ガサツJK、美少女エルフに転生する。
Ep.3まで毎日朝7時更新!
――この時のわたしは、
自分に姉が出来るとは思っていませんでした。
しかもシスコンフルスロットルのヤバい奴ッ!!
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春の朝。薄いカーテン越しに、やけに元気な太陽。
早野ソラは、布団の上で仰向けになったまま、スマホで動画を見ている。
ソラ
「……あと、この動画だけ……」
5分経過。
ソラ
「……もう1個……いけるか?」
さらに5分。
ソラ(ハッとして)
「……やばくない?」
ガバッ、と上体を起こし、時計を見る。
8時15分。
ソラ
「うわ最悪!!」
布団から飛び起き、
そのままダボダボのジャージ姿で部屋を見渡す。
散らかった机。
読みかけの漫画。
脱ぎっぱなしの上着。
飲みかけの缶ジュース。
女子力をどこかに投棄したような部屋。
ソラ
「(帰ってから片付けるか……やる気があれば……)」
ジャージを脱ぎ捨て、いつものセーラー服に着替える。
洗面所で歯を磨き、顔を洗う。
鏡を見ると天パーのボサボサ頭。
ソラ
「うん、これなら寝癖はバレないな。」
ドタドタと廊下を走ると、台所から声が飛んでくる。
祖父
「ソラ〜、朝飯〜!」
ソラ
「無理!遅刻する!!」
祖父
「コラッ!!
飯を無駄にするんじゃねぇ!!」
食卓には、おにぎりと緑茶。
ソラ
「わかったよ!!
おにぎりは持ってくから!!」
祖父
「忘れずに、ちゃんと持ってけよ。」
ソラ(お茶を一気飲み)
「はいはい、そういえばさ、今日テストあるんだよ。」
祖父
「ほー。」
ソラ
「全然勉強してない☆」
祖父
「いつも通りじゃねぇか。」
ソラ
「うん。否定しない!」
……
祖父
「まぁ、大丈夫だ。死ぬわけじゃない。」
ソラ
「雑すぎない!?」
玄関まで早歩き。
ソラ(靴を履きながら)
「もうちょい真面目に心配してくれてもよくない?」
祖父
「いいか、ソラ。」
ソラ
「ん?」
祖父
「死ななきゃ、全部かすり傷だ。」
ソラ
「……またそれ。」
祖父
「テストで赤点取ろうが、生きてりゃ儲けもんよ。」
ソラ
「はいはい。」
ソラ(手を振りながら)
「じゃ!
行ってきまーす!」
祖父
「気ぃつけてけよー。」
ソラ
「(まぁ、なんとかなるっしょ。
だいたい、今までもそうだったし。)」
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ソラ、駆け足で通学中。
角を曲がる。
横断歩道。
信号無視のトラック。
ソラ
「あ、やばっ……!」
足が前に出た、その瞬間。
――ドンッ!
視界がぐらりと揺れ、真っ白になった――
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――目を覚ます。
ふかふかのベッド。
木とハーブのような香りが鼻をくすぐる。
ソラ
「ん……?」
天井が木目。
ソラ
「ここ……どこ……?」
木造の部屋。
壁際には本棚と小さな机。
床は綺麗に磨かれていて、生活感はあるけど――
あきらかに病院じゃない。
ソラ
「……病院じゃないよね?」
窓の外は真っ暗で木々が風でざわめいている。
部屋の中はランプの灯りで暖かみのある橙色に照らされていた。
ソラ
「……夜?
たしか、わたし学校に行こうとして……」
脳裏にフラッシュバック。
赤信号、トラック、衝突音。
ソラ
「そっか……
あの時、わたし……」
ソラ(焦り)
「まさか死んだ?
ここって、天国……?」
――ガチャッ
扉が開いた。
ソラ
「!?
だ、誰!?」
扉の向こうから栗毛の長髪の女性が現れる。
ソラ
「あ、あの……
(めっちゃ美人な人来たッ!)」
女性
「✳︎△※♢✧……?」
ソラ
「(……は?
何語?全然わかんないんだけど……!)」
女性は困ったように首をかしげ、ポーチから小瓶を取り出す。
瓶の中には淡く光る液体。
女性は“飲む”ジェスチャーをしてソラに差し出す。
ソラ
「……飲めってこと?
毒じゃないよね……?」
……
ソラ
「……ええい、ままよ!」
――ゴクリ。
甘い香り。喉を通った瞬間、視界がわずかに揺らぐ。
女性(少しドキドキ)
「――どう?
言葉、通じてる?」
ソラ
「えっ!?
言葉がわかる!日本語みたいに……!」
女性(ほっとして微笑む)
「うん、よかった。効いたみたいね。」
ソラ
「効いたって……
あの、状況がまったく分からないんですけど……?」
女性(嬉しそうに)
「成功ね!」
ソラ
「成功?
そもそも、あなたは一体何者なんですか?」
……
ソラ
「もしかして……誘拐とか!?」
リリサ
「誘拐犯じゃないわよ!
私はリリサ。この家でポーションの研究と開発をしているエルフよ。」
ソラ
「え? エルフ……?」
よく見ると、彼女の長い髪の間から細く尖った耳が覗いている。
ソラ
「(まじで!? エルフ耳だ……
このお姉さん、コスプレ誘拐犯!?)」
リリサ
「まずは、これを見て。」
リリサが鏡を差し出す。
ソラ
「鏡……?
なんで……?」
おそるおそる覗き込むと――
ソラ
「!?!?」
金髪の少女。
絹のような髪。
大きな青い瞳。
整った顔立ち。
そして――長い耳。
ソラ
「はぁ!?
わ、わたしが……美少女エルフになってるぅ〜〜!?」
数秒の沈黙。
ソラ
「ま、待って!!
鏡、バグってない!?
誰この可愛い生き物!?」
リリサ
「落ち着いて。説明するわ。」
ソラ
「落ち着けるかーー!!」
ソラ、自分の頬をつねる。
ソラ
「いだだだッ!!
夢……じゃない……ッ!」
リリサ
「あなた、転生したの。
魔法であなたの"魂"を、この体に呼び寄せたのよ。」
ソラ
「転生……?
って事は、わたしやっぱり死んだんですか?」
リリサ
「転生されたってことは、そういうことになるわね。
でもこの世界ではちゃんと生きてるわよ?」
ソラ
「いやいやいや!!
まったく意味がわからないんですけど!?」
ソラ
「(このお姉さん、さっきから何言ってんの!?
死んだけど、生きてる?
だめだわからん……!)」
リリサ
「難しい顔してるわね?」
ソラ
「だって、全然わかんないもん!」
リリサ
「そう。
じゃぁもう少し詳しく説明してあげる。
転生魔法を使ったのは私。
でも、あなたを選んだのは“魔法”よ。」
ソラ(混乱中)
「???」
リリサ
「ちなみに、
あなた、何歳だった?」
ソラ
「え……
15歳ですけど……」
リリサ
「ってことは、学生さん?」
ソラ
「はい。今年から高校通ってました。」
リリサ
「ちゃんと女の子だった?」
ソラ
「JKでしたけどッ!?
見ればわかりますよね!?」
ソラ
「……って今は自分の体じゃなかったんだ……」
リリサ(ガッツポーズ)
「……大成功……ね!
長年の努力が報われたわッ!」
ソラ
「おい、説明どこいった!?
しかもいきなりガッツポーズ決めて怖いんだけどッ!?」
リリサ(冷静になる)
「あら、ごめんなさい。
ちょっと興奮しちゃった。」
ソラ
「……それで、結局転生魔法ってなんなんですか?」
リリサ
「簡単に言うと、用意した体と相性の良い魂を呼び寄せる魔法ね。
誰が来るかは魔法次第だけど。」
ソラ
「つまり、運ってこと?」
リリサ
「そう。
正直、こんなに完璧に転生魔法が成功するなんて思わなかったわ!
この体と波長が合ったのかしらね。」
ソラ
「波長って……
わたし、こんな可愛い姿に波長合う程、女子力高くなかったんですけど!?
彼氏いない歴=年齢だったんですけどッ!?」
自分で言って少し悲しくなった。
その時ふと、頭の奥に蘇る記憶。
今朝、スマホで見ていたバラエティ動画。
出演していた、可愛いアイドルの眩しい笑顔――
ソラ
「(いいなぁ……
わたしもこんなふうに、可愛くなれたらなぁ……)」
リリサ
「……思い当たること、あった?」
ソラ
「ま、まさか……
あの時、わたしが一瞬考えたことが……?」
リリサ(小さく微笑んで)
「あなたの魂がこの体を選んだのかもね。」
ソラ
「えっ、待って……
素直にちょっと嬉しいと思ってる自分がいるんだけど。」
リリサ(クスッと笑って)
「新しい名前も、考えてあるわ。」
ソラ
「……名前?」
リリサ
「そういえば、あなたの名前は?」
ソラ
「……早野ソラです。」
リリサ
「ハヤ……ノ? ソラ……?
この世界には合わない名前ね。」
ソラ
「……」
リリサ
「あなたは今日から“ティナ”ね。」
ソラ
「ティナ……?
なんか可愛すぎない?」
リリサ
「エルフ語で“小さな花”って意味よ。」
ティナ(ソラ)
「なんだぁ……
キラキラネームかと思ったら……
ようするにエルフ族からしたら“花子”ってこと?」
リリサ
「……急に年齢層高めになりそうな解釈やめて?
よろしくね、ティナ。」
ティナ
「……ソラのままがいいなぁ……」
リリサ
「私が一生懸命考えた名前なのよ?」
ティナ
「えぇ〜……
(なんか複雑……)」
リリサ(ふわりと微笑んで)
「今日から、私と一緒に暮らすことになるわ。」
ティナ
「え!?
なんで!?」
リリサ
「なんでって……
あなた、この世界の生活の仕方わかる?
住民登録の仕方も、お金の稼ぎ方も、全部知らないでしょ?」
ティナ
「……たしかに。
ぐうの音も出ない……」
ティナ
「あの、ひとつ聞きたいことがあるんですけど……」
リリサ
「なに?」
ティナ
「元の世界に帰る方法とかって、ないんですか?」
リリサ
「……残念だけど……
転生魔法で魂を呼び寄せる事は出来ても、還す事は出来ないの。」
ティナ
「あ……やっぱり……」
ティナ
「(じいちゃん……死ななきゃ、かすり傷って言ってたけど……)」
ティナ
「(魂だけ生きてる場合はかすり傷になるのかな?
教えてじいちゃーーん!!)」
……
ティナ
「まぁ……
こうなってしまった以上しょうがない……
なんとかなるっしょ!大体いつもなんとかなってたし!」
その時、ティナのお腹が“ぐぅ〜”と鳴った。
ティナ
「あ……
そういえばおにぎり、食べられなかったな……
お腹すいてきたかも……」
リリサ
「ふふっ、
じゃぁ早速だけどご飯にしましょうか。」
ティナ
「おおっ!
初異世界飯ってやつだー!」
リリサ
「ティナの為にちょっと“特別”なメニューにしたの。
さ、リビングへ行きましょう♪」
どうも、作者のひなゆづです。
今回のティナはガサツJKソラちゃんでお送りします。
前回より更にハイテンポ、絵の無い漫画を目指して頑張りますのでお気軽にコメント、評価で応援してもらえると嬉しいです♪




