閑話 レーゼちゃんのご当地料理ぶらり旅
どうも、またまたレーゼちゃんだよ。
……もう忘れてないよね?
今はウィスタリカのお隣、ネイガーヤ王国に来ています。
なんか、近くにおっきな邪神が出たとかで、王様に『助けてぇぇぇぇぇっ!!』って言われたみたい。
あんまし強くはなかったよ。キモかったけど。
で、仕事も終わったし、いつもの食べ歩き中。
……なんか『偉い人達に挨拶して』とか言われたけど……いいよね?
面倒だし。
もぐもぐ……手羽先美味しい。
ネイガーヤは他の国にない、ちょっと変わった食べ物が目白押しなんだよ。
まさに人類の至宝。
統合軍は、もっと気合を入れて守るべきだと思う。
この後はウィスタリカに行く予定なんだけど、それは名物全制覇してから。
むんっ。
なんでウィスタリカにって?
彼氏に、結婚式のお話をしにいくの。
彼氏、います。
ドヤァ。
あ、天むす売ってる……いただきます。
ちなみに今日の私の装いは……じゃじゃん。
どこにでもいる村娘スタイル。
ここまで街に溶け込んでしまえば、誰も私だとは思うまい。
あ、ひつまぶし……これは、逃げるわけにはいくまい、いざっ。
◆◆
無事にお店に入れました。
やるな、村娘。
さて、ひつまぶしを待ってる間に、私について少しだけ。
今更ですが、私の本名は『ルインレーゼ』って言います。
ビッグザーガでも呼ばれてたよね。
本名、あんまし好きじゃないんだ。
だって『ルインレーゼ』ってなんかこう、ルインレーゼ『様』って感じしない?
偉そうだよね。
だから私は、仲良くなった人達には『レーゼちゃん』って呼んでもらってる。
例えばマリエルとか。
『レーゼ』
グレンとか。
『レーゼ』
あとクラリンとか。
『レーゼ』
……おや?
はい、ちょっと巻き戻します。
改めて……お友達はみんな、私を『レーゼ』って呼びます。
友達……だよね?
ご飯誘ってくれるし。
だから『ルインレーゼ様』って呼ばれると、ちょっとげんなり。
大体、面倒な用事だし。
この変装は、そんな人達から身を隠すためのものなのです。
こうやって、店の風景と一体化して――
「ここに居られましたか、ルインレーゼ様」
「……………」
ひつまぶし、食べてからでいい?




