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Một thế hệ quỷ: Trận chiến lửa  作者: Phép thuật màu xanh
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第22章 - 神崎 政虎

灰と炎が舞い散り、陶 天俊とう・てんしゅんの瞳は紅く燃え上がった。

赤黒い炎がその身を包み、彼は目を閉じる。脳裏に父の声が蘇る。


「……それを日本から遠くへ持ち去れ……決して火炎石かえんせきと再び出会わせてはならぬ。

二つが合わされば、人類は滅びる。――この使命を担えるのは、お前しかいない。」


彼は目を開き、嗤った。声は掠れ、狂気に濡れていた。


「使命だと? 信頼だと? ハハ……ハハハ!

お前たちは“託された”と言う。だが俺にとっては――“追放”だ!

何年もの孤独と屈辱……この魔石を抱え、密輸人のように扱われて……。


ならば今日こそ証明してやる! 庶子こそが最強だとな!

二つの石を合わせ、すべてを焼き滅ぼす!」


雄叫びとともに炎剣を振り抜き、巨大な火柱が三人を呑み込もうとした――。


だがその瞬間。


「パキィン!」


彼の右腕は瞬時に氷結し、罅割れとともに鮮血が迸る。


「ドンッ!」


凄烈な掌打が胸板を直撃した。


「砂中十三掌――第十三式!」


雷鳴の如き喝声が響き渡り、陶 天俊の体は硬直し、口端から血を垂らす。

牛角兜が床に落ち、「ガシャリ」と乾いた音を立てた。


冷え切った声が武堂に轟く。

「やめろ……兄弟に指一本触れさせはしない!」


二人の戦神が舞い降りた。

可欣ちょう・かしんと 陳 明君ちん・めいくん

その瞳は烈光に燃え、威気は炎さえも圧倒した。


陶 天俊は一瞬凍りつくが、歯を食いしばり咆哮する。

扉を蹴破り、闇夜へと逃げ去った。外では宋 芳麗そう・ほうれいと佐藤が装甲車を待たせており、三人は疾駆して闇に消えた。


残された武堂には血と炎。

神崎 宏樹かんざき・ひろきの腕に抱かれ、母・神崎は胸を貫かれながらも微かに息をしていた。


「宏樹……綾女……蓮司……子らよ……政虎を……責めるな……罪は……この母にある……。

あの時……私のせいで、母子は追われたのだ……」


涙が皺を伝い、震える手が陶 天俊に届こうとするが、彼はすでに去った後だった。


「ただ……願う……神崎の血筋が……灰とならぬことを……」


その手は力なく落ち、瞳は閉ざされる――されど安らぎの微笑みを残して。


慟哭が大広間を揺るがした。

宏樹は拳を叩きつけ、綾女あやめは崩れ落ち、蓮司は血を吐きながら「母上!」と泣き叫ぶ。


その悲嘆の中、二条の光――白と蒼が舞い降りた。

趙 可欣と陳 明君が歩み寄り、神崎母子の亡骸と共に彼らを支える。


陳 明君は宏樹の手を強く握り、低く言う。

「我らは急ぎ日本へ飛んだ。必ず剣は再び抜かれると踏んでな。」


趙 可欣は氷の如き瞳で頷いた。

「もし陶 天俊が二つの霊石を手にすれば、怪物と化す。

我らは阿蘇へ急がねばならぬ。」


悲しみは決意へと変わり、戦いの炎が再び燃え上がる。


宏樹は血を拭い、深く頭を垂れる。

「感謝する……だがこれは神崎家の問題。俺自身の手で決着を――」


だが陳 明君は首を振る。

「否、宏樹。彼の罪は一族の裏切りに留まらぬ。

中原の龍脈すら揺るがす大罪だ。これは天下の命運――我らも共に背負う。」


視線が交錯する。

宏樹はその瞳に揺るがぬ決意を見た。やがて頷き、声を張る。

「……よかろう。共に戦おう。」


綾女は大太刀を握り直し、蓮司も血を滴らせつつ立ち上がる。

傷だらけの一行は、南――阿蘇を目指す。


東雲の空、赤き雲は不吉に渦巻き、風は千の怨霊の嘆きのごとく鳴り響いた。


やがて一行は黒狼流こくろうりゅうの道場を後にし、曙の中を進む。


車上、宏樹は黙し、蓮司は荒い息を吐き、綾女は黙々と包帯を巻く。

その後方、陳 明君は遠い山影を見据え、低く呟く。

「気は既に乱れている……奴は阿蘇にいる。」


趙 可欣は目を閉じ、氷気を震わせて言う。

「ここが決戦の地だ。氷と土、炎との対峙――運命はここに収束する。」


硫黄の匂いが満ち、火口から赤黒い炎煙が昇る。


阿蘇の頂に、黒き影が待っていた。


――陶 天俊(神崎 政虎)。


天俊とう・てんしゅんは阿蘇の火口に立ち、二つの火石を掲げた。

一つは真紅に燃え、一つは漆黒に沈む。

それらは宙に舞い、互いに回転しながら灼熱の気を放つ。


彼は迷わずそれを飲み下した。


「ドォン!!!」


瞬間、肉体は赤黒き炎に包まれ、自らをも焼き尽くすかのような業火が全身を貫く。

宋 芳麗と佐藤は顔を覆い、肌は立っているだけで焼け付いた。


陶 天俊は狂笑し、突き立てられていた剣を引き抜いた。

――七絶邪王剣。


七つの枝を持つその剣は、獣の咆哮のごとき唸りを上げ、血のように紅い妖火を噴き上げた。


天地が揺れた。阿蘇山は轟音と共に噴動し、溶岩は柱となって空を焦がす。


炎獄の中、彼の体は倍に膨れ、炎鎧を纏い、眼は紅く灼け、声は天地を震わせた。


「黒炎帝君――ここに復活す!」


硫黄の毒気が充満し、空は血と闇に染まる。


対峙するのは趙 可欣ちょう・かしんと陳 明君ちん・めいくん

二人は深く息を吐き、氷気と土気を放ち、目に一片の怯えもなかった。


「君……」可欣が呟く。

明君は頷き、岩の如き声で返す。

「時は来た。」


二人は同時に掌を繰り出し、氷と土が黒炎を打ち砕いた。

大地は裂け、巨体が揺らぐ。だが黒炎帝はただ笑い、熱気で氷を粉砕する。


「忘れていたな――剣の供物を。」


彼は七絶邪王剣を振り抜いた。

「ズブリッ!」


刃は宋 芳麗と佐藤を一直線に貫き、二人は串刺しにされた魚のごとく吊り上げられる。


血柱が噴き上がり、絶叫は喉で潰えた。


「ハハハ! 供物となれ! 剣を血で満たし、完全なる目覚めを与えるのだ!」


炎剣は赤黒く脈動し、七つの枝は魂を啜るかのように震えた。

二人の屍は瞬時に焼かれ、灰となり、剣に吸い込まれる。


「グォオオオオオ……!」


獄獣の咆哮のごとき音が剣身から迸り、七枝の炎は血と闇の溶岩となって泡立った。


「ドォン!!!」


阿蘇全山が爆ぜ、空は血黒に覆われる。


黒炎帝君は空を仰ぎ、狂気の笑いを放つ。

「ハハハ! 七絶邪王剣――ついに覚醒した!」


剣は血闇の光を撒き散らし、怨霊の影を絡め取りながら彼を包む。

炎鎧は閉じ、腕は黒炎の鋼と化し、眼は炭火のように燃え盛る。


地は裂け、噴き上がる黒炎の柱が天を突いた。


可欣は手を震わせ、冷気を吐く。

「これが……奴の真の姿……。」


明君は拳を握りしめ、岩が崩れるような声で言う。

「氷と土を全て尽くすしかない。さもなくば日本全土が溶岩に沈む。」


黒炎帝君は咆哮し、地獄の火を纏った声で叫んだ。

「陳 明君! 趙 可欣! 名は聞き及んでいた――天下無双の使い手よ!

だが今日、倒れるのは貴様らだ!」


彼は七絶邪王剣を掲げ、漆黒の渦を呼び起こす。


「阿蘇は百万年噴き続けた火山――その地に眠る無数の怨魂が、今ここに集う!」


声は低く、やがて狂笑に変わる。


「知らぬか? お前たちこそが火炎石を使い、数百万の古代怨霊を呼び覚ましたのだ!

その魂すべてが、今日この剣に宿る! ――剣魂は今こそ完全となった!」


黒炎が爆ぜ、空そのものを吹き飛ばした。

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