1.筋肉シマエナガ
筋肉シマエナガって何。
そう思われている方、多いと思います。大丈夫です、安心してください。私もそう思います。
ムキムキのパーフェクトボディに、愛らしいシマエナガの顔と翼。それが筋肉シマエナガです。
もっとわからなくなったという方、安心してください。私も、そう思います。
あれはいつだったか。SNSを運用していくにあたり、私の顔となる、いわゆるアイコンの画像を固定したいと、突然そう思ったのだ。
実は、こう見えて私は絵を描いている。
アナログで、透明水彩だったり、インクと丸ペンを使ったり、色鉛筆だったり。SNSを、主に描いた絵を発表する場として使っていた。
これまで私はSNSのアイコンを新しく描いた絵や、その時のお気に入りの絵にしていた。つまり、アイコンがころころ変わるのだ。もちろん、好きな時に好きなだけ自由にアイコンは変えて良い。しかし私は「アイコンが頻繁に変わると覚えてもらえなくなるのでは。アイコンを固定してしまえば、もっと私を覚えていただけるのでは」という考えに至った。
私はアイコンを何にするか考えた。非常に悩んだ。なぜなら、これからずっとそのアイコンを使っていくのだ。長年使っても違和感のない、自分の納得するアイコンを作らなければならないのだ。
動物の絵にするのはどうだろう。一番納得する思いつきがそれだった。
では、私は動物に例えるとなんなのだろう。また悩む。
私を動物にすると、という問いに答えてくれたのは、長年共に過ごしてきた友人だった。友人は言った。「シマエナガ」だと。
私はシマエナガの絵を描いた。丸ペンで、モノクロで描いたシマエナガ。良く写真で見るあのふっくらまんまるの冬の妖精の、「ちゃんとした」シマエナガ。そこにシルクハットをかぶせ、蝶ネクタイをつけた。とても可愛い出来だった。
私は早速アイコンにした。作家用の名刺にも印刷した。創作本の背表紙にも入れた。とてもお気に入りだった。
それが、なぜ。
今そのSNSのアイコンは、頭がシマエナガで身体がムキムキのパーフェクトボディ、通称「筋肉シマエナガ」になっている。
どこかのタイミングで筋肉シマエナガは爆誕しているはずなのに、はっきりと経緯を思い出せないのは、一体。
多分、多分だが。元々動物をムキムキに描いて遊ぶ悪癖は持っていたが、多分……米津玄師さんのKICKBACKのMVを見てしまった影響で、ふざけてシマエナガをKICKBACK化させて……それで、筋肉シマエナガが爆誕したのでは、と。
そして筋肉シマエナガという謎単語もいつの間にか生まれていた。
私をシマエナガと言ってくれた友人から「どうしてそうなる」と、ものすごい勢いで言われた。申し訳ない。私にもわからないのだ。
しかしだ。SNSの私の相互さんは、しょっちゅう異常行動をする私に関するプロが多い。筋肉シマエナガになってしまっても、受け入れてくれたのだ。本当に寛大だ。ありがとう。好きだ。
そしていつの間にか、自分が筋肉シマエナガでいることが心地良くなってしまった。なぜ。
筋肉シマエナガは、もう私自身だ。
その筋肉シマエナガ=私が綴るエッセイ、それがこの「筋肉シマエナガ日記」である。
何を書くか、具体的にはまだ決まっていない。
しかし、この筋肉シマエナガが過ごす、特になんでもない日常を面白おかしく、明るく書いていこう、ということは強く決意している。
読んでいただいた方に、ふんわりと「こいつ変なやつで面白いなあ」と思っていただけるような、ゆるく、肩の力が抜けるような、そんなエッセイを綴れたら良いなあと思う。
お互いに、ゆるくいきましょ。ありがとうございます。