15:何かが起こる!多分
「ところで、いつ登録したの?」
この屋敷を買ったのはつい最近だし、その後に俺の護衛になる事が決まったはず。
掌紋の登録なんて、いつしに来たのだろう?
「ここではしてないけど、俺の登録をしてある板を使ったんだと思ってたんだよ!」
ちょっと顔が赤いけど、そりゃ恥ずかしいわな。勘違いして偉そうに説明しちゃったからね!
その後、俺とアザトースとボールスの掌紋を登録した。
俺よりもボールスがテンション上がっちゃって、何度も開閉して最後にアザトースに後頭部を殴られて止めた。
子供の頃にエレベーターで遊んでいた過去がある俺は、気持ちは理解できたぞ!
子供の頃は一軒家だったから、マンション住まいの親戚宅へ行った時は、テンション上がったんだよなぁ。
噴水の横を通り……?
何か汚いな、水が。
玄関というか、車停めに着くと……やはり汚いな。
水をばら撒いたと言うか、何となく見覚えがある汚れ方な気がする。
どこで見たのだろう?
「オッサンが手配した割には、何かアレだなぁ」
「オッサンでは無い!アルハト宰相だ!」
いや、気にするところはそこじゃ無いぞ、ボールス。
「確かにアルハト宰相は自分達より年上だが、オッサンとはもっと更に年上を指しているし、そもそも侮蔑を含ブッ!」
ボールスの顔面に、アザトースが水の塊をぶつけた。魔法!!
カシャーンカランカラン。
屋敷の中から、物が倒れて転がる音が聞こえた。
そう、中から。
ボールスが剣を構え、アザトースも杖を扉に向ける。
「開けて」
アザトースが扉を睨んだまま、俺に言う。
「は?」
お前達、一応俺の護衛だよな?
「扉、開けて」
もう一度言われて、渋々扉に近付いた。
勢いよく開け……開かない!!
「ちょっと!?鍵掛かってますけど?」
ガッチャガッチャと音がする程、ドアハンドルを握って押したり引いたりする。
「え?じゃあどっから入ったんだ?」
俺を押し退けて、扉の確認をするアザトース。
ちょっとお前とは、一度ちゃんとお話し合いした方が良いのかな?
アザトースが扉の鍵穴に鍵を差し込んで回す。
カチリと音がした。
鍵持ってんのかよ!マジで、何で俺に開けさせようとした!?
そして、何で扉の前から退いた?
開けるけど!開けるけど、お前は今日は野宿な!
敷地内に居る事は許すけど、建物の中には入れてやらん!!
扉を薄く開けて、隙間から中を伺う。
うわぁ。
何かが暴れ回ったと言うか、走り回った?
しかも鼠とか猫とかじゃない。
結構な大きさの生き物が走り回ったような感じ。
何かを探していたのか、レッドカーペットのような敷物が捲れてグシャグシャにされてるし。
「ヨッシー様!下がって!」
「グェッ!」
襟首を掴まれて、後ろへ引っ張られた。
首が締まったから!変な声出たよ!グェッとか言っちゃったよ!
だが扉に向けて剣を構えるボールスが余りにも真剣で、文句が言えなかった。
アザトースも緊張しているのが伝わってくる。
でも、俺には何も感じないんだよねぇ。
困ったな。
★ありがとうございます!!(≧▽≦)