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幼馴染の勘

「全然何も無いな」


「そりゃそうさ、宝があるのは一階と二階だ。それより上は綺麗なお部屋と死体がゴロゴロあるだけだ」


現在十階、最上階まで何段階段を登ればいいんだろうか。

あー、先が見えない。

食料とかもあって三日分くらいだし、早く攻略しないと。


「おーい! 金髪! そろそろ上行くぞ!」


・・・このいけ好かない奴隷商人と離れるためにも早く!

つかなんで私の事悪く言うのよ!

弱虫とか根暗とか私的NGワードなんですけど!?

こう怒りが込み上げて、メッタメタのギッタギタに・・・


「そういや、カイお前勇者なんだろ? 勇者の剣とかないの?」


「これだけど」


「うおお!! すっげー! まじもんの勇者の剣! 憧れてたんだよなぁ!」


私が彼らの後ろで考え事をしていたらいつの間にか二人が仲良くなっていた。

バンはカイが背負ってた剣をみて子供みたいに興奮している。


「そんなに?」


「あぁ! 昔から勇者ってのには憧れててさ! まぁ、生まれた環境のせいで俺はそんな風にはなれなかったけどな」


少し悲しそうな顔を見せるバン。


「親のやってる仕事のせいで、憧れとは程遠い人間になっちまった、だからお前と肩を並べれるのが少し嬉しいんだよ」


「バン・・・」


「それなら、こいつと旅に出ればいいじゃない」


二人の世界に急にお邪魔者が入ってきたから彼は少しイラッとして私に話しかける。

だって仕方ないじゃん、すっごく煽った相手にそんな過去があったなんて思ったらちょっとだけ心が傷んだもん。

だからちょっと謝る代わりにいいことしようと思ったのよ。


「おいおい、俺はお前の言う通りクズだぜ? 勇者の隣に並ぶ価値もない。それに親父がどうせ俺を縛り付けるんだ、夢なんか見れねえよ」


「大丈夫よ、そんなこと気にしなくて。こいつそういうの得意だから」


「アリサ・・・?」


「金髪、適当なこと言って勇者を困らせんじゃねえよ。お前、自分がカイと一緒に旅したくないからって・・・」


「あんた昔から人と交渉するのは上手いでしょ? 人柄で好かれるんだから。それに、一度好きになった人は何をしてでも手放さないでしょ」


横でごちゃごちゃいうバンを無視して、私の意見を述べた。

確かにあんたの言う通り、私はこいつと旅をしたくない。

だけど、私はカイと違って人に無理を押し付けたりしないわ。


「アリサ、君はどうして俺とバンを旅させたいんだ?」


「うん? あんたがバンと旅をしたいっていう顔してたから、あと私を無理やり旅に連れていかせないため」


あっ、あれ~、なんか変な間ができてるんだけど・・・私また理解されないこと言ったかな?


「さっすがアリサ!! 俺の事分かってるぅ~!」


カイは目を輝かせて私に抱きついてきた。


「気持ち悪い! 離れろ!」


「ぎゃあああ!!」


だからはっ倒してやった。


「・・・お前割と良い奴なんだな」


「割とじゃなくて凄くよ、だって人が嫌がることを無理やりやらされても怒らないのよ私」


「ほーそんなに心が広いのに俺が言った事に怒ったのか」


「広くて寛大な心の持ち主も立て続けに嫌な事があったら爆発するっての・・・でも、あんたが気にすること言ってごめん」


「なっ、なんで謝んだよ。謝るのはこっちだろうが・・・」


「普通はね! だけど俺の幼馴染がすこーしだけ罪悪感をもったから話の流れで先に謝ったのさ! 謝るのに先も後も関係ないよ! 謝った事実が大事なのさ! それより俺はこの嫌いだったやつのいい所を見つけて好きになりそうな空気のせいで可笑しくなりそうなんだけど! えぇ!?」


バンが私に謝ろうとした瞬間それを遮るようにバカ勇者が話に割って入ってきた。


・・・ちっ、めんどくせえやつ。

折角いい雰囲気だったのに台無しだこら。

つか結構いいシーンだったろうが。

御涙頂戴、優しい雰囲気、心が和やかになる名シーンだったでしょうに。

仲間になる瞬間っていう最高に盛り上がる場所だったのにあんたはなんで自己の欲求に素直なのかねぇ。

少し赤くなったバンの顔を見て焦ったのか

カイは私達の間に入ってキモイ顔で邪魔してきた。


「なぁ、アリサなんでカイはお前に執着してんだ?」


「さぁ? おもしれー女だからじゃない?」


「それは言えてるな」


「ちょっとそこぉ! イチャつくな!」


「「ついてねーよバカ」」




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