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Một thế hệ quỷ: Trận chiến lửa  作者: Phép thuật màu xanh
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第7章 - 神崎一族と火焔石

一行は再び大広間に戻り、熱い酒と饂飩の香りが室内いっぱいに漂った。

陳明君は椅子を引いて霞を座らせると、半ばからかうような口調で尋ねた。


「おや、今日はタクラマカンに行った時よりも着飾っているじゃないか?」


趙可韓は髪を整えながら、目を細めて涼しい顔で答えた。

「武人は美しくあるべきよ。招かれた席にふさわしい装いをするのは当然でしょ。」


その言葉に、神崎宏樹は豪快に笑い声を上げ、大広間に響き渡った。

「ははは! 本当に趣の合う客人だ。趙嬢、感謝する。そして妹に手加減してくれてありがとう。」


綾女は頬を赤らめ、恥じらいながらも尊敬の眼差しを向けた。


宴の最中、陳明君は身を寄せ、霞の耳元で小声で囁いた。

「まさか…わざとそうしたのか?」


霞は目を輝かせながら刺身を口に運び、甘やかに囁き返した。

「ご馳走になったうえに殴り倒すなんて…あり得ないでしょ?」


宏樹は終始豪快に笑っていたが、夫婦の密やかな戯れには気づかなかった。


やがて酒が満ちると、神崎宏樹は盃を置き、表情を引き締めた。

「実は、今日お二人をここに招いたのは、ただの試合のためではありません。頼みたいことがあるのです。」


その一言は石のように重く落ちた。

場の空気が凍りつき、広間に映し出されたのは一本の七枝剣。冷たい光が室内を照らし出す。


「これこそが神崎家に伝わる至宝――七葉神剣。かつては龍脈を鎮める神器でした。」


だが実物は折れ、三枝が欠けていた。宏樹は剣を掲げ、声を落とした。

「現在残っているのは四枝のみ。残りの三枝は失われ、龍脈は乱れ、能登半島では地震と崩落が相次いでいます。」


日本地図が映し出され、能登・九州・長野に赤い点が光る。


陳明君は問いかけた。

「四枝が残っているなら、それで鎮められないのか?」


宏樹は首を振った。

「無駄です。七枝揃わねば効力は発揮されません。欠けた剣はただの重い鉄塊に過ぎない。」


彼の声は沈痛であった。

「だからこそ、三枝を取り戻さねばならないのです。」


静寂の中、趙可韓の心に戦慄が走った。神器でさえ不完全なら、龍脈の安泰など砂上の楼閣に過ぎない。


やがて宴が終わる頃、陳明君は盃を置き、冷静に言った。

「これは我々の力を超えることです。ただし、もし手掛かりを得たなら協力を惜しみません。」


宏樹は深く頭を下げた。

「感謝します。神崎家は必ずその恩を忘れません。」


その時、明君は問いただした。

「空港の近くに会社を、さらにバインゴリンに食事処まで…偶然ではあるまい。」


宏樹は眼鏡を外し、微笑んだ。

「その通りです。すべては三枝の行方を探るための網です。」


提灯の灯りが三人の影を長く伸ばし、言葉は誓約のように刻まれた。


去り際、綾女は霞の前に立ち、深く一礼した。

「趙お姉さま…今日の試合で多くを学びました。いつかまたお会いできるなら、友として共にありたいと願います。」


霞は一瞬驚き、やがて柔らかく微笑んで頷いた。

――その瞬間、二人の間には国境も勝敗も越えた絆が芽生えていた。


翌朝、神崎宏樹はまだウルムチに戻っていなかった。

彼は妹の綾女を呼び寄せ、目の前に一つの銅細工の箱を置いた。

蓋を開けると、真紅に輝く結晶が現れる。それはまるで生きた溶岩の欠片のようで、灼熱の気配を放ち、室内の空気を重く、蒸し暑くした。


宏樹はその石を見つめ、ゆっくりと語り始めた。


「千年前、我ら神崎の一族は熊本の阿蘇火山の周辺に住んでいた。そこでは炎と煙が絶えることなく、灰が村を覆い尽くした。しかし人々は順応し、その中からこの結晶を精錬した。それが『火焔石かえんせき』――火焔神功を修める唯一の媒介だ。」


彼の瞳に、一瞬、郷愁と憂いの光が走った。


「伝承によれば、千年の間に本当に修められた者はわずか一人か二人。欲に駆られ急いで吸収すれば、身体は炎に焼かれ、灰と化す。ゆえに後世は恐れて挑む者もなく、火焔石は専ら武器を鍛えるために用いられるだけとなった。」


宏樹は箱を握りしめ、声を低めた。


「陳明君と趙可韓――彼らは龍気の縁によって元素の神功を身につけた。だがこの火の力はまったく別物だ。先祖でさえ開眼の方法を残していない。どうすれば火焔神功の道を拓けるのか、誰にもわからぬ。」


彼は妹を見やり、誇りの奥にかすかな希望をにじませた。


「綾女よ…もし二人が真に善き人ならば、我らにその道を示してくれると思うか?」


綾女はしばらく沈黙したのち、細い指で箱の縁をなぞり、静かに、しかし揺るぎない声で答えた。


「ええ、きっと教えてくださると思います。父や兄上は世の中は騙し合いと殺し合いだと教えました。でもあのお二人――陳明君と趙可韓は違います。あの方たちは尋常ではありません。」


彼女は顔を上げ、澄んだ瞳に火焔石の炎を映しながら続けた。


「彼らは怨念に縛られていない。放つ一撃は鋭烈でも、普段は静かで澄んでいる。だからこそ…心を尽くせば必ず導いてくれるはずです。」


宏樹は思わず息を呑み、目を和らげた。

外の風が簾を揺らし、赤き石の熱気と入り混じる。室内は息苦しいほど灼熱でありながら、確かに一条の希望が灯っていた。

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