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ある前世持ち侍女の納得いかない現状  作者: みあ
番外編 ある騎士の独白

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6 出来る男(自称)の目標と行動

 さて、密やかに将来のシーリィちゃんの戴冠を目標に掲げ、遠回りにアイリアちゃんを近くで愛で続けることを目指しはじめた俺ではありますが、実際のところ状況は芳しくありません。

 魔法国家を自称する国で魔法を使えない王ってなしでしょ、という意見が上位貴族の大勢を占めてますので、国王陛下が「これからは魔法にばかりこだわってられないぜ?」なんて息巻いてもなかなかうまいこといくわけがない。

 国王陛下を除いて王女派と堂々と名乗りを上げるのは、レイちゃんの出身――この機会に巻き返したい落ち目にある名家ホネスト家に、魔法を使えない王が出たら下位だ下位だと言われてる家だって公爵家だからのし上がってやるぜ、な父上率いる我がアートレスくらい。

 え、アイリアちゃんのファートレン家はどうだって?

 武家二位の家柄にあるファートレンは当主夫妻が王妃に仕えているし、ましてアイリアちゃんのお母上は王女殿下の乳母をしていた人――ではあるけれど、静観の構えだ。

 アイリアちゃんのお父上の騎士団副団長どのは、よく言えば慎ましやかな――見た目はすっごい無骨ないかにも武人って人でそんな言葉そぐわないけどね――分をわきまえた人であり、悪く言えば野心のない人なんだよね。

 上を目指して一か八かの勝負に出た家の父上より、きちんと情勢をみた上で一族のことを考えてるんじゃないかな。ぶっちゃけ地位には大きな責任がひっついてくるので俺は副団長の考え方はありだと思います。

 好きな人の親だから媚び売ってるわけじゃないよ?

 王妃さまにべったりのファートレンは実質的に王女派と見なされているも同然なので、静観してるよりこっちにがっつりと力を貸せよーとも思うし。

 まあそれはいいとして、劣勢を覆すのには味方の存在が不可欠だと俺は判断しました。

 まずは王女派劣勢と見て積極的に出ていないだけの層の取り込みに手をつけてみようかってね。

 ――ええそれにはもう筆舌に尽くしがたい苦悩があったけども。

 口にはされなかったけど、あちこちの夜会に出歩いちゃあ女性たちの間を渡り歩く俺のことを内心軽蔑していそうな眼差しがアイリアちゃんから注がれている気がしてたまらなくて。

 彼女の信用が地を這うような俺でも、一応やるべきことはきちんとやってるんだよ?

 出仕前に家でも体を動かしてるし、登城してから夕刻までは殿下の護衛任務、夜をお任せする王妃の騎士への引継をすませた後に訓練だって、ちゃーんとね。筆頭武家の威光を盾に首尾よく王女の騎士に任命されたちゃらちゃらした俺への騎士の視線は厳しいので、個人的な訓練が主だけどねえ。

 ただ、意外と兵士連中からの受けはよいので、そっち方面とはよく手合わせをしたりなんかして。

 魔法を使えるか使えないかで大別されるラストーズ貴族だけど、下位貴族とされる武家の家でも騎士家系かそうでないかという格差も存在する。

 つまり、首尾よく建国当時から武家の上位に食い込んでうまいこと魔法使いの血を取り込めた結果魔力保有量が多い家系と、そうでないところってことで。

 見た目の洗練された騎士服にかけられた守護魔法の発動が出来るか出来ないかが、騎士になれるか否かを分ける――魔法を主としたこの国の仕組みは複雑に見せかけて突き詰めると単純なもんです。

 ただそれだけのことで、騎士になれない腕の立つ兵士がどれだけいることか。その辺の不満をくすぐって、「魔法を使えない王」を望む層を増やすことも可能だよねー。

 手合わせのついでにそのあたりを探る、出来る男は一つのことにいくつもの意味を込めるもんです。

 あとは、騎士層の奥方やら、上位貴族にあっては下位のご令嬢に夜会でほどよーく近づいて、お家の事情なんかをそれとなく収集してるわけですよ。

 え、何で男性陣じゃないのかって?

 俺は劣勢な王女派に名を連ねるアートレスの嫡男だからねえ。いくらかるーい感じを装っててもどうしても警戒されるってもんですよ。

 ガチガチ生真面目なホネスト家のレイちゃんほどは警戒されてないけど。

 それに比べて女性陣ときたら、てきとーにちゃらーく近づいてくる俺にそこまでの警戒心がない様子。俺、見てくれはいい方ですから。いつもより真面目さを醸し出して美辞麗句の一つや二つ口に乗せれば、いい感じに情報が引き出せるという。

 どうにかなりそうならご当主の方にも話を持ちかけようかなーという家の目星も少しずつついてきます。

 魔法が使えないからって夜会に出られない王女殿下にならって同じように不参加を貫いてるはずのアイリアちゃんが、何故か俺が夜会の間中女性の間をふらふらさまよっているという情報を耳にしたらしくて地面にめり込みそうな彼女の俺への信用にさえ目をつぶれば、割と首尾は上々なんですよ――大丈夫、最終目標を果たすまで、俺は負けないー!

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