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第四話 ティラネルと俺 Firstー1


 5歳になった。

 なんだかんだ言って今の俺は田舎の子供の暮らしを楽しんでいる。

 午前中から夕方ぐらいは託児所?みたいな大きな小屋みたいなところでガキたちと遊び、昼寝したり、魔法の練習を裏でこそこそしてみたり、ガキとチャンバラしたり、、、

 そして今日も妹のティラネルとお母さんと託児所に行く。

 「学校楽しい?」

 母が何気なく質問してくる。

 俺は大きな声で「うん!」と子供らしさを精一杯出して答えるが、ティラネルの返事は俺のふた回りほど小さい。

 まぁ、原因はティラネルの顔のことについてだ。

 俺とティラネルはすくすくと成長し、どちらも美形に育った。我ながら俺の顔もなかなかだと思う。前世の顔よりはかなり良くなってる。

 だがティラネルは別格。お母さんに似てめちゃくちゃ美人に育った。

 そしてティラネルは銀髪、俺は黒と銀髪のメッシュで、お母さんが銀髪だから俺の黒はお父さんの遺伝っぽい。

 今言った通りティラネルは村の女の子とは比べ物にならないほど可愛い。

 いいじゃん、可愛いなら!と、思うやつもいるかもしれないがティラネルを見ているとそうは思わない。

 そう、いじめだ。

 どうやら村の女の子の好きな男の子がティラネルのことが好きらしく、、、、まぁそういうことだ。女は恐ろしい。

 ティラネルは明るくて元気な子なんだが、いじめが始まってからは暗い顔ばかりしていて俺までちょっと悲しい。 

 俺はできる範囲でティラネルに対するいじめを止めさせているのだが、やっぱりあの顔を見ると完全に止まったようには思えない。

 そして何があったかは分からないが、俺含め他の人にはそれを相談しない。

 

 「じゃぁ楽しんでね」

 「うん!」「うん、、、」

 お母さんと別れて託児所に入るとティラネルをいじめていると思われる女の子の3人が様子をうかがっているのが横目に見える。

 なぜ様子をうかがっているのか、それは俺のせいだ。

 前回いじめを止めたときに俺は威嚇として火を吹いた。あ、勿論魔法だ。

 それは託児所の人にチクられたが、俺ほどの子供が魔法を使えると思ってない託児所の人によって、見間違い、もしくは夢かなにかだと話が付いた。

 そして俺が怖いから俺が近くにいるとティラネルにはちょっかい出してこないのだ。

 いつもなら夕方までずっと一緒にいるが、今回は徹底的にいじめを止めさせたい。

 ティラネルからの証言があれば隔離とか和解とかなんとかなると思うんだけど、問題はなぜティラネルが託児所の人や、お母さんに相談しないかってところだ。

 まぁ、こういう場合はなにか弱みを握られている場合がある。「ばらされたくなきゃ黙ってろ~」みたいな感じで。

 だから俺はその握られている弱みを知るために託児所に着くなり走り出して庭に出る。勿論手とか暴力をティラネルに行使してきたらなにがなんでも止めさせるつもりだ。


 しばらく様子を見ていると(こっそりね)苛めの実態が見えてきた。

 いじめをしている女の子の達は草むらの裏でティラネルを前にティラネルの作っていた花飾り?のような物を踏みにじっている。

 ここからの距離だとなに言っているか分からないけど幼稚園レベルの悪口のはずだから死ね!とかバカ!とかぶす!とかのレベルだろう。だけど、低レベルな悪口だけどティラネルにとっては最大の悪口で、大分傷ついているはずだ。

 俺は何て言っているかを確認するため匍匐前進(ほふくぜんしん)で悪口が聞こえるところまで進む。

 「あんた!オリ君になんかしたら許さないからね!このドブスが!もし何かあったら生きていたことを公開させてやるわ!」

 えぇ、幼稚園レベルの悪口ってこんなレベル高かったかな?

 花をひときしり踏み終わると女の子達は満足したのか花を俺の方に蹴って去っていった。ばれなくて良かった、、、

 そしてティラネルの様子を見てみると想像通り泣いていた。

 「『ローリカバリー』」

 俺は花飾りの花を回復させてティラネルの方に投げ返す。

 本来はほとんど意味のない回復魔法で、効力は、若干傷が治る(擦り傷ぐらい)でまえに花屋さんのおばちゃんが使ってて覚えていたが、草花ぐらいは簡単に回復できるみたいだ。

 ティラネルは花飾りに気付き俺の方を向いたから俺は近くの茂みに隠れる。

 なんでいいことしたのに隠れたかって?そりゃ、見てたのに何もしなかったお兄ちゃんとか嫌われるに決まってるだろ!結構最近なか良いし嫌われたら正直かなり凹む。

 そして俺はティラネルがそこからいなくなったのを確認すると、いじめっ子三人組の歩いていったところへ走り出した。

 

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