第15話 若い頃やんちゃしてた事が誇らしくなるのはオジサン特有のメンタリティ
――ズブリ。
「あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!」
ベッドの上、盛大な悲鳴と共にアルテラが果てた。
尻丸出し。
全身は汗と涙と涎と、その他諸々の汁でグッチョングッチョン。
表情は、ヤバいクスリでも決めた様な、見事なアヘ顔。
ちびっ子達には、とても見せられない惨状だ。
リリエラは、鼻血ダクダク流しながらガン見してるけどな!
ともかく、これでオシオキ完了だ。
これに懲りたら二度とやるんじゃないぞ。
「ありがろう……ごらいまふ………ふへへ……」
本当に二度とやるんじゃないぞ!?
因みにケツに突っ込んだのは俺のエクスカリバーじゃない。座薬だ。
『グレン中尉の子守り休暇』は、良い子の物語だからな。
「終わったかしら?」
アルテラの断末魔が聞こえたのだろう。
マリエルがクラリスを連れて入ってきた。
おいやめろ、クラリスの教育に悪いだろうが。
「……おたのしみでしたね」
俺、そんな台詞教えた覚えない!
「ちょっと用があったんだけど……先に、アルテラをどうにかした方が良さそうね……」
グッチョングッチョンだからな。
放置して進めたら、それはそれで悦びそうだが。
「リリエラ、アルテラを風呂に入れてやってくれ。俺も汗を流したいから、下で水浴びだけしてくる」
「わっかりました! ほら、行くよお姉ちゃん」
よろけるアルテラをリリエラが支え、姉妹は部屋の浴室に消えていった。
「私はレーゼを呼んでくるわね。仲間外れにすると面ど――可哀想だし」
そうしてくれたまえ。
あの、虹彩の消えた涙目で延々凝視される経験は、もうしたくない。
さて、俺も行こう。
可能な限り、速やかに。
俺は今、オムツをしている。
小さなお友達にはとても見せられない、アルテラのドキドキ☆お仕置きタイム。
童貞で早漏の俺が、無傷で耐え切るのは不可能だ。
かといって、アルテラがヒンヒン言うたびに発射していたのでは、ご主人様の威厳が保てない。
よって、バレたら威厳どころか尊厳が砕け散る危険な賭けだが、俺はオムツの着用を決断した。
結果はまぁ、成功だな。
我が子達は皆、オムツに吸い込まれていった。
あとは誰にもバレずにコレを処分し、ベッチョベチョの下半身を洗うだけ。
危ういシーンは幾つかあったが、どうやら乗り切ったようだ。
「そうだ、グレン君」
「どうした?」
「考えたわね」
くっ、殺せ!
◆◆
20分後。
改めて、全員が俺の部屋に集合した。
「で、用ってなんだ?」
極秘情報を見破られ、ちょっとビクビクしながらマリエルの様子を伺う。
なんだろう、不機嫌そうだ。
「『なんだ』はこっちの台詞よ。『アレ』はなに? 完全に正気じゃなかったわよね?」
『魔人』のことか……。
まぁ、昨日のはちょっとやり過ぎたからな。
回復担当のマリエルとしては、毎度こんな感じで怪我されまくっちゃ、たまらないだろう。
「別に、怪我ならいくらでも治してあげるわよ……生きてさえいれば、ね。あんなこと続けてたら、貴方、死ぬわよ」
はっきり言いやがる……俺も、わかってはいるが。
実際、昨日は死にかけた。
クラリスと過ごしてマシになった気でいたが、結局何も変わってなかった。
「私はこのままにしておくつもりはないわ。貴方の話を聞かせて。何か、ヒントになるかもしれない」
マリエルの目は真剣そのものだ。
こりゃ、誤魔化すのは無理そうだな。
昔の話をするのは久しぶりだ。
……後、レーゼ。
何かワクワクしてっけど、お前は同じ話を前に聞かせたからな?
そんで半分くらいで寝たからな?
どうやら俺は、話し始めると感極まって語り尽くそうとするらしい。
普段は、思い出したくもないってのに……。
今日も、多分そうなるだろう。
だから、最初に結末だけ言っておく。
――俺の故郷は、邪神に滅ぼされた。
~次章予告~
家族と、姉さんと、先生と。
少年はあの日、全てを失った。
――代償に、重く昏い力を得て。
負の章『愛しき日々、戻らぬ日々』
『神様なんざカケラも信じちゃいない』




