プロローグ
サボテン生の新バージョンと同時に連載していきたいと思っています。
「ふぁぁあ。」
ヤベ、今日は遅刻ギリかも知れない。
俺は布団からのっそり起き上がり部屋を出る。
あれ、そういえガリ勉友達のソウマが今日1限来なかったらぶっ飛ばすとか言ってた気がする。
俺はそんなことを思いながら下のリビングに降りていくといつもと変わらない食卓。
「遅いぞ。」
「はい、、、」
新聞を読んでいる父さんからピシャリと言われてしまうがこれも毎日のことで慣れっこだ。
「お前、今日はソウマから電話かかって来たけど大丈夫なのか?」
「えぇ、あいつマジかよ。」
まさか直接父さんに電話してまで遅刻させたくないとは、、、、てかなんであいつ父さんの電話番号知ってるの?恐すぎだろ。
俺は席に着くと手を合わせる。
「いただきます。」
朝食であるパンに手を伸ばして俺はモソモソと食べ始める。
俺は朝がとても弱く、朝起きるのも遅い。
だから、朝食を作った母さんの姿を見たことは数えるほどしかないし、母は朝早い仕事なのでご飯を作り終わったらすぐに仕事に行ってしまう。
まぁ、別にそれだけで俺は平凡な大学生だ。
「ご馳走さま。」
・ ・ ・
「いってきます。」
俺は外に出て駅に向かう。
「むむッ!」
スマホの時間を見ると何ともう電車の時間がすぐだ。別にここは田舎ではないんだが都会と比べたら電車の来る数は圧倒的に少ない。これを逃すと大幅な時間ロス→一限遅刻→死、ということになりかねん。
俺は思いきって駅まで走ることにした。
ふぅ、何とかせぇーふ。
俺は電車に滑り込んで何とか乗車することができた。もちろん満員電車だからめちゃくちゃ嫌な顔されたよ。まぁけどこっちも命がかかってるから勘弁してくれ。ソウマは空手7段なんだ、、、
「ふぅ、」
俺は満員電車を何とか耐えきり、時間もそこそこあったので大学近くの公園で一休み。
するとだ。
「ポチャ、ポチャ、」
晴れなのに雨音が聞こえる。
出所を探すとその音の発生源はベンチの後ろの2メートルほどのところだった。
俺は面白半分恐さ半分でベンチを立ち恐る恐るその水球に近付く。
そこには直径3センチほどの水球が浮かんでいて地面に一定のタイミングで雫を落としていた。
「え?」
そしてそれは俺がまばたきすると消えた。
「う、えぇ。」
俺の視界が一瞬ゆれる。
そして直後に強烈な痛みを腹に感じる。
「うあぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺は猛烈な痛みを感じ、地面に転がる。
グゥぅ痛みの原因は腹か?
俺は手を腹に当てる。
「べちゃっ、」
「!」
嫌な音だ。
恐る恐る下を見るとから血が地面を濡らしている。出所は、、、俺の腹だ。
俺の腹は直径3センチの円状に貫通していた。
3センチ、、、まさか、
俺は回りを見渡すと、俺の血で若干赤く染まった水球が浮かんでいるのを発見する。
やっぱり!あれに貫かれたか、、、、
「バチャ!」
そして役目を終えたかのように水球は地面に落ちた。
俺はそれを見届け地面に仰向けになる。
「うわぁぁぁ!誰か救急車を!」
「キャァァァァ!」
あ、誰か俺が血まみれのことに気づいたみたい。
ただそんなに叫ばないでくれ、腹だけじゃなくて頭もいたくなる。
俺はそして腹の痛さにうずくまる。
いてぇ、結局俺は学校に遅刻しなくても死ぬのかよ、こんなことなら遅刻してれば良かった。少なくともこの状況はソウマの空手しごきよりはましだ。
あぁ、回りに人が集まり始めた。
「え、これ大丈夫?」
「腹からめっちゃ血でてるじゃん」
「え、警察な感じ?」
うぅヤジがうるせぇ。
すると回りのおとが遠く聞こえてくる。
「※※※※※※!」
「※※※※※※※※※※※※!」
「※※※!」
あ、もう耳も、、、
そして俺はぼやける視界で腹を見る。
あぁ血がドバドバ出てるってばよ、なんかもう助からん気がする。
俺は目を閉じる。
父さん、母さん、何の因果かわからんが水玉に殺されました。ごめんなさい。
そして俺は自分の体が冷たくなっていくのを感じた。
エピローグ~終~