18:使用人は雇うようですよ!
ガーーーンみたいな顔をしているアザトースとボールス。
王宮で働いている魔術師に騎士だから、もしや貴族なのか?
てか、この世界、貴族制度有り?
〈ここでは、貴族制度はありません。領主や町長、村長などの役職はございます〉
あ、はい。
ありがとうございます、アートモさん。
言われれば、先生に習った気がする。
ナーロッパな貴族制度は無いのね!
でも騎士とかは偉いんだろうな、やっぱり。
「お、俺が給料払うから、メイドは雇おう?」
ちょっと手が震えるくらいショックを受けているアザトース。
「では、自分が金を払うから!料理人は必要だ!」
ボールスも力説する。
「あぁ、うん。そこは自由で良いんじゃないかな」
俺は自活出来るから、キッチンだけは使うけどね。広いから、料理人と場所の奪い合いにはならないだろう。
メイドさんは、キッチンメイドと洗濯メイドと掃除メイドを雇うそうだ。
料理人雇うのに、キッチンメイドっているの?
「料理人は料理を作るのが仕事!運ぶのはメイド!」
アザトースに力説されたけど、どれだけ豪華な食事を基準にしているんだろうか。
俺的には、日本の定食をイメージしていたんだけど、まさかのフルコースか?
まぁ金を出すのはアザトースだし、俺は自分の事は自分でするつもりだからな。
好きにすれば良いと思う。
……と思っていたのに、なぜか一緒に商業ギルドに来ていた。
ギルド!!異世界って感じするね!
シロとラッキーはお留守番。淋しい。
「メイドですね。通いですか?住み込みですか?」
「どちらでも良いが、屋敷が在るのは郊外ですね」
外面のアザトースが受付嬢へ依頼を説明する。
「通いの場合の馬車代は」
「メイドの部屋があるので、それは出せませんね」
「かしこまりました」
受付嬢が紙に条件を書き込む。
「他に何かありますか?」
定型の質問が終わったようで、特記事項を聞かれた。
「若くて美人で肉感的な人」
それはメイドの条件じゃないだろ!?
馬鹿なの?ボールス。
「動物好きで、肝の座った人」
「え?別に世話とか頼まないよ?」
「頼まなくても、あんなのが屋敷の中ウロウロすんだぞ!普通の神経なら倒れるわ!」
えー、可愛いじゃん。ちょっと大きいけど。
「何か、特別な環境なのでしょうか?」
怪訝な顔をした受付嬢を手招きしたアザトースは、その耳元で囁く。
「屋敷の中に、ハティとスコルが居る」
受付嬢がフッと鼻で笑った。
冗談だと思ったようだ。
呆れた笑いを浮かべながら体勢を戻した受付嬢は、俺達三人が誰も笑っていないので、真顔に戻った。
「冗談では無く、ですか?」
アザトースが頷く。
「今からここに喚んでも良いよ」
俺が言うと、受付嬢は立ち上がった。
「責任者を呼んで参りますので、ソファでお待ちください」
壁際に置いてあるソファを示された。
「受付を揶揄って遊んでる馬鹿はどいつだ?」
狸みたいなオヤジが出て来て、いきなりそんな事を叫んだ。
おいおい、事実確認もしないでソレか?
「サブマスター、本当だったらどうするんですか!?」
受付嬢が慌てて止めている。
うぅん。ギルドで一悶着は、必ず必要なんですかね?
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