トイレでピンチ!!
はあ〜、し・あ・わ・せ。
莉央はやっとの思いで、尿意から解放された余韻に浸っていた。
そうだよ、何焦ってたんだか。最初っから個室に入れば良かったんだ。
莉央はトイレットペーパーをカラカラ鳴らす。
…まあ、でも…立ちションって実は少し憧れ?もあったりするんだよね〜。帰ったら家のトイレで練習しよーっと。
莉央がトイレの個室から出ようとお尻をあげた時、何やら外で話し声が聞こえてきた、
「…?」
「おい、ここ、さっきからずっと入ってんな。」
「くそなんじゃね??もしくは昼間から自家発電でもしてんのかもよ!」
下品な笑い声が聞こえる。
…え?!アタシの事!?っか、自家発電って何の事?!
どうしよう…気まずくて出られない…。
すると、莉央の入っている個室のドアが外から乱暴にノックされる。
ドンドンっ。
「おーい!誰か入ってんのかー?」
「返事しろよー!」
ううっ、今出たら、アタシはう○こってあだ名がつくに決まってる!そんなの嫌!絶対に嫌!
莉央は落ち着くまで、沈黙を貫くことに決めた。
「…」
外が静かになったので、なんとか諦めてくれたのかと、ホッとしたのもつかの間だった。
「おい…」「ああ…」
ジャーッ、キュッ。
ん?水の音?…なにかに汲んでる?
「おい、出てこないなら、水かけるぞ〜!いいか〜」
えっ?マジで言ってる??ちょっと??
「3…2…」
うそうそー!待ってー!
莉央が急いで扉を開けようとしたその時…。
「おい!」
ドスの効いた声に思わずビクッとなって、二人は手を止めた。
「あっ…笹沼君に…藤枝君…」
「バケツなんか持って何やってんだよ?」
笹沼が二人を睨む。
「いやっ…その…」
笹沼の迫力に二人はたじろいだ。
「トイレ、使いたいんだけどいいかな?」
藤枝が笹沼を制して、二人に言った。
言葉は穏やかだが、目は笑っていない。
「あっ…どうぞ〜、俺たちは今でるところだったからさ〜」
そう言うと二人はバケツを片し、そそくさとトイレを後にした。
藤枝君と…笹沼君?
莉央はゆっくりとドアを開けた。
「莉央!お前、やっぱ調子悪かったんか??顔青ざめてたし。大丈夫かよ?」
藤枝君が心配そうに言う。
「あっ、ははっ…いや、もう大丈夫」
まさか、尿意を我慢して青くなっていたなんて言えない。
二人とも、心配してきてくれたのかな…?
…優しいな。
ふと、笹沼がこっちをじっと見る。
目力のある瞳に見つめられ、莉央は不覚にもドキッとしてしまった。
だって、しょうがないよ、乙女ですもの。
「笹沼…君?」
「…下痢ピーか」
そう言うと笹沼君はスタスタと教室に戻っていった。
「えっ?」
「なんだー!下痢ピーかよ?変なもんでも食べたんか?」
藤枝は呆れた様な顔をしてそう言うと、
「全部出し切ったか??大丈夫なら、俺らも教室戻ろうぜー」と莉央の肩をポンッと叩いた。
えっ?
いや、違うし!下痢じゃないし!そもそもう○こじゃないし!!
藤枝はすっかり下痢で納得したらしく、下痢には何が効くなど、話している。
「あっ…いや、だからね、下痢だなんて一言も…」
藤枝は案外人の話を聞かないタチらしく、莉央の訴えにはおかまいなしで話を続ける。
最悪だ…好きな人にう○こしたと思われるなんて…しかも下痢う○こ…。
やっぱり、早く女の子に戻りたい!!
心底そう思う莉央であった。




