ポーション、作ったことあった。
翌日の朝。フローレンス家。
――ガチャッ
ティナ(寝ぼけ)
「おはよー……」
リリサ
「“おはよー”じゃないわよ。
今何時だと思ってるの?」
時刻は10時30分。
ティナ
「……おぉ!
午前中に起きれた!!」
リリサ
「基準がおかしいわよ。」
ティナ(誇らしげ)
「でも、二度寝してないし?」
リリサ
「……どや顔してないで、顔洗って歯磨いてらっしゃい。
その間に、朝ごはん温め直してあげるから。」
ティナ
「はーい。」
リリサ
「昨日言った通り、今日はポーション作りを手伝ってもらいたいの。」
ティナ
「ポーション作りって難しい?」
リリサ
「失敗したら爆発したり、最悪死ぬわね。」
ティナ
「こっわ……
そんなヤバいこと、やりたくないんだけど……」
リリサ
「手順さえ間違えなければ大丈夫よ。」
ティナ
「フラグ建てないでもらっていい!?」
---
朝食後。
リリサの研究部屋。
カーテンは閉められ、ランプの灯りだけで薄暗い。
棚には瓶詰めされた薬草や鉱石が綺麗に並べられている。
机には魔法陣が描かれ、数式だらけの研究ノートが広がっている。
リリサ
「ここが私の研究部屋ね。」
ティナ
「うわぁ……ガチのファンタジー世界だ。」
リリサ
「今日は疲労回復のポーションを作るわよ。」
ティナ
「栄養ドリンク的な感じ?」
リリサ
「栄養ドリンクよりもっと効くわ。」
ティナ
「ふーん。
ポーションって、他にはどんな物があるの?」
リリサ
「色々あるわよ?
風邪に効いたり、痛み止めだったり。
最近は飲むだけじゃなくて軟膏タイプも作ったりしてるの。
日焼け止めとかね。」
ティナ
「へぇ〜!リリサ、凄いんだね!」
リリサ(ちょい照れ)
「ま、まぁね。
元々好きだったからこの仕事を始めたくらいだし。」
ティナ
「ちょっと見直したよー。
妹欲しいだけの激ヤバな人だと思ってたから!」
リリサ
「……あなた、私をそんな目で見てたの?」
ティナ
「見てたよ?」
リリサ
「……。
ま、まぁいいわ。じゃぁ早速、始めましょうか。」
ティナ
「おー!」
---
リリサ、かごいっぱいに入った500円玉程の果実を持ってくる。
リリサ
「この果実はね、“酸陽樹”っていう木から取れるの。」
ティナ(ひとつ取って、嗅ぐ)
「ふ〜ん。
あ、ちょっと爽やか系のいい匂いする。」
リリサ
「そのまま食べると死ぬわよ?」
ティナ
「えッ!?」
リリサ
「果肉にはたっぷり魔力が含まれてるの。
そのまま食べたら体内の魔力回路がショートして、
体がポップコーンみたいに破裂するわ。」
ティナ
「ヒィッ!?
……こっわ〜……
この危険物をどうすんの?」
リリサ
「まずはよく洗って、水分が残らないようによく拭いて。」
ティナ
「……洗ってる時に爆発したりしない?」
リリサ
「しないわよ。
――多分。」
ティナ
「その多分ってなに!?
めっちゃ怖い!触りたくない!!」
リリサ
「冗談よ。
でも傷が入ったり、汚れが残ったりしないように丁寧にお願いね。」
ティナ(ジト目)
「……」
リリサ
「あなたが私を変人扱いしてきた仕返しよ♪」
ティナ
「(だって事実じゃん……)」
---
果実を洗い終えた後。
リリサ
「うんうん、よく洗えてるわね。
そしたら次は、ヘタを取ってほしいの。」
リリサ、竹串を使って果実からヘタを取る。
リリサ
「こんな感じにね。」
ティナ
「は〜い。」
リリサ
「数が多いから、手分けしましょ。」
ティナ(ヘタを取りながら)
「ねぇ、リリサ。」
リリサ(ヘタを取りながら)
「なに?」
ティナ
「リリサって、なんでそんなに妹が欲しかったの?」
リリサ
「なんでって……妹って可愛いじゃない。」
ティナ
「それだけ?」
リリサ
「悪い?
可愛い服着させて、ヘアアレンジして、“可愛い♡!!”って遊びたかったの。」
ティナ
「……。
(やっぱ変人じゃん)」
リリサ
「それとね……」
ティナ
「うん。」
リリサ
「話し相手が欲しかったからかな。」
ティナ
「……そっか。」
リリサ
「そうね。」
ティナ
「リリサって、友達いないんだね。」
リリサ
「……」
リリサ(ちょっと動揺)
「……友達の1人や2人、いるわよ?」
ティナ
「あ、いるんだ。ボッチで話し相手いない寂しい変人かと思ったよ。」
リリサの手が止まる。
リリサ
「……あなた、私を怒らせたいの?泣かせたいの?」
ティナ
「え!?
どっちでもないよ!!
あと、家族はいないの?」
リリサ
「……ナチュラルに私の心を抉ってきたわけね……
家族はいないわ。大分前に両親とも他界してるの。」
ティナ
「そうなんだ。
じゃぁわたしが転生してきて良かったね!
こうやって話し相手が出来たし!」
リリサ
「……そうね。
もう少し、おしとやかで精神攻撃少なめの子が良かったけど。」
ティナ
「あはは!それは無理!!
遺伝子レベルでガサツだもん!!」
リリサ
「……努力してほしいわ……」
---
ヘタを全て取り終えた後、リリサが大きめのガラス瓶と白い鉱石のカケラのような物を持ってくる。
リリサ
「この白い塊は“魔力結晶”ね。
ひとつ舐めてみる?」
ティナ
「……これはポップコーンにならない?」
リリサ
「ならないわよ。ほら、食べてみて。」
ティナ、恐る恐る口へ。
ティナ(口で転がしながら)
「あ、ほんのり甘い!あめ玉みたい!」
リリサ
「ふふ、そしたらこの“魔力結晶”と“酸陽樹の実”をこの瓶に交互に詰めてくの。」
ティナ
「ふんふん。それで?」
リリサ
「あとは2週間置いとくの。
そうすると果実から魔力と水分が抽出されて、ポーションの原液の完成。」
ティナ
「おー!
思ってたよりかんた――ちょっと待って。」
リリサ
「ん?どうしたの?」
ティナ
「……リリサ。」
リリサ
「なに?」
ティナ
「これ……梅シロップと同じだよね?」
リリサ
「ポーションの原液よ。」
ティナ
「梅シロップだよ。」
リリサ
「原液。」
ティナ
「じゃぁ 梅シロップの作り方、知ってる?」
リリサ
「知ってるわよ。
まず、梅の実をよく洗ってヘタを取って――」
ティナ
「うん。それで?」
リリサ
「……」
ティナ
「リリサ?」
リリサ
「……ティナ。」
ティナ
「うん?」
リリサ
「これ……梅シロップだわ。」
ティナ
「だよね!?」
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――魔法の世界のポーション。作り方は昔、じいちゃんと一緒に作った梅シロップと同じだった。
リリサ
「このポーションの原液、水で割るのはもちろん、炭酸や焼酎で割ってもイケるわよ。」
ティナ
「やっぱ梅シロップじゃん!」




