通りすがりの人たち。
『とある(特殊な)服飾店アルバイト、Aさん(20代 女性 特記事項:腐女子)』
閑話に登場。Aさん。20代。女性。そして腐女子。
二次元に生きる筋金入りの腐女子。いや、むしろ貴腐人。全方位腐。BLはもちろんのこと、ティーンズ・女性向け男性向けマニア向フェチ向ありとあらゆる二次元的知識の持ち主。
以下、男性には無用の部分ですよ。
ホームグランドはBLゲーム。最愛のキャラはルシフェル様
『星の数ほど抱きしめて(SFアクションボブゲ)』
魔王ルシフェルの降臨を阻止すべく立ち上がる銀河連邦宇宙軍仕官の主人公が、軍の仲間や惑星軍とも協力して、あれやこれや頑張る筋立て。初期の仲間としてエリック君がいる。
最終的にルシフェルのハーレムを解散させると攻略。逆にルシフェルのハーレム要員に堕ちるとバッドエンド。しかしプレイヤー的にはバッドエンドこそ望むところである。ありとあらゆるバッドエンドをコンプリートすると真のエンディングが見られる。
自身でもコスプレをする。その際は常に攻キャラ(←男でも女でも)
身長が足りないところは上げ底ブーツと根性でカバー。○カラヅカでも女王様でもドンと来い。見事な攻様に変身する。
自身のブログ、『Aのクローゼット』にて自作コスプレ衣装を公開。その筋では有名なコスプレイヤーである。
多分、『あたし』の友達のコスプレイヤーとは交流がある。
『とある大型書店文庫部門販売員 Dさん(20代 男性 特記事項:熱血オタク)』
閑話に登場(予定) Dさん。20代。男性。そして無駄に熱い。
『あたし』が時々行く大型書店の文庫階の住人。『あたし』は地下1階のコミックFに用があるので、文庫Fにはあまり行かない。行けば気付くかもしれないが、実は同じ美大出身。卒展に美少女フィギュア出展したツワモノ。無事に卒業したのかは不明。
ネット上でオリジナルの自作フィギュア販売する、その筋での有名人。(著作権侵害はしてないので念のため)
物静かな書店員とは一線を画す。自分が良いと思った本は書店のオススメコーナーにて猛プッシュ。手書きポップは基本中の基本、ポスター描きもお手の物、今週の一押し作品ではワンコーナー乗っ取って自作のディスプレイ。一般の客がドン引きするほどゴージャスかつ精巧に作る。材料費も馬鹿にならない。
「もーちょっと控えめに、ね?」
「何を言うんです! このディスプレイ、外注したらこんな額じゃきかないですよ!」
「いや、そもそもね、場所も取るし、本屋でココまでのディスプレイの必要性がね…?」
「このコーナーの売り上げ分かって言ってんですか!」
「売り上げとそれに比例する材料費がね、費用対効果がね?」
「この物語のクライマックスを余すところ無く表現したジオラマ! 本を読んでみたいという意欲を掻き立てるでしょう! そのためなら徹夜くらいいくらでも!」
「いやキミの睡眠時間の問題じゃないよ、予算の問題だよ」
素晴らしき哉。技術立国モノづくりニッポン。(←勘違い)
週一で変わるこのディスプレイに固定ファンがつくほどで、書店としては痛し痒し。だが細々描き物系の雑用を一手に引き受けてくれるので実は手放せない。
良い作品をいち早く嗅ぎ当てる嗅覚は鋭く、オススメする本にハズレは無い。
……が、熱さで突っ走るので、時々すっとんきょうな勘違いも生じる。
「あ、こちら○○出版の営業さん。で、コレがあの熱(苦し)いディスプレイの犯人です」
「はじめまして。○○出版の××と申します。ウチの本をオススメしていただいてありがとうございます。……しかし、(やり過ぎ感漂ってますので)もう少し控えめで……」
「こんにちわ!はじめまして!! オレ高尾紅葉先生のダイファンっすよ! 今度、サイン会とか握手会とか企画しませんか! オレ張り切ってディスプレイしますから!!!」
「(もみじ?) あ、その。高尾先生は、あまり表には出ない方ですから……」
「そっすか? 本読むかぎりじゃ、すっげクレバーでクールで、でも内面は熱いパッション滾らせてる美女って感じですよね!!」
「…………ビジョ?」
『とある普通の蕎麦屋の看板(古)娘 Eさん (50代 女性 特記事項:世話焼きおばちゃん)』
Eさん。50代 女性 客からはオバちゃんとか女将さんとか呼ばれて慕われている。
創業88年、江戸の蕎麦屋の誇りを守り続ける店に嫁いで早3×年。
三代目のご主人、四代目の息子、その嫁とで店を切り盛りする肝っ玉かあちゃん。
二度三度訪れる客の顔は大抵覚えている。前回何を食べたかもナントナク覚えているので、天ざるしか注文しない『先生』のことはもちろんしっかり記憶している。
実はこの店、『先生』のジーサマも訪れたことがあり、オバちゃんはその通っぷりに感じ入った。
その通なジーサマと『先生』の関係は残念ながら知らない。
『先生』はいつも一人で来ていたので、『あたし』を連れてきたときには内心ニヤニヤ。『あたし』が生わさび摩り下ろすのも不慣れな様子を見せていたときに、「そこはアンタが摩り下ろしてやるところだろ! 今どき亭主関白なんて流行らないよ!!」と気を揉んでいた。
次に来たときに『あたし』が蕎麦頼まなかったもんだから(カツカレーだった)、『先生』がワサビ摩ってあげなかったことが原因じゃないかと思っている。実際は、生ワサビの辛味がダメだったとか。隣のテーブルで定食(ザル+カレー丼+サラダ)食べてる客に釣られたとか。
鴨南蛮もオススメ。燻した鴨とごろっと入った焼きネギ、そして出汁でのばしたカレー汁と蕎麦の相性が最高。
蕎麦かりんとうが隠れた一品。前日の余った蕎麦をかりんとうにして袋売りしているのだが、11時の開店直後で売り切れるために、昼時に来る先生はその存在を知らない。
蕎麦湯には柚子か金柑で風味付けしているのだが、最近は蕎麦湯まで飲む通の客が減った。その点、『先生』は、金柑の時にはおや、って顔をしてくれるので、オバちゃんの覚えも目出度い。
時々、『先生』の顔色をみて、箸休めの漬物の代わりにほうれん草の小鉢をつけたりサラダをつけたりしている。確り野菜も食べなさい子供じゃないんだから、と子ども扱い。
『とある居酒屋の大将 Xさん (40代 男性 特記事項:寡黙)』
藤埜サン編に登場。……実は居酒屋のシーンには必ずいたはずなのだが、寡黙なため、文章にはその気配が欠片もない。
黙々と料理を作る、職人気質な大将。
実は有名料理屋で修行した…なんて過去は無い。
脱サラで自分の城を、……とかいう話でもない。
酒好きが高じて自分の店を、………ってことでもないのは、あ、はい、しつこいっすか。
昼くらいに起床。前日の残り物で朝飯を済ませた後、商店街へ行き、特売品を確認してその日のメニューを考える。
買い物して帰って、仕込み。夕方6時に開店するが、8時くらいまでは空いている。日によって混み具合が違うが、大抵12時くらいまでがピーク。深夜2時に閉店。日曜日が定休日。
酔ってくだ巻く客がいないわけではないが、大将の一睨みで大人しくなる。
作る料理は、無国籍、というか万国籍。何でもあり。食材さえあればフレンチフルコースも満漢全席も夢ではない、かもしれない。が、一人でやってる店なので、まあそれなりに。
この店の常連は、なんでこの店に居ついちゃってるんだろうと疑問に思うこともしばしば。でも料理が美味いし酒の種類も豊富だし、なんだか居心地イイし、しゃーねーな。
『とある宝飾店勤務ジュエリーデザイナー Jさん(20代 男性 特記事項:接客に難あり)』
閑話に登場……するかも? Jさん。20代。男性。
フリーで若者向けアクセサリー(ちょっとお値段控えめなジュエリー)デザインを手がけていたが、どうしたわけか高級店のお偉いさんの目に留まり、専属契約。
宝石と会話できる、という位のジュエリー好き。
普段は自宅のアトリエでデザイン画描いて、週ニくらいで店に出勤。店に居るときは急ぎのお客様の指輪のサイズ直しや修理などもする。
セールストークが何より苦手なので、表には出ない。絶対出たくない。
なのに時々引っ張り出される。どうして。オレしゃべれないのに。
デザイナーなので、お客様に「どう? これ似合う?」とか聞かれても、正直に思ったままを言ってしまう。「こちらはお客様には似合いません」
こっちの方がお似合いですよー、と言えば良いのだが、如何せん言葉が端的すぎて、接客に向かない。
『どんなものがわたしに似合うかしら?』と聞いたならば、確実に似合う物を教えてくれるはず。
そして困った客がまた一人。いや、二人。
やたら顔の良い男と、あからさまに宝石に無関心(どころかドン引き)な女。
ナンダこの二人。
どうやら婚約指輪を探しているらしい。
しかし、結婚前のイチャイチャ甘アマな空気が無い。全く無い。
あろうことか、女はうんざりという顔で早々に戦線離脱しやがった!
おい、女!
お前は女失格だ!
女と生まれたからには一度は宝石に憧れるものだろう!
くっそう、貴様に似合う指輪をナニが何でも見つけてやろう! いっそデザインしてやる!!
そして目をハートにして喜びやがれ!
『とあるスポーツジムトレーナー兼事務、Mさん (40代 男性 特記事項:常に笑顔)
元警察官。鍛えることが好き。三度のメシより好き。
もともと体を動かすのが好きで、はじめは仕事のために鍛えてるんだと思っていた。とにかく鍛える。鍛えたい。鍛えてないとうずうずする。派出所勤務で立ち番とか、スクワットしてしまう。ちょ、お前!
時々自分でも、なんでこんな苦しいことやってるのかと疑問に思う。でも結局鍛えてしまう。鍛えずにはいられない。もう自分はそう言うものなんだと諦めた。職務も諦めた。
心置きなくマッスルに邁進する。
下ネタ大好き。分かりやすくエロ。巨乳好き。
(特別追い込んだトレーニングするときに、周りにオネエチャンいると、いないときと比べてトレーニング効果が高いってホントかな。見栄と意地で、弱音を吐けないってのはあるかもしれない。)
先生が共感したのも『そうせずにはいられない』って部分。「例え読む人が居なくても書きたいものを書く」先生と、「自分が鍛えたいから鍛える」トレーナーと、精神か肉体かの違い。
多分この二人は『己と向き合う』という作業に価値を見出してるんだと思う。
対して、面白い(と読者が評価する)漫画を描きたい『あたし』は、他者の目が必要。
以下、その他の人たち。
先生のご家族。
ジーサマがキーマン。隆生少年の人格形成に多大な影響を及ぼした。
お祖母さんはそんなジーサマを陰で支える古きよき昭和の大和撫子。
父親。息子を勘当した父。内心は、我が道を行く息子を頼もしくも思っていたりする。勘当は、寺を継がない免罪符。でも厳格な住職でもあるので、檀家の手前もあって、息子と音信不通。
お母さんは、夫と息子の板ばさみに苦しむ、……ような人じゃなくて、「なるようになる」が座右の銘の、流れに逆らわず、しかして自分を見失わない、風に揺れる柳のような人。
姉。実はいるんです。姉。嫁に行ったので、家にはいない。母親似。まだ柳ほどの安定感はない。
妹。実はいるんです。必然的に寺に残りそうな。両親は好きにしろと言っているけど、本人は条件の良い婿を探している。別に負担とは思っていない。寺を相続したら、本堂の仏像いくつかは学術的な研究資料にしようと企てている。
『あたし』の家族。
実は結構裕福なおうち、という設定。
お父さん。某大手企業役員。結構多忙。愛妻家。妻と歳の差は12歳。
恐らく、先生以上に腹黒でタヌキ。先生がアレコレ頑張ってるのを眺めて「まだまだ青いな」と鼻で笑っていた。
先生の著作は代表作は既読。感想は「もっと深める余地はある」
それ以外の本は、三冊目の後、妻の薦めで読んだ。感想は「青臭い。もっと人生経験をつめ。それまで結婚は許さん」
お母さん。専業主婦。とにかく可愛い人。「将来の夢はお嫁さん」と本気で言える少女だった。だって12歳年上の近所のお兄さんが世間の荒波も雨風も完璧ブロックしていたから。箱入りのまま成長して箱入りのまま嫁になった。
こんな少女お母さんなので、娘が精神的に微妙な成長を遂げた。