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第4話 四つん這いになって尻を出せ

 宿の一室にて、対面で向かい合う俺とアルテラ。

 俺は椅子で、アルテラはベッドに腰掛けさせている。


 金貨5枚のマントは、部屋に入るなり脱いでしまった。

 気に入らなかったのだろうか。


 それでまた俺の股間が凄いことになってるんだが、お前は性奴隷にでもなるつもりか?



「……何故だ」


「ん?」


「貴様は先ほどから、私の胸や脚ばかりを見ている。なのに何故、手を出そうとしない?」



 いやんバレてる、恥ずかしい!

 そう言えば『いい女は男の視線なんて秒でわかる』って、故郷の姉さんが言ってたな。



「人里でよく感じた下卑た視線に比べると、だいぶボヤけてはいるが……結局、そうゆうつもりで私を買ったのだろう?」



 俺が童貞だからです。

 どんなに邪な思いを抱いても、童貞だからフワッとした妄想しか出来ないんです。



「それに、私の服や槍まで買い戻して……感謝はするが、一体何が目的なんだ」



 槍……そう、あの後に槍も買った。


 白木の先端に緑の宝石をつけた槍。

 儀式的な装飾もあったから杖かとも思ったが、槍で合ってたらしい。


 こちらはちゃんと値切って、金貨170枚。

 じっと見てたから買ってやっただけなんだが、どうやら私物だったらしい。



「先ず、お前を買ったのは衝動買いだ。何をさせるかは考えてない。

 服を買い戻したのは、あの格好で街歩かせたらスケベなボンボンみたいになりそうで嫌だったからだ。

 槍はお前が物欲しそうに見てたから……お前のだったのは、今知った」



 アルテラは、じっと睨むようにこちらを見ている。

 少しの嘘も見逃さない、といった雰囲気だ。



 ――よかろう、ならば正直に言ってやる。



「胸と脚を見てるのは……お前のその格好がエロいからだっ!」


「なっ!?」



 捨て鉢に性を匂わせておきながら、痴女呼ばわりは心外なのか、アルテラが大いに狼狽る。



「こ、この装束は、我が部族に伝わる、闇人(やみびと)の歴史でも最高位の法衣だ! それを如何わしい目で見るなど……恥を知れっ!」


「知るかそんなことっ! そんな、背中も腹も丸出しのレオタードでっ……スカートのつもりか!? 腰の花は!?

 見えそうで……チラッチラ見えるんだよっ! 里じゃどうだか知らないけどな……俺はムラムラするんだよっっ!!」


「なっ、なっ、なっ!?」


「マント買ったのだって、隠すためだろーが! それをお前、そんな短いの選びやがって……尻がギリギリ隠れる程度で、結局チラッチラするんだよっ! ムラムラするんだよっっ!!」



 おかげで宿に着くなり、トイレに飛び込む羽目になった。

 俺の迸る情熱が届いたのか、アルテラが真っ赤になって体をかき抱く。



「わ、わ、私のせいだと言うのかっ!? 何を勝手なっ……こ……と……を……っ」



 そのまま猛抗議を始めようとしたアルテラだったが、すぐにふらついてベッドに倒れ込んでしまった。



「さて、そろそろか。クラリスは、マリエルの部屋に行ってなさい」


「ん……がんばれ」


「おぅ」



 ここから先を見せるのは、クラリスの教育に悪い気がする。

 物わかりのいい彼女は、なんか物わかりの良すぎるセリフを吐き、『ぐっ』親指を立てて部屋を出て行った。



「これは……制約かっ……くっ、卑怯な……! だが忘れるなっ! どれ程体を穢されようと、心までは貴様の思い通りにはならんっ!」



 侮蔑と決意の籠もった視線が突き刺さる。


 そうか……本物の女騎士は、強姦程度で屈したりはしないのか。

 俺は偽物の騎士だから、射精を見られた程度で『殺せ』とか言っちゃうわけだ。

 なんかもう、これだけで負けた気がする。


 だけど、色々勘違いしてるな。



「それ、制約じゃ無いからな?」


「え?」


「お前、オークション前から体調崩してたろ。バイヤーから薬渡されたぞ。『こちらの落ち度です』ってな」



 言われて『はっ』とした表情になるアルテラ。何か思い当たる節でもあるのだろう。


 というわけでさっさと始めよう。



「納得したようだな……じゃあ、四つん這いになって尻を出せ」


「はぁっっ!!?!? なななななぜそこで、貴様に尻を見せる必要があるっっ!?」


「バイヤーから渡されたのが座薬なんだよ」


「ざやくっっ!?」



 『これが一番効果があります』だそうだ。



「わわわかった! 自分でやる! 自分でやるからっ! 貴様は外に出て……ああぁっ!?」



 アルテラの体がビクンと跳ね、息を荒げてプルプルと震えだす。

 どうやら今のが反抗とみなされ、今度こそ『制約』が出たらしい。



「き、貴様、まさか、んっ! せ、せいやく、は、あっ、んっ、あぁっ!」


「『催淫』にしてみました☆」


「~~~~~~~っっっっ!!!!」



 いくら弱いと言っても、呪印に抗うには死ぬ程の意志力がいるはずだ。

 そこまで殺意を向けられるなど、奴隷のコントロールができていない証拠。



 催淫を選ぶ奴が愚かなのでは無い。

 催淫を選んで殺される奴が愚かなのだ。



 アルテラはめちゃくちゃ怒りの籠もった視線を向けてくるが、その中に殺意はない。


 ないったらない。ほんとだよ?



「さぁ、楽にしてやろう。安心しろ、今回用があるのはお前の純潔じゃない。『こっち』だ」


「くひゅんっ!?」



 座薬で布越しに尻の穴をコンコンしてやると、アルテラが可愛らしい悲鳴をあげる。



「レオタードだと脱がしづらいな。どうするか……」


「おい…」


「ん?」


「一つ、言っておく……あふっ! 私は、はぁっ、はぁっ……生娘では、ない……あっ、あぁっ」




 なん……だと……?



「んあぁぁぁっっ!!?」



 おっと、あまりの敗北感に、つい座薬をグリグリしてしまった。

 まぁいい、今ので尻の力は抜けたかな?

 ほれ、ほれほれ。



「くふっ!? はぅっ! はぁっ! や、やめっ、おしりがっ、おしりがぁっっ!!」


「まだ固いな、もっと力抜かないと痛むぞ?」



 座薬の先端で更にツンツングリグリしてやると、アルテラは感極まった悲鳴をあげる。



「あぁっ!? ま、待ってくれっ! お願いだっ、んあぁっ! 今、そんなものを入れられたら、私はっ、あぁっ! おかしくなってしまうっ!」


 未だ抵抗を続けるアルテラ。


 諦めろ、お前はコイツを受け入れるしかなんいんだ。

 座薬だけど。



「あ、あぁっ!? だめ、ゆるむ、ゆるんじゃう! 待て、やめろ、やめてっ!」



 度重なるノックに、尻穴を塞いでいた力がようやく抜けてきた。




 こ こ だ




 ――ぐにゅん。




「あああああああああああああああぁぁぁーーーーっっっ!!!!!」




 その瞬間、アルテラは盛大な叫び声と共に果てた。






 ……俺も、ズボンをベチョベチョして果てた。

◆イーヴリス大陸

 物語の舞台になる、この星で最大の人域です。

 形はオーストラリアに近く、総面積は南アメリカ大陸ほど。

 北部が日本と重なるくらいの位置にあります。

 気候は北が温帯~南は熱帯で、基本的に温暖。

 グレン達は大陸中を回りますが、北部にいる時は、これと言って事件も起きていないので、描写されません。

 実は物語は12月~4月にかけて進んでいるのですが、誰も寒がってないのはそのためです。

 決して、作者が、季節感入れるのを忘れたからではありません。

 温暖だからです。

 

◆魔法

 大気中の霊子力を利用した技術の総称です。

 魔術、魔導、生体魔法、錬金術辺りが、グレン達の話で出てきます。

 魔導以外は、生身の生物が体内に溜め込んだ霊子力(=魔力)を消費して使います。

 魔術はイメージ重視。

 燃え盛る炎をイメージして、実際に火そのものを生み出します。

 魔導は知識重視。

 可燃性ガスを生み出し、高熱で着火させることで火を付けます。

 錬金術は、魔導を生身で使う技術

 生体魔法は気、オーラ、チャクラ、小宇宙のようなことを魔法でやる技術です。

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