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Một thế hệ quỷ: Trận chiến lửa  作者: Phép thuật màu xanh
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第17章 - 阿蘇の血脈

西蔵の最西北、南新疆との境にある赤い山脈の陰鬱な街道沿いに、一軒の宿「曹家客店」があった。 三階建ての建物は一見ごく普通 ― 「三星」程度に過ぎず、小さなエレベーターと簡素なフロント、明るい部屋があるだけであった。 旅人たちはただの山間の宿としか思わなかった。


一階のロビーには質素な受付カウンターがあり、旗袍を着た女性が丁寧に応対していた。 客は鍵を受け取り、帳簿に署名し、誰もが平凡な宿と思って通り過ぎていた。


宿の脇には小さな食堂があり、熱いご飯と焼肉の匂いが漂っていた。 外には観光用のラクダがつながれており、この辺境の町でよくある「普通の観光サービス」にしか見えなかった。


だが、その一室から曹天俊が姿を現した。 三十七歳の男、その体は逞しく、容貌も陳明軍に劣らぬほど凛々しい。 Tシャツに浮かぶ筋肉は隆起し、軍用ズボンをきっちり履きこなした姿は、粗野でありながら威厳を放っていた。 短髪、日に焼けた肌、鋭い眼光 ― 一見すれば歴戦の軍人にしか見えなかった。


彼の傍らには腹心の宋芳麗が控え、細身の体に鋭い眼差しを宿し、影のように従っていた。


宋芳麗が手帳を開き、簡潔に報告する。

「主人、本週の宿と食堂の収益はほぼ均衡、風砂が強く客は減少、ラクダの観光も少なく…小さな赤字です。」


曹天俊は顎に手を当て、静かに答えた。

「構わん。この場所は辺境だ。 宿で生きるためにここにいるのではない。 …黒剣建設からの貨物は?」


宋芳麗は頷き、報告する。

「烏魯木斉から出荷した鋼材と偽装物資は無事に運ばれました。 佐藤が受領を確認、あとは国境で我らの者が受け取るだけです。」


その瞳に黒炎の光が閃き、曹天俊は木卓を指で叩いた。

「よし。必要なのは資金と炎を養う力だ。 宿が赤字でも構わん…山中に眠る黒炎石がある限り、この天下すべてに代償を払わせる。」


二階の部屋に入ると、彼は宋芳麗から受け取った書類を机に置き、本棚へと歩いた。 そこには古びた写真立てがあり、埃を払いガラスを磨く。


写真には、大阪で開かれた神崎一族の集まりが写っていた。


上段の中央には神崎正信、威厳ある長老の風格を漂わせていた。


下段の左には若き日の神崎宏樹、その横には日本名「神崎誠」として写る少年時代の曹天俊。 さらにその隣にはまだ幼い蓮司が笑顔を浮かべ、しかし瞳には強い志が宿っていた。


曹天俊はしばし無言で立ち尽くし、かつての青春を偲ぶように一人ひとりの顔を見つめ続けた。


一方その頃、神崎宏樹は火気の吸収を終え、趙可欣と陳明軍を伴って熊本へ到着した。 阿蘇の聖なる炎の影に包まれた大地である。


重厚な専用機が熊本空港に降り立ち、エンジンが轟き、粉塵が巻き上がる。 キャビンの扉が開き、神崎宏樹が黒衣を翻して現れた。 背後には冷徹な眼差しの趙可欣と、岩のように屹立する陳明軍。


滑走路には黒狼流の武者が長列を組み、黒狼旗を翻しながら一斉に頭を垂れ、声を揃えて叫んだ。

「お帰りなさいませ、神崎様!」


宏樹は軽く頷き、手を振って進み、三人はそのまま本陣へと向かった。


館内は松明と旗で飾られ、太鼓が雷鳴のように響き渡り、黒衣の武者が二列に並び立っていた。 煙と声が渦巻き、荘厳な空気に包まれる中、宏樹は悠然と歩き、趙可欣と陳明軍は冷ややかな威圧感で従った。


宏樹が手を上げると、音はすべて静まった。 彼の声が大広間に轟く。

「これよりが正念場。 阿蘇に剣を鎮めることは、我一人の試練ではない。 ― 黒狼流全ての命運である!」


場内は震え上がり、熊本の大地さえ誓いを聞き届けるかのように空気は張り詰めた。


やがて一行は阿蘇の火口へと進む。 硫黄の匂いが満ち、灼熱の風が吹き荒れる。


趙可欣は険しい眼差しで告げた。

「龍脈はただの地下水脈ではない。 それは天地の呼吸、五行すべての巡り ― 水も、火も、土も、木も、金も、その力を凝縮したもの。 阿蘇の噴火が生を奪い、同時に大地を肥やすように。」


やがて彼らは巨大な裂け目の前に立った。 赤炎が噴き出し、まるで血の傷口のようであった。


神崎宏樹は七葉神剣を手に立ち、陳明軍と趙可欣は火焰石を掲げた。


明軍が叫ぶ。

「龍気を導け!」


二人の力が石に注がれ、紅い光球が宙に浮かぶ。 宏樹はそれを胸に受け入れ、業火が体内に流れ込む。 衣は燃え上がり、彼は咆哮する。


「今こそ…阿蘇に剣を還す!」


その瞬間、剣を通して凄まじい逆流が宏樹を襲い、火焰石の力をすべて吸い上げた。


「う、アアアアア!」


宏樹の全身は火炎に包まれ、血管は赤く浮かび、肉体が焼け崩れんばかりに震えた。


綾芽が絶叫する。

「やめて! お兄様!」


悟と珠が駆け寄るが、触れた瞬間にはじき飛ばされ、手は焼け爛れた。


趙可欣と陳明軍が同時に駆け込み経絡を封じようとしたが、火気はあまりに凶烈で抑えきれなかった。


一瞬にして、神崎宏樹の身体は業火に包まれ、外套は焼け落ち、裂け目の岩盤すら砕け散った。

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