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Một thế hệ quỷ: Trận chiến lửa  作者: Phép thuật màu xanh
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第8章 - 炎の継承

アヤメは子供がおもちゃを手にした時のように目を輝かせ、にっこり笑った。

「簡単じゃない? 二哥がこの火焰石を丸ごと飲み込んで、火山の火口にでも入れば、一気に大成するわよ!」


部屋が一瞬静まり返った。宏樹は目を見開き、死地への旅行計画でも聞かされたかのような顔をした。やがて乾いた笑いを漏らし、半ば皮肉を込めて答えた。

「ふむ……火焰神功を成す前に、すでに丸焼きチキンになって世間に振る舞われるかもしれんな、アヤメ。」


笑いを収めた宏樹は、真剣な眼差しを向け、家の重責を帯びた声で言った。

「よく聞け。我らの一族は古来より刀や弓、家伝の鍛刀術に頼り、龍気を重んじる宗派のように内功を修める者は少なかった。仮に火焰神功を修めても、多くは武器を強化する程度に過ぎん。刃を紅蓮にし、矢を炎で包む――だが人そのものを炎に変えるのは極めて難しい。」


彼は妹を見据え、穏やかだが断固とした声で続けた。

「分かるか、アヤメ。火焰とは火山の武器だ。破壊するのみで、龍気のように調和はしない。本当に身に宿すには、厳格な規律と異質な内功の基盤が必要だ。軽い冗談を持ち込む場所ではない。」


アヤメはうつむき、無邪気な笑みを引っ込めた。しかしその瞳には、小さな火が消えずに揺れていた。


彼女はなおも天真爛漫に言った。

「じゃあ、この火焰石をレンジ兄さんに預けたらいいんじゃない? きっと大丈夫よ。」


宏樹は眉をひそめ、ため息を漏らした。その瞳には誇りと同時に拭えぬ不安が宿っていた。

「レンジは武の素質こそ私に劣らぬが……あまりに負けず嫌いで、常に他人を凌ごうとする。自制を知らん。その気性が、いつか破滅へ導くのではないかと恐れる。」


窓の外、朝の熱風が吹き込み、静けさを裂いた。火焰石の赤い輝きは、希望と同時に全てを焼き尽くす危うさを宿していた。


一方、医師寮では陳明軍と趙可欣が新しい住まいの整理をしていた。箱を片付け終えた可欣は椅子に腰掛け、髪を梳き、慣れ親しんだライクラの衣を洗いアイロンで艶やかに整えた。


「見てよ、まだ半年しか住んでないのに、散らかり放題。私が片付けなかったら、ゴキブリの楽園になるわ。」


明軍は背後からそっと腰に手を回し、甘えるように囁いた。

「まあ、君がいてくれるだけで十分だよ。」


軽く睨むつもりの可欣の唇が、ふっと緩む。その瞳は柔らかく輝き、ささいな苛立ちも消えていった。


その日の午後、二人は街を手を繋いで歩いた。屋台からは焼き菓子や串焼き、烏賊焼きの匂いが漂い、賑やかな声が響く。可欣は熱々の餅菓子を頬張りながら、楽しげに笑った。


だが、ふいに真剣な表情で言った。

「ねえ、どうして七葉神剣が折れて、その断片が簡単に隠されたのかしら。龍脈を鎮める法宝なのに、枝のようにばらばらになるなんて……何かおかしい。」


明軍はしばし考え、答えた。

「確かに。意図的にやった者がいるはずだ。龍脈を滅ぼすか、あるいは欲望のために奪うか。だからこそ剣を折り、隠した。そうすれば力は失われる。」


街灯の光が二人の瞳に映る。片方は夫婦の平穏な喜び、片方は地下に潜む巨大な陰謀――二つの影が交錯した。


夜、熊本の神崎邸。黒塗りのリムジンが石灯籠の光に照らされながら門を潜った。

宏樹が降り立つと、黒服の家臣たちが整列し、一斉に頭を下げた。

「神崎様、二公子、お帰りなさいませ!」


宏樹は黙して頷き、屋敷に入る。

「レンジは?」

「三公子は稽古場にて鉄扇を鍛えております。」


稽古場には炎を映す鉄扇を振るう青年がいた。鍛えられた肉体、鋭い眼光。宏樹は無言で木刀を手に取り、雷のごとく斬りかかった。


「兄上……!?」


木刀と鉄扇が火花を散らす。宏樹は一喝した。

「レンジ! かかって来い!」


二人は獣のように激突した。老練な狼と、若き狼。刹那の均衡の中、宏樹が一歩退き、笑った。

「ふふ……やるな、レンジ。」


だが次の言葉は鋭く突き刺さった。

「敵がお前に準備の時間を与えると思うか?」


その一言で空気が張り詰めた。レンジは黙して頭を下げたが、その瞳にはなお反発の炎が揺れていた。

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