超越思考
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
人外さんが好きです。
とある神様が此処まで飛躍的な回路を有していたら、もう何も言うことはありません。
雷雨の夜、蛇に巻き付かれる夢を見た。胴の太い白蛇だった。その子は私の首周りをぐるりと囲んで、そのまま絞め殺さんばかりの勢いで、絡み付いた。翌朝起きたら、首周りに鱗状の痣が出来ていた。
晴天の夜、知らない子が生き埋めにされる夢を見た。白装束に三角頭巾を巻かれて、上半身を起こした状態で座っていた。周りの人達が上から土を被せる。彼女自身も手近の土を掴んで自らの身に被せた。
「重症だねぇ」
「重症……ですか」
宗教的な超常現象の相談事は、梅香の君と決まっている。だから週末、なんの気なしに社を訪れた。梅香の君は何時もよりも少し長めの髪に、冷たい空気を纏っていた。近付くなり私の首周りを人撫でして、この一言。鋭利な視線で『重症』とだけ仰った。
果たしてそれは死の予兆なのだろうか? それとも憑かれ事の話なのだろうか?
「君、何時も自虐的な事ばかり考えているでしょう? 居なくても良いとか、死んだ方が平和になるとか、そんなの。言わない努力をしているのは重々承知だけどね、出来れば考えない事をお勧めするよ」
どうやら神様にとって、人の考え事はお見通しであるらしい。
事実、あんまり自分の事は好きでは無い。何時も何かしらの迷惑を掛けていると思っている。私の一つの質問が、相手の時間を奪っている事も、言われた事を直ぐに理解出来ない事も、言われなくとも全て分かっている。それ故に追い出されたとも。だから別に進んで死ぬ真似はしないながらも、心の何処かで死を望んでいるのだと思う。
言わないのは、言ったらそれこそ『居てもいなくても同じ』存在から『居ない方が良い』存在に落ちるから。だから言わない絶対に。顔にも出さない。
「私達は君達の願いを叶える事で力を増すんだ。中でも自分を慕う子は特別。何でもしてあげたくなる。だからね、君が死を望むなら、何度でも殺してあげることも出来るんだよ」
梅香の君はひんやりと冷たい声で、首周りを撫でる。鱗状の痣はまだ治っていない。
彼女と別れた後、神に近い御霊のままに、事の張本人に出会った。絶世とも称される美顔に、僅かな笑みを乗せて、私の事を歓迎する。けれども忘れては行けない。この方は純粋に神様である事を。人の理を外れた思考を有する事を。
「あの子の望みは『死』だよ。梅香の君」
「存じております」
その方のお声は水面のように平穏だった。死という言葉使っても、非常に落ち着いている。
「でもね、私達はあの子に一秒でも長く生きて欲しいし、私達の事を考えて欲しいんだ。だからあらゆる手段を選ば用いて、半ば強制的な延命を施している」
「故に夢の中で幾度となく殺すのですか?」
触れる程にひりつく神威。夢から醒めても現実だと分からせる痣。そんな事が出来るのは、高位の存在しか居ない。
今の精神構造が神に近くて良かった。人に近かったら、恐らくもっと感情的になっていた。
「それがあの子の望みならば幾らでも。知ってるかい? 夢占いで自分が死ぬ夢は『全てを白紙に戻す』という意味があるんだ。そうして動物に殺される夢は『新天地での活躍』」
神様の足元より、白蛇が一匹。足元から這い上がり、首周りに巻き付いた胴を撫でながら、さらりと一言。
「白蛇は何時だって、吉兆の印しさ。あの子に一秒でも長い延命を」
やはり、人智を超えた先の思考回路を有している。
寒くて二度寝をしたら悪夢を見ました。鉄板です。
でも夢占い通りなら、消して嫌な夢ではありません。
そう考えないと、やってらんないんですわ( ˙꒳˙ )
梅香の君、今はかなり荒御魂。
冷ややかで、超越的な、過去の梅香の君に近い状態。
だから穏やかさも也を潜めてます。
「何度でも殺してあげる」
なんて普通は仰いません。
※作者の梅香の君は。
そうして、話し相手の神様はすでに登場済みです。
ヒントは沢山出てます。
健気でよく人に尽くされる方である事。
生粋の神様故に、人の思考は平気で超越する事。
それらを踏まえて、こうなりました。
「君が望むなら、禁忌でも犯そう」ですよ。
でも御二方とも、思いは一緒かと。
一秒でも長い存命と、信仰を。
そのためならば、幾らでも悩みを聞きますし、寄り添います。
夢の中で幾度となく殺します。辛い事だと身をもって知らせます。
死後の世界が幸せだとは限らない事も仰います。
転生して幸せになれると思ってる? 今以上に苦労するかも知れないだよ。
信者が死ぬとということは、信仰が減少すると言うこと。
死活問題です。