09:ジャンル変更の危機(笑)
前世、では無いな。前の世界?にいた頃の3倍位大きなベッドで目覚める。
掛け布団は、あえて小さいというか、普通のサイズにしてもらった。
ナビの二人?は、部屋の中で適当に休んでいる。
あ!そうだ!
俺が二人を認識出来なかったのは、ガイアの悪戯だった。
個室に戻った途端、アートモがガイアに体当たりを喰らわしたのだ。多分。
ガツーン!って、硬いものがぶつかる凄い音がしたからな。
で、アートモが〈悪戯にしても、性質が悪過ぎますよ!〉とガイアを叱りつけると、急に二人の姿が見えたのだ。
無事に見る事が出来た二人は、ガイアは予想通り宇宙から見た地球だった。
アートモは、緑の地面を白い靄が渦巻いて覆ってるような……緑の球体に白でマーブリングしたような、そんな感じだ。
それにしても、他から見たら球体でも、俺からは違う風に見えるのを期待していたのに!
可愛い妖精(女の子)とか、モフモフの動物とか!
なぜそこはテンプレじゃ無いんだ!!
今日の予定は、前回確認した古代語?で書かれた調薬の本の翻訳の予定だ。
原本にフリガナを振るわけにはいかないので、俺が原文を書き写しながら口頭で訳を伝え、先生が訳文を書き出す所謂書き起こしをする
一行おきにズラして書き、2枚重ねると原文と訳文が上手く並ぶようになる……はず。
両方俺が書いても良いんだけど、間違って反対に書く可能性があるからな。
俺にとっては、どっちも日本語で書くだけだし。
「今日は宜しくお願いします」
先生と一緒に来たのは、なななんとサラサラの緑の髪に緑の瞳のエルフだった。
しかし残念な事に美人だが男だ。
本っ当に残念なんだけどね!
知ってた?俺、この世界に来てからまだ野郎にしか会ってないんだぜ。
チート、ハーレム、聖女か王女と結婚が召喚勇者の定番じゃないの?
まさか男しか居ない世界じゃないよな?
この前の腐女子達の会話の記憶がフラグになってたり……しないよな?
「初めましてヨッシー様。薬師師長のファランディーラマルファンジェラルデンと申します」
は?
すみません、もう一度お名前をお願いします。
と、言う気持ちが顔に出ていたのか、「ファランで大丈夫です」と苦笑された。
宜しくね!の握手をする。
握手の文化はあるんだ、と変なところで感動してしまった。
「そして、こちらが弟子のワーカティーアラーナジェラルデンです」
ファランさんの後ろから、16歳位の女の子が出て来てペコリと頭を下げた。
良かった!女性が居た!
女性というか女の子だけど、ボーイズがラブしちゃう世界じゃなくて良かったよ!
ジャンル変更になるかと思ったよ。
「娘さん?いや、お弟子さんって言ってたから違うのかな?」
俺の言葉に、不思議そうに首を傾げたファランさん。
俺の疑問の意味が解っていないのか?
ファランさんを見て、俺も首を傾げてしまう。
俺達の様子を見た先生は「あぁ!」と一人納得して笑う。
「エルフの方の名前の最後に付いているのは、出身地と言うか所属している森の名前なんですよ」
おぉ!何かファンタジーな設定きたな!