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 30 動画(2)

                         

                    30 動画(2)


「妖鬼様の動画、その三!」

 ウヅキの声でまた画面が切り替わり、やはりネットからのダウンロード風な画面の登場である。しかし、前の二つとは決定的な違いがあった。それは、音声が全部入っていることである。

 そればかりではない、場所はどこかの学校の裏庭らしいのだが、奇妙なのは女子高生の顔である。少し崩れていて、まるでゾンビの様な感じなのだ。


「グウアー、グウアー、……」

 気味の悪い声をあげながら、二人の女子高生は重そうな足取りでジリジリと半裸の姿の妖鬼に迫って来る。

「法律は間に合わない。お前たちはここで死ね!」


 これは妖鬼の声。その後、

「バシッ!、バシッ!、……」

 妖鬼は襲って来る二人の女子高生のすねの辺りに強烈な回し蹴りを二、三発ずつ食らわせた。しかし強烈と言ってもウヅキの蹴り程ではない。にもかかわらず、女子高生達は足の骨が折れた感じでその場に倒れ伏してしまった。

 それっきり女子高生達は動かなかった。殺したと言うよりも、傷害致死の感じである。しかし、死ねと言っている以上、殺意があったと認定されることは必定である。


「俺は津下原陽気。しかし、妖しい鬼、妖鬼と、俺は改名した!」

 妖鬼はくるりと背中をカメラに向けた。そこには大きく「妖鬼」の入れ墨があった。

「俺はたった今から、津下原と縁を切る。じゃあな!」

 そこで動画は終わっている。


『変だぞ、入れ墨の色が普通だ。もっと黒々としているはずだが。どうしてだ……』

 動画の内容よりも入れ墨の色が気になった。


「これはどうかしら。……ミソカさんはこの動画が一番信憑性が高いって言うんだけど、これって、まるでゾンビ映画よね。物凄く嘘くさい気がするんだけど、ねえ、ご本人には分かるはずよね。 

 でも、全部作り物で、本当は、真実は全然別なんじゃないかと私は思っているんだけど。あの、言い難いかも知れないけど、本当のことを言って欲しいのですけど、……」

 ウヅキはかなり遠慮して言った。この件はもっと後でと、ミソカに言われているのである。しかし、密かに憧れを抱いている妖鬼本人を目の前にしては、

『何としても真実を知りたい!』

 その欲求に負けてしまったのだ。


「悪いんだけど、よく覚えていないんだよね。一つ、聞くけど、俺が天国かも知れないラブホテルに最初に来る前にどこにいたのか知っているか」

 ユキオは記憶喪失を装うことにした。


「あの、山小屋でしょう? テレビで随分報道されていたから、有名よ」

「じゃあ、その前は?」

「えっ、その前は、はっきり分からないけど、多分、津下原グループのアジトとか、ひょっとすると別のラブホテルとか……」

「いや、全然違う、俺はスイーツ研究所の地下に閉じ込められていたんだ」

「ええっ! スイーツ研究所? それってどこにあるの? 聞いたことがないわね」

「今はあるかどうかわからんけど、山小屋に連れて行かれる直前までそこにいたんだから、ノースイーストシティに確かにあったはずだよ」

「じゃ、じゃあ、検索してみるわね、ノースイーストシティ、スイーツ研究所」

 ウヅキは半信半疑な気持ちだった。


「スイーツ研究所は存在しません」

 テレビが答えた。

「じゃあ、一か月前は?」

 今度はユキオが言った。

「…………、不確実な情報ですが、ここでしょうか?」

 やや時間が掛ったが、上空からの画像には、確かにそれらしい白亜の建物が映っていた。


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