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第零話 後編 アスター

「アンドレ、お前はいいよな。才能があって。きっと俺よりも――」

「!!」

アンドレは飛び起きた。涙を流しながら。

 (夢......?アスターはなんであんなことを?まあいいか)

なんとなくだがその日はなにかいつもと違うことがおきる気がしていた。

 その日の朝、アスターの顔色はあまり良くなかったが理由は聞けなかった。

(昨日なんかあったっけな)


 その日の昼、突如として小さな村に巨大な鷹が現れた。なんの前触れもなく、突然。魔物だ。その鷹は家を破壊し、住民を襲い始めた。農作業をしていたアンドレはその姿をみた瞬間腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。村がめちゃくちゃになる様子をただみるだけ。世話になった人は殺されていく。一通り暴れた鷹はアンドレに目をつけた。気がつくと周りにはもう生きている人はいなかった。爪がアンドレを引き裂こうという瞬間、アスターが庇い代わりに刺された。

「な!あ、俺は何を……」

「ったく、何してんだよ……。こういう時は……逃げるもんだろ……!」

「すまない、すまない俺の代わりに!」

「いや、謝んなきゃいけないのは俺の方なんだ。昨日の夜の、あれなしな。お前は新しい時代をつくる魔法使いになれ、俺も……一緒だから」

 アスターは意識を失い、アンドレに寄りかかった。

 (そうだ、昨日の夜。俺は怖くて記憶の奥にねじ込んだ)


「アンドレ、お前はいいよな。才能があって。きっと俺よりも強い魔法使いになるんだろうな。もし俺がお前だったら」

 そう話すアスターの目はいつになく暗く、それが恐ろしかったのだ。

 アンドレはなにも返せなかった。



 鷹の魔物はギロリとアンドレを見つめ再び串刺しにしようと爪を向けた。

 アンドレは冷静だった。死ぬ気がしなかった。

そしてなんとなく頭のなかに浮かんだ言葉を言ってみた。

「鎮静化」

 すると鷹の禍々しい気配はみるみると抜けていき、大きさ以外は普通の鷹のようにもどった。

「……お前も辛かっただろう。もう大丈夫だからな」

 そう声をかけると、鷹は忠誠を誓うように頭をさげた。


こうして小さな村を襲った凄惨な事件は生存者1人として幕を閉じた。

 アンドレは魔法学校に送られ、想定とは違う形で生徒となることが決まった。

「アスター、見ててくれよ。俺が新しい時代を築いてやるから」

アスターの名前は花からとりました

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