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災害

おまたせしました


「私の顔に傷が残ったらどうしてくれるんだ。このカブトムシ風情が!!」


 抉れて骨が丸見えになっていた白露の顔に筋肉、皮が再構築されていく。白露に角を捕まれた奴の背後から手頃な脚を切断した。

 脚を全て切り落とせばこいつも飛ばざるをえない。そして、その翼を切り裂き、落としてから袋叩きにしてくれる!!


「ギューーーー!」

「このっ、ただで済むと思うなっ」

「ギッ、ギュユュュユュユュユユュ!!」


 エリムサルエがカブトムシの全身を覆い、締め付けている。バキバキという音と共に潰れていく。

 一瞬の衝撃には強い反面圧力に弱いのか、これではターレンスを葬り去る剣の素材としては弱いな。やはり災害獣でなければ。


「面倒くさかったです」

「注意して進もう」

「ここまで来て帰ったら私の顔が傷付けられただけじゃないですか」

「そうだな」


 警戒を続けながら森の奥へと進んでいく。……ここでは災害獣は擬人の中でも特に有名だったようでサリアからもよく聞かされた。

 水晶に魅せられた擬人がよく侵入し、深入りした末に半分程度の人数になって帰ってくるそうだ。

 森の奥の湖での目撃が多いようでいわく、巨大な獅子の姿だった、大蛇だった、ドラゴンゾンビだった等情報が錯綜している。

 だが、その中で共通している情報として体が水晶で出来ていたというものがあった……だからこそ素材に抜擢したのだが。


「主様……!!」

「っ!!」


 しばらく進むと開けた空間があり、そこには水晶で出来たドラゴンに獅子の頭、大蛇、金色の馬が生えたモノが居た。

 これだ……!!これがここの災害獣に違いない。さしずめ骨結晶化合成獣(クリスタルボーンキメラ)といったところか。まさか合成獣(キメラ)だったとは、面倒な……!!


「……(こくり)」

「……(こくり)」


 息を潜めて白露を奴の背後に向かわせ正面に向かう。俺は奴の正面の結晶に隠れ、白露の髪を背後に確認した瞬間、飛びだした。


「おらぁぁぁあぁぁあ!!」

「ごシュルぉ……」


 奴はこちらを一瞥したが、すぐに興味を失い水分補給に戻った。俺はそのままの勢いでふ奴の蛇に刺突をぶちかました。


「ごるぉシュごるぉおおぉおお!!」

「効果なしってわけか……おっと、ほら、当ててみろよ」


 白露に気取られないように未来視を使って攻撃を躱しつつ、馬に砂を掛け、獅子の顎を撫でる。上限残り20秒。頼む、早く……!!


「ぬぉおぉおぉおぉおお!!」

「ぐシュルぉっ……!!」

「こっちを見ろ!!」

「ヒヒィィィイインッ!!」


 白露の邪魔をする馬の目に剣を投げつけたのと同時に、超速の矢とエリムサルエがドラゴンゾンビと獅子、蛇の頭をぶち抜いた。

 どれだけ固いといえどさすがに全力なら罅程度は入っているはず、結晶化していても生命活動を行っていそうな獅子と蛇程度は……


「チッ、そう上手くはいかないか」

「ごシュぉ!ごシュぉ!」

「まずっ」


 未来視でも3頭同時攻撃では範囲外に間に合わない。せめて最小限にっ……肩が固まっている……これが奴の能力か?

 足だけになろうと敵は禍根もろとも一掃する……そうできるように教わってきた。この程度で攻撃手段が無くなってたまるか。


「おらぁ!!」

「ご、ごシュシュ……」


 切りかかってきた前足を蹴りで撃ち落とし踵落としで前足を砕いた。仕込んだ首狩り刀が一本駄目になった。

 攻撃を避けつつ回し蹴りをして奴にダメージを蓄積、できない!!何故、回復できる。魔法を使っている気配はない。

 なら何故回復している、種族固有の特性か?災害獣にもなると種族固有特性も変わる、のか?

 いや、ありえない。種族固有特性は各種に一つしかないはずだ……抽象的な説明であっても能力は一つ。


「くそっ、今考え事をしているんだ。少し大人しくしていてくれ」

「そうです、よっ!!」

「ぎュルぉおぉぉおぉお!!」


 白露の圧倒的な速度によりクリスタルドラゴンゾンビの体がまるで早送りされた宝石加工映像のごとく削られていく。

 だが、それと同じ速度……いや、僅かに早い。とにかくこのままではジリ貧。奴の回復の根源はなんだ?

 合成獣は違う……あれは体の異なるパーツの安定に全て種族固有特性のリソースを割いている。

 ならクリスタルドラゴンゾンビか?いや、生前の骨格結晶化と死体管理で全て使っているはず。そして獅子も馬もそのy


「ごシュルぅぅぅう!!」

「私の速……どぐふぅっ!!ひ、がっ……!このっ、がぁっ……いぎ──っ!!」

「白……くっ!!ごぉっ……ぶぼ……っ!!」


 早いっ、未来視に体が追い付かなっ……残り時間5秒だと……!?無駄に力を使っている余裕はもうない!!

 奴の蛇白露に噛み付いた瞬間、速度が急に上がった。喰った者の種族固有特性をモノにするのか?

 だとしても何故回復が出来る、おかしい。頭を何度潰そうといつまでも際限なく回復し続ける。何か、別の要因があるのか……?


「どぉらぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!!」

「シュルぅおっ……!!」

「先取り、っ」

「ごブルルルルッ!!」


 渾身の力で蹴り飛ばした剣が獅子の脳組織辺りをぶち抜いている。観察しろ。今しかチャンスはない。

 ピンチの今こそ、よく見ろ……辺りと奴の全体を!!なにが変わった、何が消えた……?

 ……っ!!結晶の木が消えた。なるほど、そういうことか。なるほど辺りを結晶化するわけだ。


「白露……!!」

「かふっ……はぁ、はぁ、主様……」

「一旦退却だ」

「そん……な、い……けませ……ん。けほっ、けほっ!」


次も一週間後にできるはず

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