ感謝!」
トクンっ。
そこには莉央がずっと憧れていた藤枝の笑顔があった。
「でな、限定のCDが一人一枚しか買えないんだよ!二種類あんのに!でもどっちも欲しくてさー。悪いな、付き合わせちゃって。」
「いや、そんなの全然いいよ!」
「そのバンドっつのがさー…」
信じらんない。
放課後、こうして、藤枝君と並んで帰れるなんて…。
笹沼君のバイトにマジ感謝!!二人っきりになれるなんて!
なんかさ…まるで、ホントに付き合ってるっぽくない!?
莉央は自分より少し背の高い藤枝を見上げる。
まっ…はたから見たら、ただの男の子同士何だけどね…。
直ぐに現実を思い出し、溜息を吐く莉央だった。
「あっ、着いた。入ろうぜ。」
こんな所にCDショップなんてあったんだ。
莉央は正直、CDを殆ど買ったことが無かった。まして、こんな個人のCDショップなんて入ったことすら無かった。
「アタ…俺、音楽って結構ダウンロードが多いから…あんまりこういう所来たこと無くて…」
「まあ、俺も基本はそうだよ。でもすんごく気に入ったやつとかはやっぱりCDで欲しいって思うんだよね〜」
なるほど、男の子って女の子より、収集癖?ある人多いしなー。
莉央にはCDショップが新鮮に見えた。
狭い店内にはギッシリとCDが並んであった。
「ここはさ、結構インディーズバンドなんかもいっぱい置いてあんのな。えっと…あった!近所だとこの店しか置いてないんだよ」
そう言って藤枝は平積みになっているCDの山を見つけた。POPには注目バンドと書いてある。…業界ではそれなりに名の知れたバンドなのかな?!
「俺は青のジャケットのやつ持ってくから、莉央はコレな」
そう言って、赤のジャケットの方を莉央に渡した。
「Z…☆…panks?!」
「そっ。聞いたことある??」
「…いや、ごめん、名前に☆がついてるのは"つのだ☆ひろ"しか知らないや…」
莉央が申し訳なさそうに答える。
藤枝は、つのだ☆ひろこそ誰だよ!?っと思いつつ、「まあ、インディーズだしね、知らなくて当然だよな」と答え、レジに並んだ。
先に買い終えた藤枝が"外で待ってる"と目配せをした。
莉央は顔を赤らめながら、小さくうなづいた。




