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第6話 White White Paradise

 そこにいたのは、白いケープを纏った、うさ耳の美少女。






 ――Oh Year.




 何かもう、いい、凄くイイ。

 どのくらいイイか、俺の乏しい語彙では1割も説明しきれない。

 だが全力を尽くそう。わっふるわっふる。



 歳は俺より1つ2つ上だろうか。

 兎獣人(うさぎじゅうじん)の彼女は少女でありつつ、大人っぽい色香も持ち合わせている。

 『可愛いお姉さんタイプ』と言えばいいだろうか?

 どことなくエロい声も合わせてエロい、いいぞエロい。


 長い亜麻色の髪を、1つの大きなお下げに纏めて前に垂らしている。

 それを辿って視線を下ろすと、纏ったケープに刻まれた紋章が目に入る。



 ユニコーンの紋章。

 白魔術協会でも最高位の術師『白星槍(はくせいそう)』の証だ。



 だが、紋章を見ていたのは一瞬。

 俺の視線は、開いたケープの間から覗く、はちきれんばかりの双丘に吸い込まれていく。



 オッパイプルゥゥンプルゥゥンッッ!!




 失礼、取り乱した。


 気を取り直して、視線を下に移そう。

 そこにはピッチピチのホットパンツに包まれた安産型の下半身。

 そして、惜しげもなく晒された凶器のような太ももが――


 くっ……やってくれるじゃないか。

 何を隠そう、俺は脚フェチなんだ。



 俺は脚フェチなんだっ!!



「白魔術協会所属『白星槍』マリエル・エストワールよ……大丈夫?」


「だいじょぶ」



 だいじょばない。

 もう、ちょっと服とアレが擦れただけでパラダイスしちゃう。



「ふぅん♪」



 兎少女――マリエルが妖艶な笑みを浮かべる。


 なんだ、その『面白そうなおもちゃ見つけた』みたいな顔は。

 艶かしく、腰をくねっくねさせながら近寄るんじゃない。


 まずい、目を逸らせ、もう見るな……いやでも、もっと見たぁぁいっ!!



 『魔人』なんて呼ばれ、邪神と相対すれば快楽殺人者みたいになる俺だ。

 女の体を見ても、よくいる荒み系キャラよろしく無反応だと思ったか?




 残念だったなっ! 俺は童貞なんだっ!!



 半年間、俺の周りはおっさん、おばちゃん、チンチクリンばかりだった。

 それが、いきなりこんなナイスバディと接近戦なんてやらされてみろ?

 ムスコはさっきからバーサク状態だ。



 もはやマリエルは目と鼻の先。

 なぜそこまで近づく必要がある?


 俺は鼻を抑え、プルプルと震えながら立ち尽くすことしかできない。

 そしてこの女は、そんな哀れな子羊に対し、とんでもない暴挙に及んだ。




「ど・こ・が、気になるのかな?」



 年下の、初心な童貞ボーイをちょっとからかってやろう――そんな軽ーい気持ちだったのだろう。


 そのたわわに実ったメロンを、上半身ごとぺったりと俺に押し付け、さらに谷間を強調。


 そして、あぁ、そして……先程から俺の視線を奪って離さない太股を、俺の、股の間に、スッと挟み込んできた。



 決して刺激を与えてはいけない、暴発寸前の砲台に掠らせながら。





 ――シュッ。



「おぅふっ」


「えっ?」






 グレン・グリフィス・アルザード、14歳。

 無念のホワイトパラダイスの瞬間であった。




 くっ、殺せ。




 ◆◆




 もう、全てがどうでもいい。

 人類なんて、邪神に食い尽くされればいいんだ。


 俺の男としてのなけなしのプライドは、人としての尊厳は、完膚なきまでに踏みにじられた。

 いい歳こいて、糞でも漏らしたような気分だ。


 実際漏らしたのは、もっと白くてネバネバしたやつだけど。



「よしよし、よしよし」



 クラリスはそんな俺を小さな腕で抱きしめ、頭を撫でてくれている。


 クラリスママである。

 ママン、ボク汚されちゃったよ。



「どう? 少しは落ち着い……て、ないわね」



 扉から顔を出したのは、全ての元凶。

 うさ耳ダイナマイト美少女マリエルだ。


 気遣わしげな視線が、余計に俺を惨めにさせる。



「……ぐすっ、殺せ……っ」


「じゅ、重症ね……」




 あの惨劇の直後、彼女は俺を迅速にあの部屋から連れ出した。




『なな何かっ、とっっっっっても具合が悪いようなので、医務室まで連れて行きますっ!』



 溢れ出る白濁は、火山噴火の如し。


 俺はもう、どうしたらいいか分からず、直立で涙を流し続けるしかできなかった。

 『カッ!』と目を見開き、『ブワッ!』と大量の涙を流す、絵に描いたような男泣きだ。


 マリエルはそんな俺の手を引き、何とか隊長室から医務室まで連れて行った。

 その間、俺は終始不自然な足取りで、たまにビクンビクン痙攣していた。




「そっとしておいてあげて……よしよし、こわくないよ」



 クラリスは俺を守るように、俺とマリエルの間に移動する。


 因みにクラリスも、俺に何があったかは知らない。

 事情は一切聞かず、ただただ慰めようとしてくれている。

 6歳とは思えない気遣いだ。ありがとう。涙が止まらない。



「な、何というかほら、人間味があっていいと思うわよ……?」


「この女いけしゃあしゃあと……!」



 だがまぁ、完全に自業自得とはいえ、マリエルも無傷ではない。


 俺の主砲の全弾発射は、それはそれは凄まじい勢いだった。

 ズボンを突き抜け、股の間に差し込まれた彼女の太ももを直撃したのだ。


 彼女は、それを自身の勲章ともいうべき『白星槍』の紋章の入ったマントで躊躇いなく拭き取り、

 無様に果てた俺を蔑むこともなく、最小限の被害に抑えるよう尽力してくれた。


 そう、あの太ももに。

 あの、むしゃぶり付きたくなる、太ももに。

 俺の、アレが、べっちょりと――



「ほぅっっ!!?」



 緊急事態発生。

 主に下半身に。


 俺は急いで立ち上がり、驚く2人に目もくれず、部屋のトイレに飛び込んだ。




「おふぅ……」






 ……うん、もう、許してやるか


 2分後、トイレから出てきた俺は、おそらく賢者のような穏やかな表情をしていただろう。



「今のは……私のせいじゃ、ないわよね……?」



 くっ、殺せ。

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