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清水健斗

作者: 命野糸水

病院の待合室で順番を待っているとき


「清水さん、清水健斗さんはいらっしゃいますか」

と看護師が名前を呼んた。しかしその呼びかけに誰も手を挙げなかった。返事をする人もいなかったし、私ですとアピールする人もいなかった。


ちなみに私は清水健斗ではないので、その呼びかけには反応しなかった。反応がないまま数秒経過した後名前を呼んだ看護師は奥の部屋に消えていった。


看護師の声は大きくも小さくもなく至って普通の大きさだった。そのため清水健斗さんは聞こえなったから反応しなかった訳ではないだろう。滑舌も悪くなかったから聞き間違いという可能性もおそらくないだろう。


ならなぜ返事をしなかったのだろうか。私は周りを見まわした。見まわした時にトイレの案内が書かれた案内表示が目に入った。私はそれを見て一人で納得した。あー、そうか。清水健斗さんは今トイレに行っていたんだ。だからこの場にたまたまいなかったのか。だから反応がなかったんだ。


トイレ以外にもこの場を離れている可能性はある。この病院内に併設されているコンビニに向かっているかもしれないし急に携帯に電話がかかってきて、その電話に出るために席を外したかもしれない。


いや、待てよ。そもそも清水健斗なんて人はいないのではないか。いないなら呼んでも反応はない。別の科を受診している患者かもしれない。


まぁ、でもそこまで深く考えることでもないか。私は清水健斗問題を勝手に終わらせて、スマホで漫画の続きを読んだ。漫画を読み始めて5分も経っていなかっただろう。再び看護師が呼びかけた。


「清水健斗さん、清水健斗さんはいらっしゃいますか」

その呼びかけに一人のおじさんが反応し手をあげた。どうやら看護師が名前を間違って呼んでいたらしい。清水健斗の清水はシミズとは読まずセイミズと読む名字だった。


私は思った。清水は普通シミズと呼ぶよな。これはしょうがないミスかもしれないと思うと同時に名字の読み方って難しいなと思った私であった。



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