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第6話



 「一体何しにここへ来た?」


 「…何しに…?」



 それはこっちのセリフだった。


 なんでそんな格好で、しかも「屋根に」いたのか。


 聞きたいことだらけだった。


 困惑する俺を見下ろしながら、彼女は手を伸ばしてきた。



 「何か願い事をするなら、対価が必要になる」


 「…対価?」


 「聞いたことはないのか?そこにあるだろう。賽銭箱が」



 もちろん、知っている。


 賽銭箱…


 苔やカビだらけで、使われてる形跡はなさそうだった。


 そもそもこの神社には誰も来ていないし、賽銭を入れる人なんて滅多にいないだろう。


 っていうか、なんでキミにそんなこと言われなきゃいけないの?!


 半ば睨んだようにこっちを見て、金を払えと要求してくる。


 お金なんて持ってきていない。


 「PayPayならあるよ」と冗談っぽく言うと、「電子マネー??…貴様、この神社がキャッシュレスに対応していると思うのか?」と叱られた。


 ポケットを探ってみたけど、やっぱりない。


 彼女は項垂れたように俯き、神社の前にある石段に腰を下ろす。



 「さっさと帰れ」


 「…は??」


 「金も無いやつに用はない」


 「金も無い…って、お前にどう関係があるんだよ!」


 「ほう。童の分際で「お前」とな。口の聞き方には気をつけた方がいいぞ?ここはすでに私の縄張りだ。お前が家に帰らなくとも、きっと森で遭難したと思われるのがオチだろう」


 「…なっ、お、脅してるのか!?」



 彼女が何者で、どこの子供なのか。


 考える時間はあっても、いまいち釈然としなかった。


 言ってることの意味がわからない。


 出会って早々に何を要求してくるのかと思えば、「賽銭」だぞ…?


 神の使いか何かですか??


 そう尋ねたら、返ってきた言葉は、そのさらに“上”をいった。



 「神の使い…?たわけ!この私こそが「神」だ!見てわからんか??」



 冗談にしてはあまりにぶっ飛んでいた。



 「神」…?


 神って、…キミが?



 威張ったように胸を張る彼女を見上げながら、俺はただ呆然としていた。


 (ヤバいやつに出会った)


 それが、第一印象だった。


 

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