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ある前世持ち侍女の納得いかない現状  作者: みあ
番外編

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76/82

後輩侍女は観察する 1

 この方はもしかしてアイリアさまが好きなのではないかと私が気付いたのは、何の前触れもなく、主であるシーリィさまに半休申請を要請するのを耳にしたからだった。

 その方の名は、セルク・アートレス。私たち武家の一番上の家柄のアートレス家の若き新ご当主さまだ。

 私がセルクさまのお名前を初めて聞いたのはもうずいぶん前のこと。父が興奮がちに若くして騎士になったアートレス家の嫡子の話を母にしていたのを聞いたからだった。

 そして、幼心にすごい人がいるのだと印象に残していたように思う。そのことに、私は十五で城に行儀見習いに上がったときに気付いた。

 セルクさまのダメダメな噂を耳にしたときに、若くして騎士になったことで父をかつて興奮させた人の名前と一緒だと思い出したので。

 女と見れば見境なく口説いてくるので注意するようにと先輩侍女から忠告を受けた際に、かつて父が誉めていたはずの人の名を耳にしたときの私の驚愕を理解していただけるだろうか?

 もしかしたら記憶違いで、アートレス家には他にも男子がいるのではと考えたりもしたけれど、セルクさまはアートレス家唯一の男子だった。

 お父さまである騎士団長の七光りかなんなのか裏の事情はわからないけれど、私が城に上がった当時にはセルクさまは王女さまの唯一の護衛騎士でいらっしゃった。

 裏の事情といったのは、王女殿下は魔法国家であるラストーズにあって魔法の使えない方だからだ。どちらがどちらに対してそうなのかはわからないけど、魔法の使えない王女さまに素行のいまいち良くない騎士をあてがうというのは、なんというかその、お互い厄介ごとを押しつけあったんじゃないかなあと印象を持ったんだよね。

 まあとにかくそんなわけだったので、心配することなく王女の騎士さまと兵士家出の下っ端侍女が面識を得ることなんて考えられなかったのだけど――。

 それでも夜会やなにかでお姿を遠目に見ることはあった。へらへらしながら、噂通りに女性の間を渡り歩いている姿を目撃すると、確かにあまり近づくのは良くないような気がした。

 顔立ちは整った方ではないかと思うのだけども、しまりのない表情ですべてを台無しにしていた。

 少しでもいい将来の旦那さまを見つけたいと思えばこそ、セルクさまは避けたい。

「あの方は悪い方ではないんだがなあ」

 と、父に暗におすすめできないという響きで言われたら、何をどうこうできるわけもない。する気もなかったけど。

 同じ武家のくくりに入れられてはいても、アートレス家はうちよりもだいぶん家格が上だ。そういうところと縁付くと気苦労しそうだもの。ちょうど見合ったくらいの、自分を大事にしてくれそうな人が望ましいなと感じていた。

 同時期に行儀見習いに出たほとんど同格の仲間も、だいたい同じ意見だった。


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